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ダークエルフの誘惑編
守りたいもの、奪われるもの
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数日後、穏やかな朝の光が差し込む中、シリウスはステラを学校に送り届けるため、家を出た。
アステルはその姿を見送り、彼の背中が小さくなるのをじっと見つめていた。
シリウスの表情はいつも以上に険しかった。すれ違う花々の香りが日常の平穏を感じさせる一方で、家の中に残る緊張感はまるで重しのようにのしかかっている。
「ステラさん、仲直りができてよかったですね」
共に見送っていたキャロラインが微笑む。その言葉は暖かさを持っており、アステルの心には安心感を与えられた。
「ええ、素直な所がお父さんに似ているの、あの子」と
アステルは嬉しそうに返事をする。少しだけ笑顔を浮かべたが、その裏には心配事が渦巻いていた。思考が霧のようにまとわりつき、自然と表情が曇る。
その時、フクロウのヴァンが静かにアステルの肩に止まり、彼女の心を引き戻した。いつも冷静で、敏感に周囲の雰囲気を感じ取る存在。
今、ヴァンは緊張した様子で周囲を見渡し、その視線は警戒心を強めていた。
「どうしたの、ヴァン?」
アステルが声をかけると、ヴァンは視線を鋭くし、まるで何かを警告するかのように反応した。
その時、静かに姿を現したのはヴェラだった。彼女は一見無表情で淡々としているが、その存在はアステルの心に重苦しい気配をもたらす。ヴェラは近づいてきて冷静な声で言った。
「ダークエルフの未来のためにも一時的に別れてください。そして、シリウスを説得し、彼の解放を」
その言葉は、まるで冷たい刃のようにアステルの心に突き刺さった。思考が停止し、一瞬、言葉を失った。何が正しいのか、何を選ぶべきなのか。心の中で葛藤が渦巻き、安定した日常が一瞬で崩れ去る感覚を覚えた。
「なんなのですか貴女は!」
キャロラインがきりっとした表情でアステルの前に出ようとした瞬間、ヴェラが彼女を睨みつけるとキャロラインは一瞬怯み、その場に立ち竦んでしまって、アステルの隣で固まっている。
まるでアステルがシリウスを縛り付けて拘束しているかのような物言いだ。常識的に考えればエルフとダークエルフの夫婦なんて見たことも聞いたことのない。
あまりにも不釣り合いなものだからそう見えるのは仕方ないだろう。
「解放って……そんな言い方」
アステルが言いかけるとヴェラは冷笑した
「どのような手を使って彼を操っているのかはわかりませんが貴女の都合で彼を束縛しているのではないでしょうか?それはダークエルフの自由を奪っています」
「違います!二人はちゃんと愛し合っています!」
「キャロライン、落ち着いて」
アステルの代わりにキャロラインが叫ぶようにヴェラの言葉を否定しようとするが、アステルは冷静にキャロラインを宥めた。
キャロラインは一瞬息を呑んで口を押さえ、深呼吸をして気持ちを落ち着けてからヴェラを睨む。
「それをどうやって証明するのですか?証明できなければ、貴女が彼の自由を束縛し、彼の意志と尊厳を踏み躙っているということになります」
周囲の草花がザワザワと騒ぎ始め、空が曇り始める。
アステルは一瞬言葉に詰まったが、次の瞬間、心の奥底から湧き上がる強い想いを素直に口にした。
「そうです……私の我儘。私はシリウスに片時も離れずにいてほしい。彼もいることで私の世界は輝いている。私が彼の自由を奪っています。シリウスは私の心の支えであり、私たちの大切な人です」
そうだ。我儘だ。シリウスを愛したのもステラを産んだものアステルのエゴであり我儘なのだ。だからアステルはシリウスを必要とし、支え、愛している。
