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経緯
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家出…一概に家出と言っても当てがない わけじゃ無い、この痣だらけの状態で警察署にでも行けばなんらかの形で保護されるだろう。
しかしそうならなかった場合、どこで生活していけば良いのだろうか。
身分証もお金もない子供が生きていくには、この世界は厳し過ぎるのだ。
風俗嬢にでも堕ちるのかな、なんてことを想像して、吐き気を催した。
それはとても耐え難いことだったが、悪魔といることに比べればまだマシだ。
私は懐中電灯、寝巻き、3000円(少ないが全財産)、寝袋が入ったリュックサックを持って、最小限身軽な格好で部屋を出る。
誰もいないが、荒れに荒れた室内は、少々気性の激しい人気があったということを物語っていた。
ガラスの破片を踏まないように、抜き足差し足でリビングを通り過ぎる。
そして玄関ではなく、勝手口の方に手をかけて、己の体の方へ目一杯引き寄せた。
冷たい夜風が、室内に流れ込んでくる。
「あ、開いた…」
外への希望が見えてきたことに感動しつつ、震える足を外の世界へ踏み入れた。
その時だった。
ガチャリ、と言った鍵が開く音が鳴り響いたのだ。
源の方を見ると、元々人外のように歪んだ顔立ちを更に引きつらせて、怒りを表す悪魔がいた。
言葉を発さずに、じわりじわりとこちらに近づいてくる。
「あ、あぁ、あ」
恐怖に硬直したもう片方の足を、やっとの思いで外に出すと、ありったけの力を振り絞って地面を蹴り飛ばした。
街灯のない、真っ暗な夜道を走る走る走る。
後ろからは悪魔の方向が響いて、私の恐怖を倍増させている。
走ったことと、焦りによって上がりに上がった心拍数は、推定200を超えているようだった。
しかし、そんなことに構ってはいられない。
方向感覚もわからないまま、私の体は夜の闇を走り続けていた。
しかしそうならなかった場合、どこで生活していけば良いのだろうか。
身分証もお金もない子供が生きていくには、この世界は厳し過ぎるのだ。
風俗嬢にでも堕ちるのかな、なんてことを想像して、吐き気を催した。
それはとても耐え難いことだったが、悪魔といることに比べればまだマシだ。
私は懐中電灯、寝巻き、3000円(少ないが全財産)、寝袋が入ったリュックサックを持って、最小限身軽な格好で部屋を出る。
誰もいないが、荒れに荒れた室内は、少々気性の激しい人気があったということを物語っていた。
ガラスの破片を踏まないように、抜き足差し足でリビングを通り過ぎる。
そして玄関ではなく、勝手口の方に手をかけて、己の体の方へ目一杯引き寄せた。
冷たい夜風が、室内に流れ込んでくる。
「あ、開いた…」
外への希望が見えてきたことに感動しつつ、震える足を外の世界へ踏み入れた。
その時だった。
ガチャリ、と言った鍵が開く音が鳴り響いたのだ。
源の方を見ると、元々人外のように歪んだ顔立ちを更に引きつらせて、怒りを表す悪魔がいた。
言葉を発さずに、じわりじわりとこちらに近づいてくる。
「あ、あぁ、あ」
恐怖に硬直したもう片方の足を、やっとの思いで外に出すと、ありったけの力を振り絞って地面を蹴り飛ばした。
街灯のない、真っ暗な夜道を走る走る走る。
後ろからは悪魔の方向が響いて、私の恐怖を倍増させている。
走ったことと、焦りによって上がりに上がった心拍数は、推定200を超えているようだった。
しかし、そんなことに構ってはいられない。
方向感覚もわからないまま、私の体は夜の闇を走り続けていた。
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