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お前では無理だ※
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ヴィクトル様の手が伸びてきて、下着の上からゆっくりと上下になぞられていくと下着の中がぬるぬるしていて気持ち悪い。変な感覚がある。
私は目を閉じて必死にその行為が終わるのを待っていたがヴィクトル様の指は止まることなく敏感な部分に触れてきて身体がびくんと反応してしまった。
「あっ、ん……」
目を瞑っていたせいで余計に感覚が敏感に伝わって上手く声が抑えられない。もう早く終わってほしいのにヴィクトル様の手がいつの間にか下着の中にまで入り込んでいた。
「っ……!」
初めて自分以外の手がその場所に直接触れられる感覚で体が強張る。これから何をされるのかわからなくて怖いのにヴィクトル様の指はそこに触れているだけでいやらしい気分が高まって頭がおかしくなりそう。
ヴィクトル様が私の顔を観察するかように覗き込みながらそこを指先で押した瞬間、またびくんと体が大きく跳ねて自分でも信じられないくらいの声が漏れた。
「ひぁっ……!」
そこばかり執拗に指で刺激され続けて下半身からじわじわと何かが上がってくる感覚に戸惑いを隠せない。
ヴィクトル様の指の動きがどんどん早くなってくにつれて、私の声も我慢が出来なくなり、気づいたら下半身から耳を塞ぎたくなるような水音が聞こえて来ていた。
「やっ……あぁん……んんっ」
恥ずかしくて嫌なのに……こんな愛の無い指でも気持ち良くなることってあるのだろうか。女性馴れしているしているから初めての私でもたくさん濡れてしまうのかな?
「あっ、ダメ……なんか、きちゃ……んんんっ!」
ヴィクトル様の指が何度もそこを擦り上げて私を絶頂へと押し上げていくと一際大きな波が襲ってきて背中が仰け反りながら大きい声が出た。
私の中で何かが弾けて全身がびくびくと震えて体から力が抜けていく。何も考えられずにただはあはあと大きく肩で呼吸をするのが精一杯で、足に力が入らない。自分では動かせなくて痙攣したように小刻みに震えてるのが自分でもわかる。
「そのままにしていろ」
ヴィクトル様の目には何の感情も無くて、ただ冷たいだけの視線を私に向けていた。たぶん、今から男の人のアレを入れて子供を作る作業をするのだと思う。本で読んだ。
初めて男の人に抱かれるけれど今の私にはそれが義務的なものだと思い込んでいたのでそれほど抵抗する気持ちは無かった。
ただ、ヴィクトル様の顔があまりにも無表情で怖かった。感情の無い目に射抜かれると怖くてシーツを掴むことしかできなくて、体が震えた。
ヴィクトル様が自分のベルトをカチャカチャと外している音が部屋の中に響く。早く終わって欲しい。そしてこの部屋から消えて……
「や……だ……」
嫌だ。ヴィクトル様の赤ちゃん産みたくない。中にヴィクトル様を入れたくない。誰か、ミーティアお姉様助けて。
ベルトの金具が外れた金属音を聞いた。ヴィクトル様は自分のズボンに手を掛けるがそこで動きが止まってしまう。
どうしたんだろうとヴィクトル様を見ると無表情だったその顔が少しだけ苦しそうに歪んでいるように見えた。
「あ、の……」
なんて声をかけようか迷っているとヴィクトル様はすぐにいつもの表情に戻り、私を見て嘲笑するような顔で言葉を吐き捨てる。
「お前では無理だ」
その言葉を聞いて先程まで昂っていた感情が一気に冷めていくのを感じた。
そうだ。嫌っている女を義務でも抱くなんてヴィクトル様にとっては苦痛でしかないに違いない。
抱かれなくて安心をしたのと同時に私にはもう、何も価値がないと言われているようでとても悲しくなった。
心の奥底に少しの期待があったことも恥ずかしい。ほんの少しでも女として愛してくれるのではないかと。
そんなわけない。ヴィクトル様は私のことを嫌っているのだから、子供さえ産んでくれればいい。じゃなくて本心では私にヴィクトル様の子を産んですら欲しくないのかもしれない。
「ほ、他の方に子供を産ませるの、ですか……?」
震える声で聞いてみるとヴィクトル様は私を見て吐き捨てるように言った。
「そんなわけ無いだろう。お前は女を磨け」
あ……まだチャンスがあった。ヴィクトル様に子供を作ることが求められているうちはまだ使い道がある。
ミーティアお姉様の変わりにヴィクトル様の子供を産んで、その子を大人になるまで育てて、年老いて死ぬ。
それが誰にも期待をされずに死ねばよかったと言われた私に残された唯一の役割。
興醒めしてしまったヴィクトル様は服を整えて部屋を出て行ってしまい、私はまた一人になった。
この部屋が最後の安息の場所かと思っていたのに、いきなりズカズカと入られるようなら心が休む場所なんて何処にもないのかもしれない。
「気持ち悪い……」
下着がぐっしょりとして気持ち悪い。こんな姿、誰にも見られたくないからメイドを呼ばずに自分一人で着替えよう。
抱かれなくて良かったと安心してる自分と抱いてもらえなくて落胆している心が割れてて、自分の感情がわからない。
唯一相談できる相手がミーティアお姉様だけだったのにその人はもうこの世から消えてしまった。
本当にヴィクトル様が言ったように私が代わりに死んでいれば誰も不幸になるなんてなかったのに。
私は目を閉じて必死にその行為が終わるのを待っていたがヴィクトル様の指は止まることなく敏感な部分に触れてきて身体がびくんと反応してしまった。
「あっ、ん……」
目を瞑っていたせいで余計に感覚が敏感に伝わって上手く声が抑えられない。もう早く終わってほしいのにヴィクトル様の手がいつの間にか下着の中にまで入り込んでいた。
「っ……!」
初めて自分以外の手がその場所に直接触れられる感覚で体が強張る。これから何をされるのかわからなくて怖いのにヴィクトル様の指はそこに触れているだけでいやらしい気分が高まって頭がおかしくなりそう。
ヴィクトル様が私の顔を観察するかように覗き込みながらそこを指先で押した瞬間、またびくんと体が大きく跳ねて自分でも信じられないくらいの声が漏れた。
「ひぁっ……!」
そこばかり執拗に指で刺激され続けて下半身からじわじわと何かが上がってくる感覚に戸惑いを隠せない。
ヴィクトル様の指の動きがどんどん早くなってくにつれて、私の声も我慢が出来なくなり、気づいたら下半身から耳を塞ぎたくなるような水音が聞こえて来ていた。
「やっ……あぁん……んんっ」
恥ずかしくて嫌なのに……こんな愛の無い指でも気持ち良くなることってあるのだろうか。女性馴れしているしているから初めての私でもたくさん濡れてしまうのかな?
