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Story-3 かけちがい(2)

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 サラとシーラが部屋に戻ってくるその足音で、アビゲールとロイスは現実に引き戻された。
 ふたりは音もなくそっと離れ、ロイスは涙を拭いた。

「おまたせ、アイビー、この傘どうかしら?」
「わあ、すてきだね、サラ」
「これを差して、中庭でお茶にしてはいかがでしょうか」

 シーラの案に全員が賛成した。
 使用人にお茶を用意させて、四人は中庭のテーブルの席に着いた。
 中庭は王宮を行き来する渡り廊下に面しており、遠巻きながら不特定多数の人々がそこをとおる。

 誰かしらに声をかけられると、
「この方は、わたくしの遠い親戚のアイビー様です」
 ロイスの紹介をにことの次第を知らない人たちが疑うそぶりはまったくなかった。

「本当に、完璧ね、アイビー」
「うん、僕、自信持っちゃったな」

 少女と少女然とした青年の楽し気な雰囲気に誘われて、テーブルへやってきたものがいた。

「あら、レイン様」

 レインは少し紫がかった黒のドレススーツをすらっと着こなし、魅惑の微笑をたたえてやってきた。

「やあ、お嬢さん方。
 まるでここだけ春が来たようだ」

 レインはめざとく初見の婦女をみつけると、紹介を望んだ。
 ロイスが同じように紹介をすると、レインは、つと前に進み出て、アビゲールの手を取り、キスをした。

「初めまして、アイビー。
 君の黒い瞳に吸い込まれそうだ。
 よかったら、わたしと中庭の散歩に付き合ってくれないかな」

 これにはアビゲールも驚きを隠せなかった。
 まさか、生まれたときから顔を合わせている兄が何の疑いも持たないとは。
 それどころか、実の弟と知らずに誘うなんて……。

「勘弁してくださいよ、兄上!」

 おもわず、アビゲールは顔をしかめていた。
 レインは目を見開いたが、何のことだかまだ分かっていない。

「僕ですよ、僕、アビゲールです!」
「はあっ?」

 今度は驚いたのはレインだった。
 アビゲールはぶるぶると体を震わせた。

「ああ!
 サラ、僕わかったよ!
 僕は女の子の姿になりたいけれど、好きなのは男じゃない。
 だって、今兄上に誘われたとき、背中に悪寒が走った」
「……は、はあっ?
 本当に、アビゲールなのか……!」

 レインは目の前の麗しい女性が、実の弟であるらしいことにようやく気がついた。

「な、な、なんで、そんな恰好をしているんだ!」
「僕がしたくてしているんです。
 誰にも迷惑はかけていませんよ」
「迷惑って……。
 兄上に知られたらどうするんだ……!」
「レイン兄様がだまっていてくれたらすむことでしょう?」
「はあっ……?
 お前、いったい……」

 レインは混乱しながらも、アビゲールとその他の面々の顔を次々に見やった。

「でも、実のお兄様であるレイン様も気がつかないなんて、本当にアビゲール様のお姿は完璧な女性そのものですね」
 シーラの言葉に少女たちとアビゲールは、うふふと笑いあった。
 アビゲールはレインをみると、冷たい態度で言った。

「兄上って、本当に女たらしなんですね。
 いい加減落ち着いたらどうですか?」
「…………」

 レインは少女たちからも弟にモーションをかけたまるで間抜けな兄として見られているのが耐えられなくなって、
 その場を後にした。
 捨て台詞になにか言ってやりたかったが、アビゲールがいつものアビゲールに見えないことと、なにやら妙に恥ずかしさに迫られて
 レインともあろう男が無言の退場となった。
 離れていきながら、背後から笑い声が上がるのをレインは聞いた。

「あ、ありえない……!」

 レインはいろいろなショックを身に受けながらも、部屋へ戻る廊下をよろよろと戻っていった。

 ・・・・・・



 四人の婦女の茶会が終わった後、いったん部屋に戻りアイビーはアビゲールに戻り、ロイスはドレスの入った旅行鞄とともに帰った。
 アビゲールとロイスは、次はいつ会うかと約束も取り付けているようだった。
 ロイスは顔を赤らめながらも、それに付き合う様子だった。

