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4.身元引受人

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「ビビド王子、何を!?
彼女は当国より追放される身の罪人。それを引き立てようとする騎士に対し、質が悪いなど、いくら大国の王太子と言えど、国際問題に発展する恐れもあるんだぞ」

ダリアン王子がビビド王子に対して驚きとも、抗議ともとれる言葉を発する。

「国際問題?できるものならばすればいい。
だが私はこの茶番劇があまりに常軌を逸しているように感じる。
そう感じている私が何もせず、極悪人のように彼女が引き立てられるのを見ているなんて、後悔しか残らない。それならば国際問題になろうと口を挟ませてもらう。

そう言えば彼女は追放処分だったな。それならば彼女は当国ジャッカル国への追放を認め、この場で彼女の身元引受人は私ビビド・ジャッカルとする」

会場がざわざわと大きなどよめきに包まれる。

今罪人として追放処分されようとしていた女性を、大国であるジャッカル国の第一王子が引き受ける?
そんな話、小説でも、誇張されて作られる演劇ですら見たことがない。

「ば、ばかな!ビビド、私を困らせようとしているのか?
それならばこんな公の場でこんなことをするなんて行き過ぎているぞ!」

ダリアン王子がビビド王子に対し、そのように言葉を放つ。
だが名を呼ばれた当のビビド王子は心底不服そうに顔を引きつらせている。

「ダリアン王子、あなたが言うようにここは公の場。
幼き頃より交流があったあなたに名を呼ぶことを許したことはあったが、公の場は別。そんなことすらわからなくなってしまったあなたとの縁もここまで。
今後は私的な場であろうと私の名を呼ぶのは控えて頂こう。

そして、私はあなたを困らせるためにこんなことをやる意図はないし、そうしなけらばならない理由もない。
だがこんな場で茶番劇を見せつけられた挙句、か弱きレディーが一人乱暴に引き立てられようとしているのを見過ごすことはできない。

そんなことすら理解できない王子が第1王子とは…このことは我が国にも報告させてもらう。
もしかしたら今後の付き合いに影響がでるかもしれないが、全ては自分が行った行動のせいだと自覚してもらおう」

ビビド王子は淡々とそのように告げる。
だが、ビビド王子の放った言葉の意味が理解ができないのがダリアン王子。

「なっ!!なぜ国同士の付き合いをこんな事で決めることになる!!
公私混同もいいところだ!!そんな事を言うとはそちらこそ王子としての自覚がないのではないのか?」

ダリアン王子の言葉を聞いたビビド王子は心底呆れたとばかりに「はぁぁぁぁ」と深いため息をつく。
だがもう話もしたくないと言わんばかりにダリアン王子に背を向け、ナターシャに目を向ける。

「ナターシャ・シルビアノ嬢。いや、この場ではただのナターシャ嬢と呼ぶことをお許しください。あなたに尋ねたいことがあります。

彼らが先ほど宣言したような事実、あなたが他人を貶めたなどの出来事にあなたは覚えがありますか?」
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