上 下
9 / 55

8

しおりを挟む

それから少しだけ私の当たり前が変わった。
変わったことの一つが直哉からのLINEが増えたこと。
今迄していなかったわけではないがそんなに頻繁にしていたわけではない。

それが最近はほとんど毎日くるようになった。
中身なんて全然なくて、暇なときはスタンプだけなんてこともよくあった。

もう一つ変わったことが、直哉のとこに教科書とかを返してもらいに行くと直哉と一緒に岸野君もくるようになった。
きたからって何をするわけでもないんだけど、必ず直哉と一緒にきて、挨拶してくれる。
たまに直哉が変な顔してるけどよくわかんない。

とりあえず毎日直哉のとこに取りに行かないといけないのはいい加減やめてほしい。。
なんか私が毎日おしかけてるみたいでいや…


***


おはようございます。
いや、もう放課後、さようならの時間だ。
はぁ……今日はついてない。
体育の時、先生がテキトーにいった番号が私の出席番号で、放課後体育教官室にプリントを取りに行かなきゃいけない。

日直とかをあててくれればいいのに……
部活まで時間があった美穂についてきてもらい、体育教官室まで行き、プリントを受け取って教室に帰る。
体育教官室は体育館の隣にあるので帰るときは渡り廊下を渡って帰る。

「こんなの明日でもいいのにね~」

そんなことを言いながら美穂と帰っていたら運動部の部室奥に誰かがいるのが見えた。
よく見ると男子と女子が一人ずつ。男子はユニフォームみたいなの着てるから部活に行く前なんだろう。

「なにしてるんだろうね?」

「ばか!告白だよ(笑)」

美穂が当たり前でしょといってくる。
えっ?告白ってこんな人が通るとこでするの?
恥ずかしすぎる…
そんなことを思ったが私達もここを通らないと帰れないので申し訳ないとは思いながらだんだん近づいていた。
あまり二人を見ないようにしてた私に美穂が驚いたように声をかけてきた。

「ね、、実夏?あれ……」

その言葉に反応して顔を上げて、固まってしまった。
男の子は直哉だった。
ただ唖然として、その様子を見ていると直哉がこっちに気づき目が合ってしまった。
私は我に返り

「美穂、行こう!」

もう直哉を見ることなくその場を離れた。
教室に帰って先に口を開いたのは美穂だった。

「あれ、告白。。だったよね?」

「どうだろうね。でもそうなんじゃないかなぁ。」

まだ愛美と別れて1ヶ月も経っていない。いや、2週間しか経ってない!
それなのにもう告白するなんて。
そんな女の子にも腹が立ったし、それに笑ってた直哉にも腹がたつ!

