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スティーブ・レイズ視点③
しおりを挟むそれからはナディア達親子が捕らえられ、連れていかれて。
俺たち家族はいたたまれなくて、そそくさとパーティー会場を後にした。
家に帰った父は裁判では自分たちは被害者であることだけを主張すると言っていた。証言台に立ち、自分たちの正当性が認められれば、貴族として、怠惰した貴族を追及する威厳のある貴族として尊敬されるようになると。そうなれば今まで以上に金を儲けることができると。
そして、どこまでの罪になるかはわからないが、公爵令息の婚約者を馬鹿にして公爵家を敵に回したあの家族はもうダメだろう。だから慰謝料を請求しようと。とても嬉しそうに話していた。
だが、マリアは俺の婚約者だ……俺の婚約者だったんだ……なぜ一夜で公爵令息の婚約者になっているんだ?俺に泣いて縋るんじゃなかったのか?そしたらその時に考え直すと思っていたのに、どうしてこんなことになっているんだ?…………
でもそれからはもっと散々だった。
裁判では証言ではなく、被告として立たされた。
父の犯罪が明らかになっていく。金儲けって犯罪で得た金だったのか……
尊敬していた父が犯罪者……それだけでも衝撃的だったのに母も薬物に手を出し、俺と同じくらいの年の男にも手を出していた?いや、俺よりもはるかに幼い子にも手を出そうとしていた?しかも媚薬効果の薬物?なんだ……どういうことなんだ?
周りを見渡すと皆が冷たい目で俺たちの事を見ていた。威厳のある貴族とは程遠い姿。だが、そのまま判決を待つために貴族牢に入れられた。一人一人の個室で、ベッドやトイレはあったが、とても狭く感じた。いや、心細かっただけだ。
今日一日で俺が信じていた全てが壊れた。いや、元々壊れていたを知っただけだ。父が犯罪行為で稼いだ金で俺たちは贅沢をし、その金で母は少年たちに小遣いでも渡していたのか。
これがもし事実なら………いや、裁判官の感じ、あれはきっと全てが事実なんだろう。あの分厚い資料には証拠が書かれていたんだろう。そうであれば俺たちは貴族ではいられない。それに罪だって重罪になるだろう………
どこから間違っていたんだ………気づくことができれば俺は違う道を進むことができていたんだろうか……
そして判決の日。当たり前に俺たちは有罪だった。そして、父も母も鞭打ち。正直処刑かと思っていたから驚きもあった。だが、鞭打ち20年。いいのか悪いのかはわからない。1度でも気を失うという鞭うち。それを受けて糞尿処理施設での労働。
俺なら、一度ですむ処刑を嘆願するかもしれない……
だが、うちが取り潰されて、資産が没収される。それなのに俺には150万ルペルの支払い?そんなのどうやってすればいいんだ?
学生の俺には教えられないが、父の言う通りにすれば今後も全てがうまくいくと言われていた。だから金の稼ぎ方なんて聞いたことなかった。いや、どの道犯罪だったのだからだめなのか。
だが他の稼ぎ方も知らない。どうやってお金なんて稼ぐんだ?
そしたら1年間糞尿処理施設での労働を命じられた。そしてそれが終わったら自分で探すようにと。
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