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3:サンドイッチになった俺(1)
しおりを挟む「トモヤ・タナセ皇帝陛下にご挨拶申し上げます。アイリーンです」
「トモヤ・タナセ皇帝陛下にご挨拶申し上げます。メイリーンです……」
謁見の間にちょこんとよく似たふたりの美少女。礼儀正しくそろって首を垂れている。えーと……? 嫁が八歳って聞いてないぞ……。しかもふたり一緒とか、まったくもって聞いてないぞ……。
ふたりについて来た従者がもったいぶってリモネーデロード王からの巻物を読み上げた後、やたらと愛想を振りまいた。
「アイリーン様とメイリーン様は生まれたときから共に過ごしてまいられた双子姫でございます。我が君からは、どちらか一方を妃に向かい入れていただき、もう一方はその侍女として側においていただきたいと……」
「いやいやいや、その前に貴国は俺のことを何いくつだと思ってる? 俺にロリコンの趣味はないんだが……」
「ロリ……? そのロリトンというのは存じ上げませんが、わが国では双子は喜ばしい存在であり、ふたり一緒に嫁ぐということは珍しくありません。また、双子の女性からは双子が生まれることが多く、それもまた喜ばれるのでございます」
「ロリコンな。いやでも、はじめに受け入れるのはひとりって言ったよな?」
「ですから、どちらかを妃に、どちらかを侍女に。もちろんふたりとも妃にしていただいても構いません」
おいおい、勝手に拡大解釈つけんなし……。俺がこの世界のことを知らないからって抵当にぶっこいてんのか? どっちみちこの世界に来て間もない俺には判断がつかず、嫁たちを呼び出した。一応これが新しい嫁の顔合わせってことになるんだが、レアナもナディアもエレノーラも、相手が子どもだと知って余裕しゃくしゃくのようだ。
「わたくしは構いませんわ。リモネーデロード王国は我国にたくさんの砂糖とラム酒を輸出してくださっている友好国ですもの。それに、トモヤ様の祖国では珍しいことのようですが、こちらの世界では幼き娘が嫁に出されたり、幼いうちに許婚を決められることはよくあることですのよ」
「え、そうなのか……? でもレアナ、アイリーンとメイリーンはまだ八歳だぞ、親兄姉だってまだ恋しかろうに……」
「トモヤは優しいわね。トモヤの祖国のように娘たちが長い年月を子どもでいられる世界がうらやましいわ。王族や貴族は少し事情は違うけれど、平民の女は月のものが来たら大概すぐ結婚相手を見繕われるのよ。そうね、それがリモネーデロード王国では大体十二、十三歳くらいかしら」
「十二って……、まだ小学生じゃないか……!」
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