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喧嘩
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私明日菜と智樹は、同棲を始めて三ヶ月になる。
大学時代、キャンパス内で知り合って交際に発展。卒業と同時に結婚を前提に同棲することを申し込まれた。
1日だけ待ってと伝えて1日悩んだ結果、OKの返事を出した時、智樹は意気昇天とばかりに喜んで私を赤子を高い高いする様に抱き上げた。街のど真ん中で。
正直、私は若いうちにいろんな人と恋愛を楽しんでみたかったし、まだお互い22歳なのに結婚を前提というのは重すぎる気がした。
しかし、厳正に悩んだ結果、私は智樹を愛しているし、結婚したいと思ったのだ。当時は。
きっかけは一ヶ月と少し前からの出来事。
フリーターである私と、会社員の智樹は一緒に過ごせる時間がなかなか取れずにいた。
それでも、夕食は必ず毎日一緒に食べようと言っていた智樹の帰りが遅くなったことが始まりだった。
『これから少し帰りが遅くなるかも。
ごめん🙏だけど夕食は一人で食べてもらっていいかな^ ^』
このようなメールが送られてきた当日から今日にかけて、ずっと帰りが遅い。
以前は遅くとも午後6時頃には帰ってきたのに、今は夜の9時をザラに過ぎている。
そして、帰ってきてもどことなくよそよそしい、ような気がする。
二人の今後についてや、夜の話になると意図的に話を逸らそうとしている、ような気がする。
なんの説明もなしにそのような日々が続き、私の智樹に対する不信感は着々と募っていった。
訊ねても「残業が忙しい」としか返ってこないことから、私の中の怪しさはピークに達し、ついこの間智樹がお風呂に入っている間に携帯を確認しようとした。しかし、ロック番号がわからない。
智樹の誕生日、私の誕生日、付き合った記念日、
123456、654321・・・
思いつく番号全てを試し、ようやく合致するものを見つけたときには、智樹はお風呂から上がっていて、「ビールある?」なんていいながらリビングに立ち尽くしていて、見つかって、喧嘩になった。
慌てて携帯を奪い取る智樹に、不審感はほとんど確信にかわった。
「何してたの?」
「・・・」
「何してたのって聞いてるの。怒らないからさぁ」
口ぶりからして、苛立ちが隠れているのがわかった。当たり前だ、勝手に携帯を覗かれて(正確には未遂だが)怒らない人間はそうそういない。
しかし、その時のわたしにはそれを考慮できる余裕がなかった。
大学時代、キャンパス内で知り合って交際に発展。卒業と同時に結婚を前提に同棲することを申し込まれた。
1日だけ待ってと伝えて1日悩んだ結果、OKの返事を出した時、智樹は意気昇天とばかりに喜んで私を赤子を高い高いする様に抱き上げた。街のど真ん中で。
正直、私は若いうちにいろんな人と恋愛を楽しんでみたかったし、まだお互い22歳なのに結婚を前提というのは重すぎる気がした。
しかし、厳正に悩んだ結果、私は智樹を愛しているし、結婚したいと思ったのだ。当時は。
きっかけは一ヶ月と少し前からの出来事。
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『これから少し帰りが遅くなるかも。
ごめん🙏だけど夕食は一人で食べてもらっていいかな^ ^』
このようなメールが送られてきた当日から今日にかけて、ずっと帰りが遅い。
以前は遅くとも午後6時頃には帰ってきたのに、今は夜の9時をザラに過ぎている。
そして、帰ってきてもどことなくよそよそしい、ような気がする。
二人の今後についてや、夜の話になると意図的に話を逸らそうとしている、ような気がする。
なんの説明もなしにそのような日々が続き、私の智樹に対する不信感は着々と募っていった。
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智樹の誕生日、私の誕生日、付き合った記念日、
123456、654321・・・
思いつく番号全てを試し、ようやく合致するものを見つけたときには、智樹はお風呂から上がっていて、「ビールある?」なんていいながらリビングに立ち尽くしていて、見つかって、喧嘩になった。
慌てて携帯を奪い取る智樹に、不審感はほとんど確信にかわった。
「何してたの?」
「・・・」
「何してたのって聞いてるの。怒らないからさぁ」
口ぶりからして、苛立ちが隠れているのがわかった。当たり前だ、勝手に携帯を覗かれて(正確には未遂だが)怒らない人間はそうそういない。
しかし、その時のわたしにはそれを考慮できる余裕がなかった。
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