アステルの言葉が静寂の中に響いた瞬間、ヴェラの表情が変わった。彼女は一瞬、目を大きく見開き、アステルの真摯な瞳を凝視した。
「意味がわかりません」
ヴェラは理解ができないという表情でアステルを見つめていた。
アステルとヴェラの間に流れる緊張感が高まる中、ふいに遠くから足音が聞こえてきた。見回りの騎士たちが近づいてくる音だった。
ヴェラは冷静だった。騎士たちが彼女に気づくや否や、彼女は素早く動き出した。流れるような身のこなしで彼女は目の前の道を駆け抜けていく。その動きはまるで一瞬の光のようで、周囲の草花が彼女の動きに呼応するかのように揺れた。
◆
シリウスがステラを連れて学校から戻ってきた。それはいつもよりかなり早い昼下がりのことだった。
アステルがヴェラと接触をしたと聞いて心配になり、学校を早退させたそうだ。
アステルとシリウスは先ほどの出来事を話し合うため、工房へと足を運んだ。リビングではキャロラインがステラの面倒を見ており、今日はケルヴィンは来ない日なので丁度いい。
工房の中は木の温もりと柔らかな光に包まれていたがシリウスの表情はその静かな空間とは対照的に険しかった。
彼は内に秘めた感情を抑え込もうとしている。心の奥ではアステルがヴェラと接触したことを知り、何が起こったのか不安が募っている。アステルの心にも緊張が漂っていた。
「怪我はしていないか?」
最初にシリウスはアステルの表情を窺いながら慎重に言葉を選んだ。
「大丈夫よ。何も無かった」
それに対してアステルは少し間を置いてから答える。その言葉に少し安堵したものの、彼女の目には不安が宿っていた。
「何か言われたのか?」
シリウスが次の質問を尋ねるとアステルは俯いて沈黙した。ヴェラの鋭く冷静な眼差しが脳裏に焼き付いて離れない。彼女は何を思ったのか、その答えはわからないままだった。
「アステル?」
シリウスが心配そうに声をかけるがアステルの心はまだ整理できておらず、言葉が出てこない。彼は静かに彼女の肩を掴もうとするが、その前にアステルが顔を上げた。
「大丈夫、ちゃんと話す」
彼女は自分に言い聞かせるように。深呼吸してから言った。
「説得してほしいって。穏便に済ませたいから」
アステルは慎重に言葉を選びつつ答えた。心臓が早鐘のように高鳴り、シリウスは何も言わずにアステルを見つめる。
その姿を見て、不安が彼女の心に重くのしかかる。彼がどんな感情を抱いているのかわからないが、明らかに良いものではないことだけはわかった。
「あの女」
シリウスの声は平坦だったが、静かな怒りに満ちていた。シリウスが同族であるヴェラのことを『あの女』と呼んだことにアステルは恐怖を覚えていた。
「他に何を言われた?」
シリウスが問いただすとアステルは返答に迷う。嘘をつき通せる自信もなく、仕方なく正直に話すことにした。
「貴方を解放してほしいって……」
その言葉を聞いた瞬間、シリウスの瞳が揺れた。彼は歯を食いしばりながら静かに告げる。
「あまり下手に出すぎるのも良くないな……」
その言葉と共に重苦しい沈黙が広がる中、アステルは落ち着かせようとシリウスの手を握った。彼の手は冷たく、かすかに震えている。
「辛い思いをさせて……すまない」
シリウスが謝罪するとアステルは小さく首を横に振る。そして二人はしばらく押し黙った後、ゆっくりと見つめ合う。視線が絡み合う中でアステルは彼の目の中に不安と恐怖を読み取ることができた。
「今はまだいいが……このまま長引けば……」
シリウスはその言葉を切り出し、アステルの手を握り返す。彼女の瞳を見つめると、そこには切実さと不安が入り混じった複雑な色が浮かんでいた。その奥に潜む深い悲しみが見えて、アステルは息が苦しくなる。
「俺はもう……離れたくないんだ」
シリウスは絞り出すように言った。その言葉を聞いた瞬間、アステルの中で悪い予想が頭を巡る。
