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ゲーム中盤

ご都合展開で引きこも…れない①

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 「誰がどこにいるか分かるMAP」をあらかじめチェックして、効率よく行く場所を決めた私は、まず街でシモンへのプレゼントを買う事にして街へ繰り出した。

 出かける時の「難関第一位」はガイウス。
 親密度が高いうえに、現在恋愛エンディングに発展する可能性が一番高い人物なので、なるべく家で遭遇しないよう一番気を遣っている。
 一緒の屋敷に住んでいるうえに、ガイウスは暗殺者。
 気配の察知能力がハンパなさすぎて、行く場所に必ずと言っていいほど待機しているのは、執事としてとても優秀だとは思う。
 うん、仕事としては完璧なんだけど、今の段階でまだ恋愛イベント最終スチルを出すわけには行かないし、出来るだけ事務的に接するように気を遣うのが大変なんだよね。

 ガイウスはM属性だから、強めに命令すればグイグイ来るのをやめてくれるので、そこは良かったと思う。
 今も護衛に着いてくると言うので、別に仕事を任せることで諦めさせたところだったりする。

 市場でシモンへの専用攻略アイテムプレゼントを購入し、そういえばルカにもまだプレゼントはあげていなかったことを思い出して、ルカの専用攻略アイテムプレゼントも購入した。

 シモンは紅茶が好きなので、紅茶葉のセット。あまり見ないミントティーがあったので、思わず一緒に購入してみたんだけど喜んでくれるかな?
 ゲームでは紅茶葉セットと言う名前だけだったから、中身を選べるのは楽しかったかも。
 ルカにはおうちで簡単プラネタリウムセット。アメリアでプレイした時に出たスチルは、本来の年齢に見合うとびきりキラキラした笑顔のイラストで、結構キュンとくるんだよね~!
 今の私はLUK777、ご都合展開何でもござれ状態なんだから、同じスチルが来てほしいなぁ。多少は期待しちゃっていいよね?

 ルンルン気分で魔法局までたどり着くと、ちょうど建物内からシモンが出てくるところだった。
 少し時間がズレていたら別の場所に移動していたかもと思うと、ラッキーすぎる!
 これが「ご都合主義フィーバー」の力なのかな?
 とにかく逃してはいけないので声をかける。


「シモンさま~~~~~!!!」


 私に気付いたシモンは、軽い会釈をして私が近くに来るまで待ってくれた。
 さすが、紳士~!


「シモン様、お呼び止めして申し訳ありません」

「いいえ。クロエ様にお逢いできて私も大変嬉しいです。こちらこそ先日は緊急時だったとはいえ、あなたには大変な非礼を……」

「あああああ。あれはもう、仕方ありませんわ。ジーンに押し切られる形になっただけですし、実際には何もないことですから、私は全く問題ありません」


 何度も反芻したはずなのに、本人を目の前にして《あのシーン》を一瞬思い出し、顔を赤らめてしまった。
 顔が赤くなるほど私が怒っているとでも思ったのか、シモンは申し訳ない顔をしている。
 多分、シモンは私がナイルに口移しして助けたことになってしまって、嫁入り前の娘に変な噂になるかもしれない事を負わせてしまったと、多少なりとも負い目があるんだと思う。
 違うんです! 赤くなったのはあなたがとても素敵だからですよー!と心の中で訂正してみるものの、届くわけはないのも分かってる。早めに本題を切り出そう! そうしよう!


「シモン様、こちらをどうぞ。あの討伐が上手く回避できましたのも、シモン様がいらしてこそでした。お礼の気持ちです。受け取っていただけますか?」


 渡した紅茶葉のセットをシモンは意外そうな顔で受け取り、中身を見て微笑んだ。


「クロエ様は、どうして私の好きなものをご存知なのですか?」


 スチルで白バラを背後に背負ったシモンは、優しい笑顔で微笑んでいる。
 思わず目が釘付けになるほど魅力的だ。


「クロエ様?」


 私がシモンのスチルに見とれてぼんやりしてしまったので、怪しまれちゃったかな?
 慌てて話を続ける。


「あ、ええ! シモン様はお茶菓子がお好きな様子だったので、もしかしたら紅茶がお好きなのでは?と思ったのです。間違っていなくて良かったですわ」

「間違うも何も、クロエ様からいただいた贈り物であれば何でも嬉しいです。中でもこのミントティーは、リラックスできる香りが大好きなのです。大切にいただきます。ありがとうございます」

「いいえ、こちらこそ色々と助かりました。ありがとうございます」


 どうやら、ミントティーは好みの茶葉だったらしい。ここでもご都合補正が効いたみたい。
 既にご都合主義の連続で、ちょっと怖くなってきたのは内緒にしておこう。

 一応スチルも見れたし500オーバーは確定かな?

 そんなことを思案していたら、シモンからお誘いを受けてしまった。


「クロエ様、次の休日はお時間あるでしょうか? 是非このお茶を一緒に召し上がりませんか? ご迷惑でなければ、私が菓子など用意しましょう。」

「え!!? シモン様がお菓子をお作りに? それは光栄です! ぜひお伺いいたしますわ!」


 イケてるおじさまのエプロン姿をナマで見れるなんて、そんなヨダレ案件断るものですか!
 次の休日の約束を取り付けて、シモンとはここで別れる。
 ひとまず相手からの誘いがあったことで、シモンの親密度は500を超えられたようなので一安心。

 気合いを入れ直して、今度はルカの元へ急いだ。
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