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「私たちの娘はマリア一人で十分だ。ろくな教育も受けられないような娘など必要ない!」

「そんな、叔父様あんまりだわ…私は身体が弱いから教育が受けられなかっただけで、それではまるで私がさぼっていたかのように聞こえるわ。叔父様は身体が弱いことは罪だとおっしゃるの?身体が弱ければ貴族ではいられないとおっしゃるの?そんなのってあんまりだわ」

ナディアは顔を覆い、地面に座り込んで泣いて……いるのでしょうか?たまに手の間からちらっとこちらを伺っているのがわかります。


「ねぇ、ナディア。あなたは自分の事を身体が弱いって言っているけど、あなたは子どもの頃にアレルギー症状が出ていただけで、薬を飲んでアレルギーは改善しているのよ。確かにあなたのアレルギーの症状は重かったと思うわ。でも薬も効かずに今でも悩んでる人もいる。そんな方もしっかりと勉強し、マナーも身につけているわ。
それなのにすでに症状はよくなっているあなたが身体が弱いと言うのは違うと思うの」

ナディアはアレルギーがあったこと以外はなにも問題がない健康な子なのです。
それなのに両親が甘やかしてくれるからか、周りがそれで反応してくれるか、自分が身体が弱いということが好きなだけかはわかりませんが、いつまでもそのことを引っ張って身体が弱いと主張するのは間違っています。

「なによ!!ずっと健康なお姉様になんてわからないわよ!!私は外でも遊べなくってお友達もできなくって可哀想だったんだから!そんなこともわからないから婚約破棄なんてされる傷物女になるのよ!!
それなのにまるで悲劇のヒロインかのように皆に守ってもらうなんて、なんてずる賢い女なのかしら!!!」



…………………………これはだめかもしれません。


私の妹はこんな子なのでしょうか……



「お前は覚えていないんだろうが、マリアはお前より酷い症状で小さい頃はずっと病院に入っておったよ。アレルギーだと判明し、徐々に落ち着いてはいったが、完治したのは10歳前後の頃。お前が5歳の頃だよ。完治してからは今まで遊べなかったからと外で遊ぶようになり、本も読めるようになった。できることに感謝し、吸収していった。
そんなマリアを見ているからこそ、お前のそれは甘えでしかないんだ。」

お祖父様が私の頭を撫でながらそんな事を言ってくれます。
私は自分も同じくアレルギーで苦しい思いをしていたからこそ、ナディアの気持ちがわかる気がしていました。だからナディアを悪く言うことはありませんでした。私は物心ついたころにはくしゃみや咳、鼻水が酷くって、熱が出ることなんてしょっちゅうでした。それだけでなく、気づいたら蕁麻疹が出てるなんてこともよくあって、誰かにうつる病気かもしれないと入院していました。でも4歳になった頃、それを検査できる薬ができ、アレルギーだと判明し、様子を見ながら家に帰されるようになりました。
そして5歳になったとき、ナディアが生まれました。


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