「うまくいったわね。
 アビゲールが自分のことをわかったといっていたこと、本当によかったわ」
「はい。
 ロイス様ともいつのまにやら打ち解けて、味方が増えたことはアビゲール様にとっては心強いことでしょう。
 ただ、アビゲール様がサラ様のことをお好きになったら困ってしまいますけれど……」
「それは、今考えても仕方ないわ。
 それに、私はドレイク様が好きなんだもの。
 人の心をどうにかしようとしても仕方ないわ」
「そうですね」
「それより、明日は今夜はドレイク様に会わせてもらう手はずなのよ。
 ねえ、シーラ、何を着ていったらいいと思う?
 ドレイク様はどんなドレスがお好みかしら?
 ああ、今からドレイク様と会えることを思うと、胸がどきどきするわ」
「そうですね……」

 サラとシーラがドレス選びを始めたころ、部屋からの締め出しを食らっていたモリスがやってきた。

「入っても構わないか?」
「あら、モリス」

 アビゲールのいきさつについて様子を見に来たのであろうモリスに、サラは忙しそうに言った。

「今ドレスを選んでいるところなのよ。
 あんまり時間がないから……」

 そこからはシーラが変わった。

「アビゲール様はロイス様のドレスをお借りして、それは素敵な淑女のお姿となりました。
 中庭でお茶をしている間、誰一人、アビゲール様だと疑う人はおりませんでしたよ」
「そ、そうか」
「途中でレイン様がお見えになって、アビゲール様とは知らずに散歩にお誘いになったんです。
 それで、アビゲール様は背中に悪寒が走ったなんておっしゃられて。
 とにかく、約束は果たされました。
 今夜は予定通り、サラ様はドレイク様とお会いになられます」
「その件だがな、二人で会うのはやはり……」

 サラはドレスを片手にモリスに向きなおった。

「止めても無駄よ、モリス。
 わかっているでしょう、あなたも。
 あなたは言ったわ。
 わたしやシーラは恋を知らないって。
 でも、わたしにはわかったの。
 これが恋よ。
 ドレイク様のことを考えると、胸がときめくの。
 ドレイク様のそばに行きたいの」
「しかし……」
「記憶のことなら、話さずに済むようになんとか努力するつもりよ。
 あなたが話していいというまでは。
 だから、お願いよ。
 今夜のことはあなたの胸にとどめておいて」

 モリスはサラを見つめた。
 サラの熱っぽい瞳、染まった頬に、思わずつばを飲み込んでしまった。
 恋をすると女性はきれいになるというが、サラもそうなのだろう。

「呆れているんでしょう、モリス。
 復讐のためにシーラと狂言の記憶喪失まで装っておいて、それにも拘わらず、恋にうつつを向かしているなんて。
 わたしだって、あのドレイク様のマントに包まれるまでは、こんな気持ちになるなんて思わなかったの。
 心も頭もそわそわして、他のことを考えられないの。
 ドレイク様もきっと同じ気持ちでいるんだと思うと、いてもたってもいられなくて……。
 はやく確かめたくていられないのよ」

 サラはモリスが思った以上に情熱的でそして純情なようである。
 シーラはモリスに無言で視線を投げかけた。

「別に……、呆れてはいない。
 恋とは得てして己の制御がいかないものだ。
 初恋ならなおさらだろう」

 初恋。
 自分で言った言葉に、モリスの思考は立ち止まってしまう。
 サラの失われていた記憶。
 流れ者カインとのキス、そしてカインのマントから香ったという匂い。
 そして、狩猟大会でのドレイクのマントの匂い。
 それらの断片がサラの中でつながった時、サラの本能を大きく揺さぶった。
 それはサラ本人にしかわかりようのないもので、モリスには手も足も出しようがない。
 だが。
 それでは、モリス自身の思いをどこに置けばいいのか。
 モリスにとっても、サラは特別だ。
 ドレイクが本当に流れ者カインであったとして、サラが記憶しているという大人のキスも、
 サラの思うとおりの意味だったとして、今夜二人がその思いを確かめ合ったとしたら。
 モリスには、その先の想像は一つしかなかった。
 この想像は、当然ハリーにも耐えがたいものに違いない。
 これを止めないわけにはいかないのだ。