「あっ、ダメ……なんか、きちゃ……んんんっ!」
ヴィクトル様の指が何度もそこを擦り上げて私を絶頂へと押し上げていくと一際大きな波が襲ってきて背中が仰け反りながら大きい声が出た。
私の中で何かが弾けて全身がびくびくと震えて体から力が抜けていく。何も考えられずにただはあはあと大きく肩で呼吸をするのが精一杯で、足に力が入らない。自分では動かせなくて痙攣したように小刻みに震えてるのが自分でもわかる。
「そのままにしていろ」
ヴィクトル様の目には何の感情も無くて、ただ冷たいだけの視線を私に向けていた。たぶん、今から男の人のアレを入れて子供を作る作業をするのだと思う。本で読んだ。
初めて男の人に抱かれるけれど今の私にはそれが義務的なものだと思い込んでいたのでそれほど抵抗する気持ちは無かった。
ただ、ヴィクトル様の顔があまりにも無表情で怖かった。感情の無い目に射抜かれると怖くてシーツを掴むことしかできなくて、体が震えた。
ヴィクトル様が自分のベルトをカチャカチャと外している音が部屋の中に響く。早く終わって欲しい。そしてこの部屋から消えて……
「や……だ……」
嫌だ。ヴィクトル様の赤ちゃん産みたくない。中にヴィクトル様を入れたくない。誰か、ミーティアお姉様助けて。
ベルトの金具が外れた金属音を聞いた。ヴィクトル様は自分のズボンに手を掛けるがそこで動きが止まってしまう。
どうしたんだろうとヴィクトル様を見ると無表情だったその顔が少しだけ苦しそうに歪んでいるように見えた。
「あ、の……」
なんて声をかけようか迷っているとヴィクトル様はすぐにいつもの表情に戻り、私を見て嘲笑するような顔で言葉を吐き捨てる。
「お前では無理だ」
その言葉を聞いて先程まで昂っていた感情が一気に冷めていくのを感じた。
そうだ。嫌っている女を義務でも抱くなんてヴィクトル様にとっては苦痛でしかないに違いない。
抱かれなくて安心をしたのと同時に私にはもう、何も価値がないと言われているようでとても悲しくなった。
心の奥底に少しの期待があったことも恥ずかしい。ほんの少しでも女として愛してくれるのではないかと。
そんなわけない。ヴィクトル様は私のことを嫌っているのだから、子供さえ産んでくれればいい。じゃなくて本心では私にヴィクトル様の子を産んですら欲しくないのかもしれない。
「ほ、他の方に子供を産ませるの、ですか……?」
震える声で聞いてみるとヴィクトル様は私を見て吐き捨てるように言った。
「そんなわけ無いだろう。お前は女を磨け」
あ……まだチャンスがあった。ヴィクトル様に子供を作ることが求められているうちはまだ使い道がある。
ミーティアお姉様の変わりにヴィクトル様の子供を産んで、その子を大人になるまで育てて、年老いて死ぬ。
それが誰にも期待をされずに死ねばよかったと言われた私に残された唯一の役割。
興醒めしてしまったヴィクトル様は服を整えて部屋を出て行ってしまい、私はまた一人になった。
この部屋が最後の安息の場所かと思っていたのに、いきなりズカズカと入られるようなら心が休む場所なんて何処にもないのかもしれない。
「気持ち悪い……」
下着がぐっしょりとして気持ち悪い。こんな姿、誰にも見られたくないからメイドを呼ばずに自分一人で着替えよう。
抱かれなくて良かったと安心してる自分と抱いてもらえなくて落胆している心が割れてて、自分の感情がわからない。
唯一相談できる相手がミーティアお姉様だけだったのにその人はもうこの世から消えてしまった。
本当にヴィクトル様が言ったように私が代わりに死んでいれば誰も不幸になるなんてなかったのに。
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