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ナタ、ナタ、ナタって……
しおりを挟む「あっ、じゃあ持ってくるまでの間にチーズケーキを」
カチャッ
「お待たせいたしました。こちらがその箱でございます」
お父様…チーズケーキは諦めたら?
「ありがとう。えっと……ナタロン?それと、ナタマル?もう一つがナタロアって書いてるわね。どう?」
ナタ、ナタ、ナタって…ナターシャのナタね…そんなに自己主張しなくても……
でも大ナタとかナタ福はいやだったのね。まぁ分からないわけでもないけど…その名前推しはどうかと思うわ……
「お母様らその名前についての感想はありませんが、私が思っていたものとは違っていたので、商売するのは問題ないかと思います。ただ、そのお菓子の考案者と思われる方は多少面識がありますので私が関わることは隠して欲しいです」
「え?シルヴィちゃんしりあいなの?」
お母様が不思議そうに見てきます。もちろんお父様とエドも。
「エド、ピンクの彼女よ」
「え?あの人!?あの人前も見れないのに味覚もないの?」
たしかに……そう言われればそうね…なんだか生きづらそうね……
「エドも知り合いの人なのか?だがこんな粗悪品を商品にするような度胸があるのはすごいな…どういう人なんだ?」
んー……あれを度胸とは言わない気がする…
「私にとったらなぜか事あるごとにぶつかろうとされ、その度に『あ、すみません。よく前を見ていなくて…あら?あなたはエドワード様。またお会いしましたね』って言う怖い人かな。それから……その……王子とよく一緒にいるらしい人…かな…」
「王子と一緒にいるとはどういうこと?」
お母様の顔が一瞬にして歪んだ…あっ、氷点下に下がる前……
「いや、えっと…最近学校ではその女性と王子がよう一緒にいるそうなのです。なんでもその女性がいじめられていると噂もあり、彼女がそう主張するたびに王子がそのクラスまで出向き、いじめをしてる奴をみつけたときは許さないといっているそうです。ですよね、姉上」
エド…お母様の迫力に押されて私に振らないでほしいわ。
「私もその現場を見たわけではありませんが、いろいろな方に聞く限りその話は事実だと思います。またわざとかまでは断言できかねますが、何度か私の前で仲睦まじく身体を寄せ合っているところを見せつけるようにしていたので、そのときは婚約者でもない方とそのように手を握ったり、身体を寄せるべきではないと伝えております。」
「そう、あのお馬鹿王子は女性と手を握ったり、身体を寄せていて、しかもその様子をシルヴィちゃんにみせていたと言うことね」
あぁ、お母様の姿勢がピシッと伸びています…
さすがマナー講師です。その姿勢は見惚れてしまいます。でも家でこの姿勢のときはいいことがありないのよね。
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