「だが、わたしはハリー様から、おまえを守るように命じられている。
 やはり、ふたりきりというのはまずい」
「大丈夫よ、お互いの気持ちを確かめ合うだけなんだもの。
 ちゃんとあとであなたになにもかも報告するわ」

 モリスはひくっと顔をこわばらせた。
 ……冗談じゃない!
 明日頬を染めたサラの口から、ドレイクとベッドインしたなどという報告を聞くなんて、もってのほかだった。
 気持ちを確かめ合うことが、言葉やキスだけで済むと思っているだろうか。
 サラは男というものがわかっていない。

「万が一にも、ドレイク様がカインでなかったらどうする?」
「だから、それは上手に聞いてみるわ。
 あのマントの香りは、本当に、絶対に、違いないのよ」
「なにかの間違いということもある。
 ドレイク様がわざとうそをつくことだってありうる」
「そんなまさか」
「サラ、お前の気持ちはわからんでもない。
 恋は人を盲目にさせるし、あばたもえくぼにみえるだろうし、歳の差は包容力に見えるかもしれん。
 だが、お前は男というものを知らなすぎる。
 男にはその気がなくても、目の前に差し出されれば、手を付けねばいられない習性があるのだ」
「そ、そんなこと、わたしだってわかってる……。
 だてに女の一人旅をしてきたわけじゃないわ。
 そういうときにはちゃんと身を守れるわ」
「わかってないよ、サラ」

 モリスはため息をついた。

「お前がこれまで自分の身を守ってきたというのは、お前の力のおかげじゃない。
 単に運がよかっただけだ」
「そうかもしれないけど、きっと今回だって大丈夫よ」

 そういうサラの右手首をモリスはつかんで見せた。

「振りほどいてみろ」

 サラはむっとしながらも、モリスの手を払おうとする。
 だが当然、サラの力では外すことはできない。

「い、痛いわ」
「そんなことで夜中誰の助けも期待できない場所で襲われたときに、相手が離してくれると思うか?」
「ドレイク様はそんなことはなさらないわ」
「だから、それがわからないといっているだろう」
「痛い、モリス」

 サラがこらえたような顔でモリスを見上げる。
 シーラがたまらず駆け寄ってきた。

「モリス様、どうか……」
「シーラは部屋を出ていろ」
「え?」
「お前たちは私に信頼を預けるといったな。
 私を信頼するなら、いますぐ私の言うとおりにしろ」
「……はい……」

 シーラはサラに心配そうな視線を残しながら、おずおずと部屋を出ていった。

「痛いわ、モリス。
 離して」
「…………」

 モリスは無言でサラの左の手首もつかんだ。
 そして、そのまま力をかけてサラを後ろへ追いやると、モリスはサラをベッドに押したおした。
 モリスはじっとサラを見下ろし、そして考えていた。
 サラはじっとモリスを見返している。
 それも、なんといわれようと、今日ドレイクと会うという決心を変えそうにないつよい意志のこもる瞳で。

「サラ、お前は以前私に言ったな。
 殴られても、川に落とされても、わたしを信じると」
「言ったわ」
「では、私がお前に無理やり口づけし、ドレスを引き裂いて、私のものにしようとも、お前は私を信じるのだな?」
「あ、あなたはそんなことをしないわ」
「だから、それはわからないといっただろう」

 モリスはベッドに膝乗りし、サラの顔に顔を寄せ、じりじりと迫った。
 ここまでサラのそばに近寄ったのはいつ以来だろう。
 サラの香り、肌から立ち上る熱。
 緑色の瞳の揺れ、桃色の柔らかそうな唇。
 モリスの体のすぐ下で上下する胸のふくらみ、呼吸するたび細い首に浮かぶしなやかな筋。
 これを、あの中年男の前に差し出すだと?…………
 そんなことができるか。
 吸えば甘露のごとく甘いであろうサラの唇を前に、理性を投げ出したい気持ちと、
 サラになんとか思いとどまってほしい気持ちとで、モリスはいつもよりも低い声で言った。

