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こうして各候補者が準備を始めてから1ヶ月。
今日はリターシャが主催する茶会の日だ。
茶会の招待客は王太子殿下と婚約候補者、他は規定はなしとされている。
場所はクレンティ公爵家の庭園で、招待客は高位貴族を中心としたものだった。
さすが公爵家であり、よく管理された庭園の中に茶会スペースが用意されている。
「皆さま、本日はクレンティ公爵家の茶会へご参加下さりありがとうございます。最高級のお茶に茶菓子、軽食もご準備しております。どうぞ楽しんでいってください」
リターシャの挨拶から始まった茶会。リターシャの隣には殿下がエスコートするように立っていた。
元々殿下の婚約者候補第一位と言われ続けたリターシャ。その為かリターシャにも婚約者はおらず、ずっと殿下を慕っていると噂されていた。
お茶会の開始まもなく殿下はリターシャに寄り添い、2人でやわらかい笑みを浮かべて会話を重ねていた。その姿は誰の目から見てもお似合いの二人で、すでに婚約していると言われても頷いてしまうほどだった。
しかしお茶会も中盤にさしかかろうとしていた時、リターシャが少し目を離した瞬間に殿下の姿が隣の席から消えてしまった。
お手洗いだろうかと思いながらも、そわそわと殿下の姿を探した。
本当はすぐにでも駆け出して探しに行きたかったが、主催ということもあり、様子を伺うことしかできなかった。
しかし、しばらくたっても殿下の姿は見えないまま。
リターシャは我慢できず、その場を離れ探しに行くことにした。
勝手知ったる我が家。ゲストでも入れそうなところを探してみる。
手洗いから休憩所を探すもその姿はなく、庭に足を向けるとそこで殿下の姿を発見した。
もしかして2人きりになりたくてこんな所でずっと自分を待っていてくれたのだろうか。それなのに気づかなくてずっと待たせてしまった。
そう思うと急に頬が熱をもった。どきどきと心の臓は大きな音を立て始めたのだ。
これ以上待たせてはいけないと思い、急いで殿下の元へ駆け寄ろうと足を進めると、その隣には先ほどまで陰になり姿が見えていなかったナティシアの姿が見えた。
ナティシアに向かって優しい微笑みを向けている殿下。
その笑顔は先ほどまで自分に向いていたはずなのに。
どうして私を待っているはずの殿下とアクアンティ家の女が2人でいるのよ!!
ナティシアに向けられている殿下の優しい微笑みを見た瞬間、リターシャは頭に血が上った。
自分に、自分だけに向けられるはずの微笑みが他の女に向いているなんて許せなかった。
今日はリターシャが主催する茶会の日だ。
茶会の招待客は王太子殿下と婚約候補者、他は規定はなしとされている。
場所はクレンティ公爵家の庭園で、招待客は高位貴族を中心としたものだった。
さすが公爵家であり、よく管理された庭園の中に茶会スペースが用意されている。
「皆さま、本日はクレンティ公爵家の茶会へご参加下さりありがとうございます。最高級のお茶に茶菓子、軽食もご準備しております。どうぞ楽しんでいってください」
リターシャの挨拶から始まった茶会。リターシャの隣には殿下がエスコートするように立っていた。
元々殿下の婚約者候補第一位と言われ続けたリターシャ。その為かリターシャにも婚約者はおらず、ずっと殿下を慕っていると噂されていた。
お茶会の開始まもなく殿下はリターシャに寄り添い、2人でやわらかい笑みを浮かべて会話を重ねていた。その姿は誰の目から見てもお似合いの二人で、すでに婚約していると言われても頷いてしまうほどだった。
しかしお茶会も中盤にさしかかろうとしていた時、リターシャが少し目を離した瞬間に殿下の姿が隣の席から消えてしまった。
お手洗いだろうかと思いながらも、そわそわと殿下の姿を探した。
本当はすぐにでも駆け出して探しに行きたかったが、主催ということもあり、様子を伺うことしかできなかった。
しかし、しばらくたっても殿下の姿は見えないまま。
リターシャは我慢できず、その場を離れ探しに行くことにした。
勝手知ったる我が家。ゲストでも入れそうなところを探してみる。
手洗いから休憩所を探すもその姿はなく、庭に足を向けるとそこで殿下の姿を発見した。
もしかして2人きりになりたくてこんな所でずっと自分を待っていてくれたのだろうか。それなのに気づかなくてずっと待たせてしまった。
そう思うと急に頬が熱をもった。どきどきと心の臓は大きな音を立て始めたのだ。
これ以上待たせてはいけないと思い、急いで殿下の元へ駆け寄ろうと足を進めると、その隣には先ほどまで陰になり姿が見えていなかったナティシアの姿が見えた。
ナティシアに向かって優しい微笑みを向けている殿下。
その笑顔は先ほどまで自分に向いていたはずなのに。
どうして私を待っているはずの殿下とアクアンティ家の女が2人でいるのよ!!
ナティシアに向けられている殿下の優しい微笑みを見た瞬間、リターシャは頭に血が上った。
自分に、自分だけに向けられるはずの微笑みが他の女に向いているなんて許せなかった。
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