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覚醒

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次に目が覚めたのは、暗くて暖かい空間だった。近くから一定の音を刻む呼吸音が聞こえてくるほか、地面が微かに上下している。
体は…動かせるようなので、そうっと頭を上げて周囲を確認する。猫なので、暗がりでも十分ものを認識することができた。
まず最初に目に入ったものは、少女の寝顔だった。すやすやと起きる気配もなしに良く眠っている。そして俺がいた場所は、その少女の胸の上だったようだ。
少女のほかに人はいないようだ、俺は彼女を観察する。
年齢は7、8歳といったところ、少女というよりか幼女と言った方がふさわしいような年頃だ。離れて見ると、ほとんど息をしていないように見えた。
ひとまずは安全だろう。

とりあえず。ここはどこだ?
いったん頭の中を整理してみる。
昨日公園から帰ろうとした時に事故にあった、はずだ。そして目が覚めたら、いきなり何もかもが大きくなっている、と思ったら猫の姿になっていて、そのまま気絶して今に至る。
どうなっているんだ。
俺は死んだのか?
昨日の最後の記憶を呼び起こす。街灯のない住宅街、鼻腔には鉄の匂いが刺さり、身体は激痛を帯びて動かない。四肢をもぎ取られるような苦痛を味わった末に、意識が暗くに染め上げられだ。
つまりは…ご愁傷様ってことか。
そんでもってこの現状、これは俗に言う輪廻転生ってものなのだろうか。
転生先は幼女に飼われる子猫ちゃんで、十数年の短い一生を彼女の成長を見守ることを義務付けられた家庭用ペット、なんでこった。
別に猫になったのが嫌なわけではない。いや良いという訳でもないのだが、欲を言うなら人間がよかったな。
それも容姿端麗、文武両道の金持ちで、女の子にモテモテの人生イージーモードな感じのやつ。
まあ、来世がそんな素晴らしいものになるくらいの徳を積んだ覚えはないから、妥当な運命なのかもしれない。
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