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第1章

ピーチル・ロシェンカ①

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私はピーチル・ロシェンカ。ロシェンカ男爵の娘。


私は間違って生まれた子なの。
こんなに可愛いのに男爵の家なんかに生まれてしまったせいで綺麗なドレスも買ってもらえない、好きな宝石も買ってもらえない。お母様は着飾ればきっと美人なのに、化粧をすることもなく、いつも地味なドレスで同じ服ばかり来ていたわ。男爵家にはいつもお金がなく、貴族なんて名ばかり。母も働きに出ていたわ。


お父様がなにか功績を上げられなければ平民に落とされると聞かされていた。でもお父様は仕事ができるわけでもなさそうで、日々の暮らしで精一杯だった。だからなにもしなかったら私は平民になってしまう。せめて素敵な嫁ぎ先があれば……。


だからここからは自分で道を切り開こうとした。


いろんなパーティーにいって、男の人に声をかけたわ。最初のいくつかのパーティーは招待状があったけど、次からは忍び込むようにして入り込んだ。だってエスコートしてくれる人なんていない。でもここで見つけるから大丈夫よ。
なのに、なぜか誰も相手にしてくれない。目立つように、誰もが私を見つけられるように、真っ赤なドレスを着ていったのにそれでもだめ。人より大きな自慢の胸を男性の腕に押し当ててみたのにそれでもだめ。


なによ!なんなのよ!!


そっか………私が可愛すぎるせいね!それでみんな引け目を感じちゃうのね!
そうわかってもこればっかりは自分でどうにかできるものじゃない。
だって可愛いのは選ばれて生まれてしまったものの特権だもの。選ぶ事なんて出来なかったわ。
だから私は諦めずにパーティーに行って、見つけた!
なんだか下を向いてもじもじとしてる人。着ているものはかなりの高級品。絶対高位貴族ね。
そうして話しかけるとこっちを見ずになにか言ってた。
もう!こっちを見て喋りなさいよね!せっかくこんなに可愛い私が話しかけてあげてるんだから。


でも腕に胸を当てて話したらなんだか嬉しそうな顔をしていたわ。


よし!これならいける!!
よく聞けば侯爵家嫡男って言うじゃない!


本当は公爵家がよかったけど贅沢は言っていられないわ!これでいきましょう!!


そう思って次に会う約束を取り付け、一緒にいろいろなパーティーにも参加して顔を売ったわ。
でもこの人小さい声で喋るからなに言ってるのか半分くらいわかんないのよね。


こっちも見ないからうんうんと頷いて、たまにこっちをみるタイミングで「ロディ様ってすごいですわ」と褒めてやれば嬉しそうな顔をする。なんか単純な人ね。
そうしていたら婚約者がいるっているじゃない。でも伯爵家の女でなんだか気に食わない女なんですって。だったら婚約破棄して早く私と婚約しなさいよ!


だから今度婚約者がいるパーティーに一緒に参加することにした。ちょうどロディ様の家でパーティーをするということでちょうどいい。そのままお披露目すればいいわと思ったの。


思ってたのに、婚約者のサリー・ナシェルカが帰ったらロディ様と一緒に屋敷の中に連れていかれ、その場でロディ様はお父様に殴られてた。そして、婚約者と婚約破棄なんかしたら借金しか残らないって言ってた。


え?聞いてた話しと違うじゃない。そんな貧乏侯爵家は嫌よ。そう思って帰ろうとしたら侯爵が私の方を向いて、おまえにも慰謝料を請求するって言った。さっきナシェルカ伯爵って人もわたしに慰謝料を請求するって言ってたけど、馬鹿ね!うちにそんなお金あるわけないじゃない。そんなお金あるなら宝石の一つでも買ってるわ。


そう思って帰ったらお父様に怒鳴られた。今まで小言は言われても怒鳴られたことなんてなかった。それなのに………


そしてそのままお父様は身支度を始めたの。どこへ行くのかと思ったら慰謝料を払ったら爵位を返上してどこか別の場所で暮らすと言うの。仕方ないから私も身支度しようとしたらおまえの面倒は見ないと言われたわ。父親なのにひどいと思わない?慰謝料払うくらいなら私にくれればいいのよ!


そこから本当にお父様はお母様だけ連れて家を出ていった。


私は着の身着のまま。なにを持って行っていいかもわからずに家をでた。

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