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ゲーム終盤

あとちょっとなので引きこもりたい!

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 チュンチュン。

 窓の外から鳥の鳴く声が聞こえる。
 慌ただしかった日常は今日で終わりを迎える。
 黒江 茜改め、私「クロエ・スカーレット」は、十八歳の誕生日を迎える。


『おはようございます。クロエ様』

「おはよー! うううん、いい朝。これで私の日常は守られるね、ウエンディ」

『ハイ、今まで奮闘お疲れ様でした。そして、お誕生日おめでとうございます』

「ありがとう! はあ、早く引きこもりライフをエンジョイしたいなー。今日を乗り越えれば……!
 あ、そうだ。もし、友情エンドが発生しなかったら、このあと私どうなるの?」

『ハイ、お答えします。まず、友情エンドが発生しなかった場合、攻略対象の中から攻略可能のみなさんよりアプローチがございます。
 お相手をお選びになられましたら、その方とのハッピーエンドとなります。選ばない場合は、アプローチのあったどなたとも結ばれることはございません』

「ふーん? と言うことは、私は晴れて自由の身になれるってわけだ」

『今までの努力が水の泡とも申します』


 ぴえん! ウエンディが嫌なこと言い出した。
 確かに、ここまでの一生懸命が全部なかったことになるのは……正直悲しい。引きこもりたいなら、どうにかLUK運の良さで引き寄せて友情エンドを発生させるしかないみたい。

 今の私は超ラッキーガール。絶対にやりとげられるはず!!!

 謎の自信はステータスの完全制覇が物語っている。

--------------------------------
 クロエ・スカーレット(17歳)
      Lv.25

属性:火・地・風・闇・光

HP(体力)…………… 210
MP(魔力)…………… 7500
ATK(物理攻撃力) … 180
MAT(魔法攻撃力) … 4000
DEF(物理防御力) … 140
MDF(魔法防御力) … 4000
LUK(運の強さ) …… 999

親密度
アメリア(幼馴染)…… 820/999★
クロム(婚約者)……… 945/999★
ナイル(婚約者の弟)… 860/999★
ガイウス(執事|暗殺者) 938/999★
ハル(占い師)………… 755/999★
ルカ(魔法局長)……… 804/999★
ジーン(用心棒)……… 787/999★
シモン(近衛師団長)… 820/999★

特別スキル
スチル耐性……………… 940
虫の知らせ……………… 999

--------------------------------

 あれから頑張ったおかげで、全員750越えを達成した。
 回収できていなかったスチルもいくつか回収できた。まだスチルに穴はあるけど、多分大丈夫なはず。


『あ、クロエ様。ひとつだけお伝えし忘れたことがございます』

「なあに?」

『エンディングが終わった後に語られなかった真実でございます。特定の誰かを選んだら、その方以外の全員との親密度が500になります。本来の上限いっぱいでございます。
 また、友情エンディングを迎えた場合は全員が二段階にアップする前……つまり、親密度500となります。
 エンディングで一度下がると、今後の上限解放もありませんのでお気を付けくださいませ』

「え……嘘でしょ? じゃあ、友情エンドか特定の誰かとのエンドを選ばなかった場合って……」

『クロム様と政略結婚または、アメリア様が今後の学園生活で頑張られてクロム様の愛情を勝ち取った場合は、アメリア様のシナリオ通り追放されることとなります。上限解放がなされませんので、アメリア様とは親密度を上げることはできません』


 なんということだろう、私のシナリオが終わってもアメリアシナリオは生きたまま……あまりに残酷な未来すぎませんか?


「はい、ウエンディ先生! もし、クロムと恋愛エンドでアメリアが頑張っちゃう場合はありえますか?」

『それは……あり得ません。クロム様がアメリア様に見向きもされません。なにせ親密度がカンストしますので心変わりしようがありません。それにつきましては、どの方とのエンディングをお迎えになった場合も同様となりますのでご安心ください』

「はー、それはまあ……良かったかな。どのエンディングを迎えても、バッドエンドさえ選ばなければ問題ないのね」

『ハイ、バッドエンドさえ選ばなければ……フフフ』

「怖い、怖いよウエンディさん、なにその含み笑い」

『とにかくそろそろ準備のお時間でございます。間もなくメイドたちがクロエ様を磨き上げる為にこの部屋にやってまいります』


 コンコン

 ウエンディが話し終えると、今がタイミングとばかりにメイド長を筆頭にメイドが数名部屋に乱入……いえ、私の身支度の為に入ってきて、身なりを整えてくれる。
 今日は一段と気合が入っていてあれこれと着せ替えショーが始まった。


「お嬢様のスカーレット色の髪には、どのお色もお似合いですわ」

「白ですと場が華やかになられますわ。黒もシックで大人の魅力が漂いますわ」

「赤も素敵ですわ。燃えるような情熱の色。こちらの青緑も良くお似合いです」

「暗い緑も素敵ですわ。この深い青色もお似合いです」

「同系色のピンクや赤紫も良くお似合いです。こちらのベージュのドレスも高級感があふれます」

「「「お嬢様、どのお色をお召しになりますか?」」」


 一度にあれこれ聞かれて、プチパニックに陥った私はどれでもいいよとメイドにドレス選びを任せた。
 どの色も良く似合ったので、きっとメイドたちはこの日の為に色々選んでくれたんだろうと思うから、その気持ちを受け取りたいと思ったのよね。

 あんなに慌ただしかったのに、もう昼前。着替えってこんなに時間かかりましたっけ?
 お腹空いたぁ!

 どんな状況か知りたいけど、私の自室からはパーティ会場の様子を知ることが出来ない。
 というより、見えない場所にしたんだろうなあくらいは察せる。
 主賓にサプライズしたいもんね、やっぱりね! でも、ちゃんと人が集まってるかどうかすごく気になってソワソワする。なんせ今までといえば、ごく少数の取り巻きしか集まらなかったのだから。


「でも、今日は……みんな集まってくれるといいな」


 思わず口から滑り出した言葉は、自分へのダメージに繋がった。過去のイメージが走馬灯のように流れ、一気に不安が広がる。
 そんな時にノックの音が響くものだから……私の心臓は飛び出る勢いで鳴り、思わず「ひゃい」なんて間抜けな返事をしてしまった。


「お嬢様、皆様がお待ちでございます」


 執事頭に呼び出されると、エスコート役はお父様だった。
 お父様は私のドレス姿を見て涙ぐんでいる。


「おお、クロエ。そのドレス良く似合っているよ。娘の晴れ舞台にと色々作らせて良かった」

「お父様ったら、もう。今日お嫁に行くわけでもないのですから……」


 そう言うと「そう言われればそうか」と、急にニコニコ笑顔になったお父様の腕に手を添えて、私はパーティー会場へと足を踏み出した。

 誕生日さえ終われば、私の夢見るレッツ引きこもりライフの始まりなんだからっっ!


──────────────────

どのルートを選びますか?

▷やっぱり友情エンドよね?→次のページへ
▷もちろん正規ルートのクロムエンド!→P77へ
▷見てみたいのはナイルエンドかも→P78へ
▷ここはガイウスエンドじゃないの?→P79へ
▷男前ハルエンド一択→P80へ
▷年下くらいがちょうどいいルカエンド!→P81へ
▷推し活がんばれジーンエンド!→P82へ
▷大人の魅力でシモンエンドかな!→P83へ
▷禁断のアメリアエンド!→P84へ
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