「何を言って」
アステルは途中で言葉を失った。この先を聞きたくないと思ったからだ。しかし、シリウスは続けた。
「俺が行けば全てが解決するのだろうか……」
その一言を聞いた瞬間、アステルの体は凍り付いたように動かなくなった。まるで地面がなくなってしまったような感覚に襲われ、息が止まりそうな程苦しくなり、頭の中が真っ白になる中、シリウスの言葉はさらに続いた。
「俺だけが苦しむなら別にいい。だが、俺の家族は……どうなる?」
シリウスの弱音は容赦なく彼女の心に突き刺さっていたが、アステルは必死になって声を出した。
「シリウス、彼女は何も手出しはしないって約束をしてくれたのでしょう?それに何かすれば貴方が許さないのを理解しているから、口だけの警告をした」
「…………」
シリウスはアステルの言葉を聞きながら、彼女の手を握りしめる。その手はとても冷たく感じられた。まるで時間が止まったかのように、二人は動かないまま向き合っていた。
アステルも揺れていた。何かがあってからでは遅いのだ。自分が酷い目に遭うのは耐えられる。しかし、ステラに何かあってからでは遅い。その思いが彼女の心を揺さぶる。
「シリウスはステラを守ることだけを考えて」
アステルは絞り出すように言葉を紡いだ。しかし、シリウスの顔は変わらず曇っている。
「わかった……」
シリウスの声は掠れていた。それでも同時に安堵も感じていた。アステルが引き留めてくれたことに内心、ほっと胸を撫で下ろした。
もしもアステルにダークエルフの里に行ってほしいと言われたらシリウスは行くだろう。ステラを危険から守るためだと言われたらシリウスは大人しく行くのだ。
(いつの間にか選択権は私にあるのね……)
選択権はシリウスにあると思っていたが、実際にはアステルの手に握られていることに気づく。
ヴェラの言っていたことがそのまま現実になったような気がした。
しかし、アステルは決めたのだ。ステラの母として娘を守ると。そして、夫を自分の傍に置いておくと。
アステルはその姿を見送り、彼の背中が小さくなるのをじっと見つめていた。
シリウスの表情はいつも以上に険しかった。すれ違う花々の香りが日常の平穏を感じさせる一方で、家の中に残る緊張感はまるで重しのようにのしかかっている。
「ステラさん、仲直りができてよかったですね」
共に見送っていたキャロラインが微笑む。その言葉は暖かさを持っており、アステルの心には安心感を与えられた。
「ええ、素直な所がお父さんに似ているの、あの子」と
アステルは嬉しそうに返事をする。少しだけ笑顔を浮かべたが、その裏には心配事が渦巻いていた。思考が霧のようにまとわりつき、自然と表情が曇る。
その時、フクロウのヴァンが静かにアステルの肩に止まり、彼女の心を引き戻した。いつも冷静で、敏感に周囲の雰囲気を感じ取る存在。
今、ヴァンは緊張した様子で周囲を見渡し、その視線は警戒心を強めていた。
「どうしたの、ヴァン?」
アステルが声をかけると、ヴァンは視線を鋭くし、まるで何かを警告するかのように反応した。
その時、静かに姿を現したのはヴェラだった。彼女は一見無表情で淡々としているが、その存在はアステルの心に重苦しい気配をもたらす。ヴェラは近づいてきて冷静な声で言った。
「ダークエルフの未来のためにも一時的に別れてください。そして、シリウスを説得し、彼の解放を」
その言葉は、まるで冷たい刃のようにアステルの心に突き刺さった。思考が停止し、一瞬、言葉を失った。何が正しいのか、何を選ぶべきなのか。心の中で葛藤が渦巻き、安定した日常が一瞬で崩れ去る感覚を覚えた。
「なんなのですか貴女は!」
キャロラインがきりっとした表情でアステルの前に出ようとした瞬間、ヴェラが彼女を睨みつけるとキャロラインは一瞬怯み、その場に立ち竦んでしまって、アステルの隣で固まっている。
