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「さて、裁判については以上だが、ここで一つだけ私から質問させてほしい。
被告人ナディアと被告人スティーブ。今までお前たち二人はずっとマリアの事を妹のことを虐める姉と罵っていたようだが、姉が13歳で家を出てからはまったく会っていなかったのだろう。どうやって虐められていたのか常々疑問だった。マリアが実家に帰ったとされる記録はない。被告人ナディアは誰にも秘密で虐められるためにマリアに会いに行っていたのか?それに被告人スティーブはなぜこんな不可解な言葉をそのまま鵜呑みにし、その相手をののしることができるのかちょっと説明してほしい」

今まで私たちがもう気にも留めなかった事を裁判官が本人たちに聞いてくれました。本当にどうやって私は虐めているのでしょう。私が二人いるのなら可能かもしれませんが、でももし虐めに行く為だけに会いに行くのならばもっと有意義な時間に充てたいです。

「っ……それは……私が寝ているとお姉様たちの楽しそうな声が外から聞こえて来て。それにたまにお父様もお母様もいないときに私の部屋に来て、外に咲いていた花なんてこれ見よがしに持ってきて、元気になったら一緒に外で遊ぼうって言いにくるなんて意地が悪いとしか言えないじゃないですか!だから事実をお話しただけです。私は悪くありません!!」

「………………んんっ、被告人スティーブ、君はどうですか」

「私はナディアに婚約者の事を教えてもらって、その時に少し意地悪なところがある姉だけどよろしくお願いいたしますと言われました。その時にどんな意地悪をされたかと聞くと、自分は生まれてから身体が弱いのに、まるで健康を自慢するような言動を行い、父や母の愛を一心に受けているナディアを妬んでいると聞かされておりました。その、、会ってはいなかったようですが、手紙などの方法もあるので私は身体が弱いナディアを守ろうと盲目的になりすぎてしまったのです。そこは反省すべき点だと思っております。」

…………なぜか裁判所が一体感に包まれたような無言の空間になっています。
……なんだかどこを否定していいのか、どういえばいいのかも言葉が出ないのです……


ナディアが言ったのはせいぜいナディアが8歳になる前。その頃のことを言われても……
それに客観的に見たら違うのかもしれませんが、花を持って行ったのはナディアを気遣っての事。まさかそれを虐めと言われているとは思いもしませんでした。

スティーブ様の意見に関しては………特にありませんね……

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