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しおりを挟むそれから少しだけ私の当たり前が変わった。
変わったことの一つが直哉からのLINEが増えたこと。
今迄していなかったわけではないがそんなに頻繁にしていたわけではない。
それが最近はほとんど毎日くるようになった。
中身なんて全然なくて、暇なときはスタンプだけなんてこともよくあった。
もう一つ変わったことが、直哉のとこに教科書とかを返してもらいに行くと直哉と一緒に岸野君もくるようになった。
きたからって何をするわけでもないんだけど、必ず直哉と一緒にきて、挨拶してくれる。
たまに直哉が変な顔してるけどよくわかんない。
とりあえず毎日直哉のとこに取りに行かないといけないのはいい加減やめてほしい。。
なんか私が毎日おしかけてるみたいでいや…
***
おはようございます。
いや、もう放課後、さようならの時間だ。
はぁ……今日はついてない。
体育の時、先生がテキトーにいった番号が私の出席番号で、放課後体育教官室にプリントを取りに行かなきゃいけない。
日直とかをあててくれればいいのに……
部活まで時間があった美穂についてきてもらい、体育教官室まで行き、プリントを受け取って教室に帰る。
体育教官室は体育館の隣にあるので帰るときは渡り廊下を渡って帰る。
「こんなの明日でもいいのにね~」
そんなことを言いながら美穂と帰っていたら運動部の部室奥に誰かがいるのが見えた。
よく見ると男子と女子が一人ずつ。男子はユニフォームみたいなの着てるから部活に行く前なんだろう。
「なにしてるんだろうね?」
「ばか!告白だよ(笑)」
美穂が当たり前でしょといってくる。
えっ?告白ってこんな人が通るとこでするの?
恥ずかしすぎる…
そんなことを思ったが私達もここを通らないと帰れないので申し訳ないとは思いながらだんだん近づいていた。
あまり二人を見ないようにしてた私に美穂が驚いたように声をかけてきた。
「ね、、実夏?あれ……」
その言葉に反応して顔を上げて、固まってしまった。
男の子は直哉だった。
ただ唖然として、その様子を見ていると直哉がこっちに気づき目が合ってしまった。
私は我に返り
「美穂、行こう!」
もう直哉を見ることなくその場を離れた。
教室に帰って先に口を開いたのは美穂だった。
「あれ、告白。。だったよね?」
「どうだろうね。でもそうなんじゃないかなぁ。」
まだ愛美と別れて1ヶ月も経っていない。いや、2週間しか経ってない!
それなのにもう告白するなんて。
そんな女の子にも腹が立ったし、それに笑ってた直哉にも腹がたつ!
別れてから愛美にもう一回付き合おうって言ってない直哉がむかつく!!
こんなの私の勝手な思いだってわかってるけどとめられなかった。
「なんで?まだ1ヶ月も経ってないんだよ!!まだ2週間だよ!
なんでもう告白するの?なんで直哉は愛美ともう一回つきあわないの?
なんで!?なんで……」
私が1人でつぶやいてるのを美穂は静かに聞いていた。
そして私が机に突っ伏してなにも言わなくなってから美穂が話し出した。
「実夏、多分あの2人がもう一度付き合うことはないと思う。
実夏だってわかってるでしょ?」
「でも!!
直哉はまだ好きって言った!!
言ったの!!言ったんだよ……」
私は自分でも抑えられない感情をむき出しにし、目に涙を溜めながら美穂に叫んでいた。
「うん。
でもきっともう難しいんじゃないかな…」
私の様子を見ながら小さな声で、でもしっかりと教えるように呟いた。
私は泣き出しそうになりながら必死に涙をこらえながら美穂に言った。
「ほんとにお似合いだったんだよ!
愛美がすごく可愛くて、直哉もそれをみて微笑んでて。
2人で手をつないで帰って、お揃いのストラップをして。」
「うん」
「2人ともすごく幸せそうで…幸せそうで…」
「うん。きっと幸せだったんじゃないかな。でもさ、うまくいかないこともあるんだよ」
私が興奮しないようにわざとゆっくりと落ち着いて話してくれる美穂。
きっと私もわかっていた。愛美が進み始めたあの時にわかっていた。
それでも2人を理由に進めないでいたのは私なんだ。
大好きな2人だからうまくいって欲しかった。
ずっと一緒にいてほしい。そう願っていた。
でもそうはならなかった。
私はこの現実を受け止められなかったんだ。
呆然としている私を美穂が心配そうに見つめてる。
「美穂」
私が呼ぶと ん? と答えてくれる。
「わかってる…きっと美穂の言う通り。ごめん」
感情的になり、美穂にぶつかってしまった。
それでも美穂は優しい顔で私と向き合ってくれる。
「うん。でもそんだけ友達のこと思えるってすごいと思う。いい子いい子」
そう言いながら私の頭を撫でてくれた。
なんだかすごく照れくさかったがそのまま素直に撫でられていた。
私が落ち着いたのをみると美穂は部活に行った。
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