まるでアステルがシリウスを縛り付けて拘束しているかのような物言いだ。常識的に考えればエルフとダークエルフの夫婦なんて見たことも聞いたことのない。
あまりにも不釣り合いなものだからそう見えるのは仕方ないだろう。
「解放って……そんな言い方」
アステルが言いかけるとヴェラは冷笑した
「どのような手を使って彼を操っているのかはわかりませんが貴女の都合で彼を束縛しているのではないでしょうか?それはダークエルフの自由を奪っています」
「違います!二人はちゃんと愛し合っています!」
「キャロライン、落ち着いて」
アステルの代わりにキャロラインが叫ぶようにヴェラの言葉を否定しようとするが、アステルは冷静にキャロラインを宥めた。
キャロラインは一瞬息を呑んで口を押さえ、深呼吸をして気持ちを落ち着けてからヴェラを睨む。
「それをどうやって証明するのですか?証明できなければ、貴女が彼の自由を束縛し、彼の意志と尊厳を踏み躙っているということになります」
周囲の草花がザワザワと騒ぎ始め、空が曇り始める。
アステルは一瞬言葉に詰まったが、次の瞬間、心の奥底から湧き上がる強い想いを素直に口にした。
「そうです……私の我儘。私はシリウスに片時も離れずにいてほしい。彼もいることで私の世界は輝いている。私が彼の自由を奪っています。シリウスは私の心の支えであり、私たちの大切な人です」
そうだ。我儘だ。シリウスを愛したのもステラを産んだものアステルのエゴであり我儘なのだ。だからアステルはシリウスを必要とし、支え、愛している。
アステルの言葉が静寂の中に響いた瞬間、ヴェラの表情が変わった。彼女は一瞬、目を大きく見開き、アステルの真摯な瞳を凝視した。
「意味がわかりません」
ヴェラは理解ができないという表情でアステルを見つめていた。
アステルとヴェラの間に流れる緊張感が高まる中、ふいに遠くから足音が聞こえてきた。見回りの騎士たちが近づいてくる音だった。
ヴェラは冷静だった。騎士たちが彼女に気づくや否や、彼女は素早く動き出した。流れるような身のこなしで彼女は目の前の道を駆け抜けていく。その動きはまるで一瞬の光のようで、周囲の草花が彼女の動きに呼応するかのように揺れた。
◆
シリウスがステラを連れて学校から戻ってきた。それはいつもよりかなり早い昼下がりのことだった。
アステルがヴェラと接触をしたと聞いて心配になり、学校を早退させたそうだ。
アステルとシリウスは先ほどの出来事を話し合うため、工房へと足を運んだ。リビングではキャロラインがステラの面倒を見ており、今日はケルヴィンは来ない日なので丁度いい。
工房の中は木の温もりと柔らかな光に包まれていたがシリウスの表情はその静かな空間とは対照的に険しかった。
彼は内に秘めた感情を抑え込もうとしている。心の奥ではアステルがヴェラと接触したことを知り、何が起こったのか不安が募っている。アステルの心にも緊張が漂っていた。
「怪我はしていないか?」
最初にシリウスはアステルの表情を窺いながら慎重に言葉を選んだ。
「大丈夫よ。何も無かった」
それに対してアステルは少し間を置いてから答える。その言葉に少し安堵したものの、彼女の目には不安が宿っていた。
「何か言われたのか?」
シリウスが次の質問を尋ねるとアステルは俯いて沈黙した。ヴェラの鋭く冷静な眼差しが脳裏に焼き付いて離れない。彼女は何を思ったのか、その答えはわからないままだった。
「アステル?」
シリウスが心配そうに声をかけるがアステルの心はまだ整理できておらず、言葉が出てこない。彼は静かに彼女の肩を掴もうとするが、その前にアステルが顔を上げた。
「大丈夫、ちゃんと話す」
彼女は自分に言い聞かせるように。深呼吸してから言った。
「説得してほしいって。穏便に済ませたいから」
