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3:サンドイッチになった俺(2)

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 いや待てよ……。考えてみたら地球でもインドやパキスタンでは、まだ初恋も知らないうちに四十や五十の男に嫁ぐことがまだ普通にあるって聞いたことがあるぞ……。しかも、十三、十四という小さな骨格や成長しきっていない体で子どもを産まされて、体に大きな負担がかかるって話だ。確かそれで一生病んだり、死んでしまったり、生まれてくる子どもだってずっと小さいとか……。WHOで非難されてたな。恋も知らないで十三歳でおっさんの子を孕んで出産、死亡とか、どう考えても救いがなさすぎんだろ……。ええ……、これがこの世界のデフォルトかよ……?
 正直、遠い国の話かと思って今まであまり気にしてなかった。歴史として日本で同じようなことがあったとしても、遥か昔の時代のことで、そんなことはもうとっくに過ぎ去った通過点だと思ってた。だが、こう目の前にすると……。いやいや、だって、八歳どころか十二、十三歳の男なんてまだただのガキでバカだし、小中学生なんてスポーツにしても勉強にしてもまだまだこれからが成長期だ。俺の十代なんて腹いっぱい飯食って、気が済むまで好きなことやって、気が付いたら朝になってて母ちゃんに叩き起されての繰り返しだったぞ。やりたいこととか学びたいこととか楽しみたいこととか、普通男女関係なくたくさんあるだろ。アイリーンとメイリーンの可能性や未来や自由をそんなふうに俺が搾取するのか……? ……いや、無理だろ、寝覚めが悪すぎる。俺にとってロリコンを許容できるのは、作り物のファンタジーまでだ。 
 エレノーラがおっとりとのんびりした口調で話し出した。

「しかし、ふたりを帰すとなるとそれもまた問題ですわね……。きっとアイリーン様もメイリーン様も、国から大きな責務を負わされていらしているのでしょうし……」
「……そうなのか、アイリーン、メイリーン……」

 色違いの同じドレスと髪型をしたふたりの美少女が顔を見合わせた。先に喋り出したのは闊達な印象のあるアイリーンだ。

「父上からは、トモヤ様によくお仕えするように仰せつかってきました。なんでもトモヤ様の言う通りにしなさいと。ね、メイリーン」
「は、はぃ……」

 メイリーンは蚊の鳴くような声で同意した。双子という話だったが、顔つきは似ているとはいえ性格は全く違うようだ。さっきからほとんど顔を下に向けている。恥ずかしがり屋なのか、人見知りなのか……。大人しいメイリーンに反比例するみたいにアイリーンが明るい。

「わたしたちまだ月のものはありませんが、それ以外の方法でトモヤ様に楽しんでいただく方法を学んできました!」

 ぶっ、いきなりなにぶっこんできやがった!? 学んできたそれ以外の方法ってなに……!? 聞くのが怖えーよ。いや、ちょっと興味はあるけど。貴族の娘が嫁ぐ前に性養育を受けるとかいうのはよく聞くパターンではあるが、いやでもそれ、あっけらかんということなのか? それも八歳が。
 三人の妃を見ると、同情とも理解とも牽制ともつかない微妙な表情……。そのとき、メイリーンが突然しゃくりあげ、えっえっと泣き出した。

「ト……トモヤ様に気にいってもらえなかったら……、えっ、えっ……わたしたち……すごく叱られ……るんですぅ……うえぇん……!」
「メ、メイリーン……! な、泣かないって約束したじゃない……!」

 おいおいおい。これだよ、もう……。メイリーンにつられて、アイリーンまで悲しそうな顔になっている。
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