「今叫べば、シーラが飛んで助けに来てくれるぞ」
「そ、そんなことしないわ……。
 わたしはあなたを信用しているんだもの……」

 サラは相変わらず気丈に反発を言葉にしたが、その瞳にはあきらかに動揺が濃くなっていく。

「まだわからないのか」

 モリスは唇と唇が触れ合う直前でつぶやいた。

「…………」
「後悔してもしらんぞ」

 モリスが唇を開け、サラの唇に吸い付こうという瞬間、サラはぎゅっと目をつむり、横を向いた。

「ごめんなさいっ!」

 サラはモリスの下で、必死に顔をのけぞらせている。

「わかったわ!
 わたしが間違ってた。
 ごめんなさい」
「…………」

 モリスはサラののけぞった横顔を前に、しばらく理性と衝動のはざまで戦った。
 そして理性が勝った。

「じゃあ、ドレイク皇太子と会うのはやめるんだな?」
「…………」

 サラはそっと横目でモリスを見ると、モリスは相変わらずスキのない瞳でサラを見つめていた。

「や、やめないわ……」
「サラ!」
「だったら、あなたが来てくれればいいでしょ?
 ドレイク様に見つからないように、モリスが見張ってくれればいいじゃない。
 あなたなら、できるでしょう?」
「…………」
「あなたが危ないと思ったら、そのとき助けに来て。
 それならいいでしょ?
 ね、お願い……」

 サラのお願いの視線に、モリスは言葉が出なかった。
 これが、モリスとサラだけのピロートークだったらどれだけよかったか。
 モリスは再び理性をふるった。

「……わかった……。
 時間は何時だ」
「夕食の後よ。
 アビゲールが使いをよこしてくれることになっているの」

 モリスはサラを開放し、ベッドを降りた。
 サラも体を起こし、髪を整えた。
 サラは何事もなかったかのような態度だった。
 しかし、モリスにとってはわかっていたこととはいえ、片思いの温度を自ら上げてしまったのだった。

