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第1章

空気になりたい

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「確かに、そうですね。王都も各地の物が集まっていて勉強になりますね。
ではサリー、明日はせっかくなのでカフェに行って、その後市場も回りましょう。きっとまた新しいものが出ていますよ」


なんて、ニコニコとフレッド様が私に会話を振る。
でもできれば私は空気になりたかった……だってキャロル様ってめんど……違う。うっとう……違った。…………高貴すぎるお方はどのように対応していいかわからないんですもの……


フレッド様の言葉を聞いたキャロル様は唖然としている。
でも数秒すると夢から醒めたように


「やだフレッド様。お名前を間違ってらっしゃいますよ。
それではまるでサリー・ナシェルカ嬢を誘ったようにとられてしまいます。彼女を勘違いさせてしまっては可哀想だわ」


そう、なんだか面白そうにちらっと私を見ながら笑い、フレッド様に訂正している。
どうしてこうもご自身に自信があるのかしら。


「はははっ! ジョルダン公爵令嬢は優しい方なんだね、そしてとても愉快な人のようだ。
でも気遣いは無用だよ。私はサリー・ナシェルカ嬢をデートに誘ったんだから。
それから申し訳ないが、ダンスのエスコートは遠慮させてもらうよ。私はサリーとこのパーティーにきたんだ。パートナーを差し置いて、他人と踊りたくはないんでね」


なんでしょう……
フレッド様……断り文句の中にさっきからちょっとずつ毒を仕込んでいますよね。
他人と踊りたくないだなんて…


「なっ!どうしてですか?
サリー様はこの間婚約破棄されたばかりですよ。しかも男爵令嬢に婚約破棄の宣言をされた!そんな魅力のない女性にフレッド様はふさわしくありませんわ!!」


キャロル様がついに感情的に大きな声を出してそのようにいうので、周囲の視線を独り占め、いえ3人なので3人占め?してしまっている。
出来ればもう少し心穏やかに話してくれると嬉しいんだけど。


「公爵令嬢ともあろう方がとても無礼な物言いをするんだな。とても淑女とは思えない。
まず訂正させてもらうが、サリーは魅力のない女性なんかではない。逆にどこが魅力がないのか教えてもらいたいくらいだ。
それから婚約破棄に関してだが、あれは元婚約者の不貞による婚約破棄。サリーに落ち度はない。だからこそあの家は降爵になった。そんなことさえ知らない部外者がそのような物言いをするなんて無礼でしかない!


最後に私は第2王子。許可なくフレッド様などと気安く呼ばないでもらおうか」


フレッド様がついに声を低くして拒絶をするような物言いをする。これにはさすがのキャロル様も傷ついたのか今にも泣きだしそうに目に涙を溜めている。
ああ……めんどうくさい………
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