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「栗栖くん、お客様にそのような口のきき方は感心せぇへんよ?」
この人がオーナーだろうか?
コック帽をかぶり、白い調理服を身に着けている。
サラサラな栗色の少し長い髪をひとつに束ね、細い目元にはほくろが2つ。
差し色の赤いタイがとても似合っていて、こちらも信じられないくらいのイケメンだ。
しかもちょっと言葉のイントネーションが京なまり。それだけで落ちる女の子もいるのではないだろうか。
こんなイケメンが料理作ってくれて、それをきれいな男の子が給仕してくれるなんて、たとえ味が酷くマズくても女の子が放っておかないんじゃないの?
ファンクラブが存在してもおかしくないレベルの美形なんて、テレビでしか見た事ないよ!?
目の前のイケメン二人にずっと口があんぐりと開いたままの私に気が付き、コック帽をかぶった男性はにこやかに会釈した。
「本日の限定クーポン当選者の板狩杏美様ですね。僕はこのリーフ亭のオーナー兼料理長の狐崎碧葉と申します。」
「あ、はい!確かに私は板狩杏美ですが、何故私の名前を?」
「うちの店のクーポンは、1日おひとり様にしか発行しておりません。当選したお客様の個人情報はクーポンサイトから届くんですけど・・・ああ、個人情報は怪しいことには使いませんから、ご安心くださいね。」
「そうなんですね。ところで、ランチ時なのにどうしてこのお店、こんなに人が・・・?」
「それは・・・単刀直入に、この店に人が自力でたどり着けねーからだよ。」
「確かに、私もあの子猫ちゃんが導いてくれなかったら、私はリーフ亭には辿り着けていなかったかも。」
「子猫・・・!!!あかん、くはっ!!!」
私の子猫ちゃんという言葉を聞いて、オーナーの狐崎は噴き出してしまった。
正確には、必死で笑いをこらえているのだけれど、バレバレだ。そんなに笑いのツボなの?子猫が??
「うっせえ!!!オマエは早くランチ作って来いよ、オーナー!!!」
恐らくバイトであろう栗栖が、狐崎に向かって悪態をついている。
笑いをこらえているのか顔が真っ赤だ。彼にも子猫はツボだったのだろうか?
はいはい、とまだ肩を震わせている狐崎は厨房へと消えて行った。
「アンタはこっち。」
栗栖は、何が気に入らないのか口をとんがらせて、ぶっきらぼうな物言いで私を席に案内する。
何だかんだ言いながら、椅子を引いて座らせてくれたりと物腰は優雅だ。
この人がオーナーだろうか?
コック帽をかぶり、白い調理服を身に着けている。
サラサラな栗色の少し長い髪をひとつに束ね、細い目元にはほくろが2つ。
差し色の赤いタイがとても似合っていて、こちらも信じられないくらいのイケメンだ。
しかもちょっと言葉のイントネーションが京なまり。それだけで落ちる女の子もいるのではないだろうか。
こんなイケメンが料理作ってくれて、それをきれいな男の子が給仕してくれるなんて、たとえ味が酷くマズくても女の子が放っておかないんじゃないの?
ファンクラブが存在してもおかしくないレベルの美形なんて、テレビでしか見た事ないよ!?
目の前のイケメン二人にずっと口があんぐりと開いたままの私に気が付き、コック帽をかぶった男性はにこやかに会釈した。
「本日の限定クーポン当選者の板狩杏美様ですね。僕はこのリーフ亭のオーナー兼料理長の狐崎碧葉と申します。」
「あ、はい!確かに私は板狩杏美ですが、何故私の名前を?」
「うちの店のクーポンは、1日おひとり様にしか発行しておりません。当選したお客様の個人情報はクーポンサイトから届くんですけど・・・ああ、個人情報は怪しいことには使いませんから、ご安心くださいね。」
「そうなんですね。ところで、ランチ時なのにどうしてこのお店、こんなに人が・・・?」
「それは・・・単刀直入に、この店に人が自力でたどり着けねーからだよ。」
「確かに、私もあの子猫ちゃんが導いてくれなかったら、私はリーフ亭には辿り着けていなかったかも。」
「子猫・・・!!!あかん、くはっ!!!」
私の子猫ちゃんという言葉を聞いて、オーナーの狐崎は噴き出してしまった。
正確には、必死で笑いをこらえているのだけれど、バレバレだ。そんなに笑いのツボなの?子猫が??
「うっせえ!!!オマエは早くランチ作って来いよ、オーナー!!!」
恐らくバイトであろう栗栖が、狐崎に向かって悪態をついている。
笑いをこらえているのか顔が真っ赤だ。彼にも子猫はツボだったのだろうか?
はいはい、とまだ肩を震わせている狐崎は厨房へと消えて行った。
「アンタはこっち。」
栗栖は、何が気に入らないのか口をとんがらせて、ぶっきらぼうな物言いで私を席に案内する。
何だかんだ言いながら、椅子を引いて座らせてくれたりと物腰は優雅だ。
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