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証明
しおりを挟む「証明?子どもの証明は顔がジョシュエルに似ていることだけでわかるでしょう?この子はとても父親似なの。
それに私たちが愛し合っているという証明が見たいと言うのなら教えてあげるわ。彼の胸の少し上あたりに赤い印があるわよ。この間彼が来た時に私が残したばかりだからまだ消えてないはずよ。
そんなところに堂々とした印があるのに知らないだなんてあなたが愛されていない証拠よ。
ふふっ、ここまで言っても信じられないだなんて、本当に可哀想な人ね。これであなたの逃げ道もなくなったでしょう?」
なんてことでしょう………
そんな決定的な不貞を教えてくれるなんて。
もしこれが本当ならば即座に離婚できますね!
私はダグラスに目で合図して、彼の身体を確認してもらいます。
「やっ、やめろ!!私に触るな!私は侯爵家の者だぞ!!
やめろ!!触るな!!」
そう騒いで服をずらせないようにしますが、見かねて護衛の方がやってきて、ダグラスが服をずらすのを手伝うようにジョシュエルを押さえてくれます。
たった一人に敵わないほど力もないくせに暴れないで欲しいものです。
「ステファニー様、確認できました。
彼女の言うように胸の少し上に赤い痕があります」
ダグラスの少し大きめのその声に周りがざわざわと騒ぎます。
「なんてこと…」「これは間違いなく不貞行為ね…」
そんな声が聞こえてきます。
でもリリアンは勝ち誇った微笑みのままです。
彼女は本当にこの国の人なのでしょうか。
もしかして不貞取締法を知らないのでしょうか……
そんなリリアンを尻目にジョシュエルは膝から崩れ落ちました。
「ステファニー、違うんだ……彼女とは一瞬の気の迷いで。5年以上も通じていたなんて嘘だ……
この間一晩だけの関係なんだ!頼む、信じてくれ…」
地面に座り込んだジョシュエルが諦め悪くそんな事をいってきます。
なんて男らしくないのかしら……こんなにも証拠が上がっているのにまだ悪あがきするだなんて。
「なっ!ジョシュ!どういうことよ!私を裏切る気?侯爵夫人にしてやるっていつも言っていたじゃない!」
リリアンが勝ち誇った笑みを崩し、ジョシュエルに向かってそういいますが、そんな痴話げんかは後にしてくださいまし。
「ジョシュエル、あなたが彼女とは一晩だけの関係だと言うのなら私がそれを信じられるように口を開かないで頂けますか?
すみません、そこの小さなレディ。あなたのお父様を教えてくださいますか?」
私はリンダに向かってできるだけ優しく問いかけます。
きっと父と母がこんな公の場でなにか言い合っているのを見ていてきっと気持ちのいいものではないでしょう。
だから早く終わらせましょう。
私の問いかけにおずおずと私を見つめるリンダ。
そして……
「おとうしゃま?おとうしゃまはジョシュエル。
ジョシュエル・トリアーノっていうのよ。カッコいいおなまえでしょ?」
先日会ったときと同じように父親の名前を紹介してくれました。
でも彼女のその一言でまた周りがざわざわと騒ぎます。先ほどよりもざわめきは大きくなるばかり。
こんな可愛い娘の前で地面に座り込んでいるだなんて父親失格ですね。
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