別れてから愛美にもう一回付き合おうって言ってない直哉がむかつく!!
こんなの私の勝手な思いだってわかってるけどとめられなかった。

「なんで?まだ1ヶ月も経ってないんだよ!!まだ2週間だよ!
なんでもう告白するの?なんで直哉は愛美ともう一回つきあわないの?
なんで!?なんで……」

私が1人でつぶやいてるのを美穂は静かに聞いていた。
そして私が机に突っ伏してなにも言わなくなってから美穂が話し出した。

「実夏、多分あの2人がもう一度付き合うことはないと思う。
実夏だってわかってるでしょ?」

「でも!!
直哉はまだ好きって言った!!
言ったの!!言ったんだよ……」

私は自分でも抑えられない感情をむき出しにし、目に涙を溜めながら美穂に叫んでいた。

「うん。
でもきっともう難しいんじゃないかな…」

私の様子を見ながら小さな声で、でもしっかりと教えるように呟いた。
私は泣き出しそうになりながら必死に涙をこらえながら美穂に言った。

「ほんとにお似合いだったんだよ!
愛美がすごく可愛くて、直哉もそれをみて微笑んでて。
2人で手をつないで帰って、お揃いのストラップをして。」

「うん」

「2人ともすごく幸せそうで…幸せそうで…」

「うん。きっと幸せだったんじゃないかな。でもさ、うまくいかないこともあるんだよ」

私が興奮しないようにわざとゆっくりと落ち着いて話してくれる美穂。

きっと私もわかっていた。愛美が進み始めたあの時にわかっていた。

それでも2人を理由に進めないでいたのは私なんだ。

大好きな2人だからうまくいって欲しかった。

ずっと一緒にいてほしい。そう願っていた。

でもそうはならなかった。

私はこの現実を受け止められなかったんだ。

呆然としている私を美穂が心配そうに見つめてる。

「美穂」

私が呼ぶと ん? と答えてくれる。

「わかってる…きっと美穂の言う通り。ごめん」

感情的になり、美穂にぶつかってしまった。
それでも美穂は優しい顔で私と向き合ってくれる。

「うん。でもそんだけ友達のこと思えるってすごいと思う。いい子いい子」

そう言いながら私の頭を撫でてくれた。
なんだかすごく照れくさかったがそのまま素直に撫でられていた。
私が落ち着いたのをみると美穂は部活に行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男がほとんどいない世界に転生したんですけど…………どうすればいいですか?

かえるの歌🐸
恋愛
部活帰りに事故で死んでしまった主人公。 主人公は神様に転生させてもらうことになった。そして転生してみたらなんとそこは男が1度は想像したことがあるだろう圧倒的ハーレムな世界だった。 ここでの男女比は狂っている。 そんなおかしな世界で主人公は部活のやりすぎでしていなかった青春をこの世界でしていこうと決意する。次々に現れるヒロイン達や怪しい人、頭のおかしい人など色んな人達に主人公は振り回させながらも純粋に恋を楽しんだり、学校生活を楽しんでいく。 この話はその転生した世界で主人公がどう生きていくかのお話です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この作品はカクヨムや小説家になろうで連載している物の改訂版です。 投稿は書き終わったらすぐに投稿するので不定期です。 必ず1週間に1回は投稿したいとは思ってはいます。 1話約3000文字以上くらいで書いています。 誤字脱字や表現が子供っぽいことが多々あると思います。それでも良ければ読んでくださるとありがたいです。

泥々の川

フロイライン
恋愛
昭和四十九年大阪 中学三年の友谷袮留は、劣悪な家庭環境の中にありながら前向きに生きていた。 しかし、ろくでなしの父親誠の犠牲となり、ささやかな幸せさえも奪われてしまう。

ずっと君のこと ──妻の不倫

家紋武範
大衆娯楽
鷹也は妻の彩を愛していた。彼女と一人娘を守るために休日すら出勤して働いた。 余りにも働き過ぎたために会社より長期休暇をもらえることになり、久しぶりの家族団らんを味わおうとするが、そこは非常に味気ないものとなっていた。 しかし、奮起して彩や娘の鈴の歓心を買い、ようやくもとの居場所を確保したと思った束の間。 医師からの検査の結果が「性感染症」。 鷹也には全く身に覚えがなかった。 ※1話は約1000文字と少なめです。 ※111話、約10万文字で完結します。

ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~

taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。 お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥ えっちめシーンの話には♥マークを付けています。 ミックスド★バスの第5弾です。

女官になるはずだった妃

夜空 筒
恋愛
女官になる。 そう聞いていたはずなのに。 あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。 しかし、皇帝のお迎えもなく 「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」 そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。 秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。 朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。 そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。 皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。 縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。 誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。 更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。 多分…

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

偏食王子は食用奴隷を師匠にしました

白い靴下の猫
恋愛
死に体の5番目の王子が、すぐれものの食用奴隷に出会って、恋をした。彼女を師匠にしてすくすく頭角を現していくけれど、食用奴隷の寿命が短いのを理由に師匠が逃げ回るものだから。捕まえて、くすぐって、縋り付かせて。どんな手を使ってでも師匠がら恋情を引き出そうと頑張る男の子のお話。前半はRなしです。後半に入るR描写は※をつけます。抵抗のある方は飛ばしていてもお話は通じるかと思います。

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

処理中です...