アステルは慎重に言葉を選びつつ答えた。心臓が早鐘のように高鳴り、シリウスは何も言わずにアステルを見つめる。
その姿を見て、不安が彼女の心に重くのしかかる。彼がどんな感情を抱いているのかわからないが、明らかに良いものではないことだけはわかった。
「あの女」
シリウスの声は平坦だったが、静かな怒りに満ちていた。シリウスが同族であるヴェラのことを『あの女』と呼んだことにアステルは恐怖を覚えていた。
「他に何を言われた?」
シリウスが問いただすとアステルは返答に迷う。嘘をつき通せる自信もなく、仕方なく正直に話すことにした。
「貴方を解放してほしいって……」
その言葉を聞いた瞬間、シリウスの瞳が揺れた。彼は歯を食いしばりながら静かに告げる。
「あまり下手に出すぎるのも良くないな……」
その言葉と共に重苦しい沈黙が広がる中、アステルは落ち着かせようとシリウスの手を握った。彼の手は冷たく、かすかに震えている。
「辛い思いをさせて……すまない」
シリウスが謝罪するとアステルは小さく首を横に振る。そして二人はしばらく押し黙った後、ゆっくりと見つめ合う。視線が絡み合う中でアステルは彼の目の中に不安と恐怖を読み取ることができた。
「今はまだいいが……このまま長引けば……」
シリウスはその言葉を切り出し、アステルの手を握り返す。彼女の瞳を見つめると、そこには切実さと不安が入り混じった複雑な色が浮かんでいた。その奥に潜む深い悲しみが見えて、アステルは息が苦しくなる。
「俺はもう……離れたくないんだ」
シリウスは絞り出すように言った。その言葉を聞いた瞬間、アステルの中で悪い予想が頭を巡る。
「何を言って」
アステルは途中で言葉を失った。この先を聞きたくないと思ったからだ。しかし、シリウスは続けた。
「俺が行けば全てが解決するのだろうか……」
その一言を聞いた瞬間、アステルの体は凍り付いたように動かなくなった。まるで地面がなくなってしまったような感覚に襲われ、息が止まりそうな程苦しくなり、頭の中が真っ白になる中、シリウスの言葉はさらに続いた。
「俺だけが苦しむなら別にいい。だが、俺の家族は……どうなる?」
シリウスの弱音は容赦なく彼女の心に突き刺さっていたが、アステルは必死になって声を出した。
「シリウス、彼女は何も手出しはしないって約束をしてくれたのでしょう?それに何かすれば貴方が許さないのを理解しているから、口だけの警告をした」
「…………」
シリウスはアステルの言葉を聞きながら、彼女の手を握りしめる。その手はとても冷たく感じられた。まるで時間が止まったかのように、二人は動かないまま向き合っていた。
アステルも揺れていた。何かがあってからでは遅いのだ。自分が酷い目に遭うのは耐えられる。しかし、ステラに何かあってからでは遅い。その思いが彼女の心を揺さぶる。
「シリウスはステラを守ることだけを考えて」
アステルは絞り出すように言葉を紡いだ。しかし、シリウスの顔は変わらず曇っている。
「わかった……」
シリウスの声は掠れていた。それでも同時に安堵も感じていた。アステルが引き留めてくれたことに内心、ほっと胸を撫で下ろした。
もしもアステルにダークエルフの里に行ってほしいと言われたらシリウスは行くだろう。ステラを危険から守るためだと言われたらシリウスは大人しく行くのだ。
(いつの間にか選択権は私にあるのね……)
選択権はシリウスにあると思っていたが、実際にはアステルの手に握られていることに気づく。
ヴェラの言っていたことがそのまま現実になったような気がした。
しかし、アステルは決めたのだ。ステラの母として娘を守ると。そして、夫を自分の傍に置いておくと。
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