「あっ、もうシーラを呼んでもいいわよね。
 シーラ、入って!」

 入ってきたシーラは不穏な視線でモリスを見つめたが、サラの様子から何事もなかったのだろうと察すると、
 サラのドレス選びに精を出した。

「では、わたしもそのころまた来るとしよう。
 サラ、決して私が来るまで、ひとりでいくんじゃないぞ」
「わかったわ。
 ちゃんとあなたの言うことを守るわ」

 モリスは部屋を出るなり、ぐっと強く瞼を閉じた。
 閉じたところで、サラの肉体の印象は全神経に焼き付いている。

「あんなことするんじゃなかった……」

 自らネズミ捕りにはまるネズミになった気分だ。
 うずく衝動をおさえるために、モリスは極力つまらぬことを考えながら部屋に戻ろうと思った。

 つまらぬこと、と考えて一番初めにハリーのことを思い出したモリスは、
「なんと、罰当たりな……」
 自分でも自分に驚いて、思わずそうつぶやいた。

 ・・・・・・



 アビゲールが部屋に戻ると、そこには不機嫌そうなレインが待っていた。

「どういうことか説明してもらおう」

 顔を合わせるや否やの非難がましい態度に、アビゲールはわずかに態度を固くした。


「レイン兄様に釈明することなんでありませんよ。
 兄上がご覧になった通りです」
「それが、どういうことかと聞いているんだ。
 仮にも、ザルマータ国の皇太子があのような姿、ふるまいを人前にさらすなど!」
「誰にも分らなかったじゃないですか!
 兄上でさえも!
 僕は誰にも迷惑はかけません」
「お前のいかれた趣向について、知っているのはサラと、シーラ、そしてロイスだけなんだろうな!」
 アビゲールは、ぱっと振り向くと、傷ついたようなまなざしで兄を見た。
「いかれた……趣向ですって?」
「ああ!
 男が女の格好をするなんて、いかれてる!
 誰に言わせたって、正気の沙汰じゃあない」
 アビゲールはしだいにわなわなと唇を震わせ、肩を怒らせた。
「レイン兄様に……、僕の何がわかるというんですか……!」
「なに?」
 アビゲールはこれまで言うに言われなかった鬱積した思いが胸に迫り、目に涙を浮かべた。
 これにはレインもぎょっとして、思わず身をこわばらせた。
「僕だって、努力してきました……。
 父上や、ふたりの兄上のように、立派で、男らしくなりたいと。
 だけど、どうあがいても、僕には無理なんです。
 わかるでしょう?
 僕の体格じゃあ、ドレイク兄様のように武勇に秀でることは叶わないし、レイン兄様のように女性を満足させることもできない。
 男として欠陥品です」
「なにもそこまで言っては……」
「いいえ!
 ……そうじゃないですか!
 父上に少しでも認められたくて、僕なりに国史や司法を学び、いつかは父上や兄上のお役に立ちたいと願って来ました。
 だけど、父上は僕のことなどはなから期待すらしておられない。
 いつだって、僕は役立たずの半端もの。
 いなくてもおんなじです。
 僕など必要ない。
 僕のいていい場所は、ここにはない。
 僕はずっと、ずっと思って来ました……」
 アビゲールはこらえるようにしていた涙をぐいと拭いた。
「だけど、あの日……。
 レイン兄様が僕を連れてマリ―ブラン家を訪ねたあの日、兄上が主たちとはなしこんでいる間、僕はサラとシーラとともにいました。
 あのとき、サラとシーラは、僕を新しくきたメイドか何かだと勘違いしていました。
 僕を女性だと思い込んで、一緒に編み物をしたり、鏡の前でドレスをあてたり、髪を結ったりしてくれました。
 そのとき、僕はこころから、初めて安らぎを感じたんです。
 ここにいていい。
 自分が求めていたものはここにあったんだと思いました。
 髪を結い、ドレスを胸に当てたとき、僕は目の前にうつる姿こそ、本当の僕だったと分かりました。
 いままで、ドレイク兄様が送ってくれた軍服や、レイン兄様のような立派なスーツを着ても、僕は少しも自分に自信が持てなかった。
 それどころか、兄上たちとの違いを見せつけられているようで、ひたすら鏡を見るのが嫌だったんです。
 僕は僕が大嫌いだったんです。
 だけど、サラたちと一緒にドレスを手にした僕は、鏡の中で笑っていました。
 初めて僕は、自分の笑っている顔を鏡の中に見たんです。
 たしかに、レイン兄様からしたら、おかしいでしょう。
 いかれている、そう見えてもしかたありません。
 だけど、ぼくには。
 僕には、初めて見つけた本当の自分なんです。
 僕が本当に好きでいられる自分なんです。
 誰が何と言おうとも、それをやめることはできません」
 じっと黙って聞いていたレインは、すこし視線をそらしたままアビゲールに言った。
「……お前がそこまで思いつめていたとは知らなかったよ。
