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エンディング

【派生ルート】ナイルエンド

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 ギイイイイイ…………

 中庭への扉が開く。そこには想像以上の、今まで見たこともない大勢の人からの祝福が待っていた。
 個人的にお誘いしたかった皆さんは全員揃っているので、私のテンションもMAXだ。


「みなさま、今日は私の誕生パーティに来てくださってありがとうございます。また今年もこうして節目を迎え、今この時をみなさまとご一緒に過ごせることを嬉しく思いますわ。ぜひ、楽しんでいってくださいませ」


 誕生日スピーチが終わり、簡易ステージを降りようとしたところで、ドレスで足元が見えずよろけてしまった。

 恥ずかしい……!

 咄嗟に腕を出して、コケないようにフォローしてくれたのはナイルだった。


「ナイル様、ありがとうございます」

「当然だろう。今日の主役はクロエだぞ? その青緑色のドレス、良く似合ってる」

「ふふ、なんだかんだ言って、ナイル様ってお優しいですわね」

「なっ! 何を言ってるんだ?」


 褒められて顔を真っ赤にするナイルは、ビシっとキメた衣装を身に纏って……いつもよりマシマシの大人っぽい風貌なのに、なんだかとっても可愛い。


「照れなくてもよろしいのに。本当の事を申したまでですのよ?」


 揶揄う私も私だけど、ナイルは耳まで真っ赤にして「お前と話すとなんか調子狂う」と言って、どこかに姿を消してしまった。

 あら? ちょっと軽口すぎちゃった?

 ナイルはしばらく経ってもパーティ会場に戻ってこない。ちょっとだけ責任を感じた私は、こっそり会場を抜け出してナイルを探しに庭園へとやってきた。


「ナイル、どこ行っちゃったんだろう?」


 ぶつぶつ言いながら歩いていると、生垣の向こう側からナイルの話す声が聞こえてきた。
 ん? ……ナイルだけじゃなくて、女の子の声も聞こえる?
 こっそり覗くと、ナイルが告白されているじゃない! わあ、これ見ちゃだめなやつ?
 ひょっとして、ナイルへの告白タイムが次から次にひっきりなしで会場に戻って来れないとか……?
 ナイルはあの容姿だし、第三王子という立場にもかかわらず婚約者もいないし、元々優しいからモテるに決まってるもんね。しかも今日は私的な集まりだから学園と違って取り巻きも居ないし、声をかけやすい環境だもんな。あ、女の子泣いてる……振っちゃったのか。

 見てはいけない物を見てしまい、こっそり戻ろうとした私はナイルに呼び止められる。


「気配駄々洩れだぞ、クロエ」

「ごめんなさい。覗くつもりはありませんでしたの。ただ、ナイル様が戻って来られないので探しに……」

「俺を? 今日の主役が? それは光栄でございます」


 恭しく頭を下げるナイルは、所作が美しいだけあって見とれてしまった。


「どうした? いつもの軽口はないのか?」


 拍子抜けしたような表情でナイルが聞くから、思わず言っちゃったよね。


「いえ、ナイルが素敵すぎて見とれちゃっ…… あ」


 素の言葉遣いを使ってしまい、思わず口元を覆う。不敬だったと焦っていると、ナイルが近付いて来た。


「クロエ、そうやって昔みたいに接してくれ。俺は、兄上に遠慮をしていたが……本当は子どもの頃からお前の事が好きだったんだ」

「え……何て?」

「何度も言わせるなよ、俺はお前の事が好きだ。兄上に負けない、いや。きっと兄上以上に……お前が」


 突然のナイルの告白に、私の顔は耳まで真っ赤に染まる。待って! そんなの知らない。
 思い返せば、数々のナイルのアシストは私の痒いところに手が届くものばかりだった。もしかして、ずっと気を使ってくれていたの?
 急に意識をしたから、心臓の鼓動が早くなる。こ、これは違……ううん、違わなくない。


「ナイル、嬉しい」

「へ? 受け入れてくれるのか?」


 自分から言い出しておいて、ボケた顔をするナイルを見て確信する。


「正直に言うとね、私の器でクロム様と釣り合うのかとずっと逃げていたの。堅苦しいのは苦手。でもね、ナイルの前では素に近い私でいられるのは本当だと思う」


 ナイルは息を呑んで私の言葉を待っている。きちんと伝えよう。


「ナイルと一緒に居るとホッとするし、凄く笑顔になれる。本当の事を言うと、まだ気になる人だけど……これからあなたをもっと知りたい、好きになりたいと思った」


 ナイルは泣きそうな顔でくしゃっと笑うと、いつものクールな様子はどこへ行ったの?というくらい、情熱的に私を抱きしめる。
 時間がフリーズして花が舞い散り、私を抱きしめているスチルが発生する。キャラクターボイスの声優が歌う恋愛エンディング曲「Colorful Love」が流れ、脳内に今までの出来事が走馬灯のように流れる。
 エンディング曲が終わると、ナイルが嬉しそうに話す。


「クロエのこと、ずっとこうしたかった。俺は一生、クロエを大事にすると誓うから。俺を選んでくれてありがとう」

「うん、こちらこそありがとう。でも、おいおいにね、まだ自分の気持ちに気付いただけだから」


 私がそう言うと、ナイルがいきなり爆笑し出すから、思わずつられて私も笑う。
 気を遣わずに大笑い出来る関係が心地よい。私、ナイルとなら素敵な老後を送れそうなんて言ったら、また大爆笑しながらも「俺もだ」なんて言ってくれるかな?


── ナイルエンド 完 ──

初期設定:ナイル(初期設定のため多少、小説の設定とは異なります)
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