 頭ごなしに決めつけるような言い方をして悪かった。
 確かに、お前に対する父上の評価は画一的すぎるとは思っていたし、お前が図書室で熱心に勉強している姿は俺も知っている。
 母上はいつまでも子離れしてくれないのも、お前にとっては負担に思うところもあっただろう。
 そうか……」
 レインはしばらく考えるようにうつむいた後、弟を見やった。
「俺だとて……、いや、父上や母上、兄上だとて、何もお前が自分の身の上で苦しむよりかは、幸せでいてほしいと願っているはずだ。
 それが、すこしばかり人と違っていたところで……。
 それは、確かに理解されるのには時間が必要だろうが……。
 少なくともお前の話を聞いた俺は、
 お前が自分らしくいられるのなら、お前が自分に自信をもって生きていけるなら、そのほうがいいと思う。
 確かに、そうだ。
 お前はあの日から、自分の意思をはっきりと主張するようになった。
 それまでは、いつもなにをするにも脆弱で、気の弱いお前だったのに。
 ふしぎに思っていたんだ。
 そうか、それでだったのか……」
 アビゲールは涙目で兄を見つめた。
 レインは弟の肩に手をやった。
「アビゲール、お前の好きにするのがいいさ。
 俺はもう何も言うまい。
 ただ、兄として心配なのは、お前に妃の来手があるかだな。
 あ……、いや、ええと、どうなんだ、お前の場合は……?」
 レインは困惑したように口走った。
 アビゲールはくすりと笑った。
「ふふ、兄上のおかげで、その点僕はノーマルだと分かりましたよ。
 それに、心配はご無用です。
 自分の心配は自分でしますよ」
「そうか、そうだな……」
 レインはほっとしたような、肩透かしを食らったような、どこか気恥ずかしいような妙な顔をした。
「でも、レイン兄様にわかってもらえて、僕はうれしい。
 ありがとうございます」
「いや……」
 アビゲールはすっかり涙を払って、兄に向ってほほ笑んだ。
「これが、ドレイク兄様だったらこうはいかないでしょうね」
「うーん……。
 だろうな……、基本単純にできているからな兄上の思考回路は……」
 これにはそれぞれ腕を組む二人であった。
「その単純思考の兄上に、サラを引き合わせれば、ザルマータ国の世継ぎについてはまず安泰ということですね」
「引き合わす……?
 兄上と、サラをか?」
 レインは驚いたようにアビゲ―ルを見た。
「アビゲール、お前、サラとの結婚を望んでいたのではないのか?」
「今日、サラたちと一緒にいてわかったのです。
 僕がサラを好きなのは、恋ではなく、友情だと。
 それに、サラはドレイク兄様に本気です。
 サラは以前にドレイク兄様に会ったことがあるといっていました。
 しかもドレイク兄様にキスをされたと。
 先日の狩猟大会の時、兄上のマントでくるまれたとき、サラは自分の気持ちを確信したようです」
「サラにキス?
 兄上が?
 どこで?」
「さあ……。
 詳しくは聞きませんでしたが……」
「サラは社交界にデビューもしていないし、ザルマータからほとんど出たこともなかったはず。
 兄上も、ずっとタルテン国にいたではないか、それをいつ?」
「はあ、確かに……。
 でも、サラは確信していましたよ。
 きっと、マントを着た兄上とその以前に出会い、そして兄上のキスを受けたのでしょう」
「マント、だと?……」
「あれ……。
 でも、そういえば、不思議ですね。
 ドレイク兄様は公式の場では普段皇太子のしるしである赤いマントを羽織っているのに、
 サラはなぜ、あの緑のマントにくるまれたときにそれを確信したのか……」
「緑の……、は……、まさか」
 レインは、はっと顔をあげた。
「アビゲール、兄上にサラを引き合わせるのはいつだ?」
「今夜、夕食の後です」
「その前に、俺にあわせろ」
「え?」
「サラに確認したいことがある」
「あ……、べつに、構わないと思うけど……」
 レインはアビゲールに勢い強く迫り、アビゲールはわけがわからなかったが、勢いに押されてうなづいた。

 ・・・・・・

 そして、その日の夕食後、約束通り、サラの部屋に使いの者が現れた。
 サラとモリスはまずアビゲールの部屋に通された。
 しかし、そこに待っていたのは、ドレイクではなくレインだった。
 アビゲールは説明した。
「サラ、急なことでごめん。
 ドレイク兄様にあわせる前に、レイン兄様が君に確認したいことがあるというんだ」
 サラとモリスは顔を見合わせた。
「ええ……、構わないけれど、なにかしら?」
 レインは、すこし咳払いをして、よりいっそう美しく装ったサラを見た。
 その遠慮のない視線に、サラは少し警戒を感じた。
 レインの瞳はドレイクと同じアイスブルーだが、レインのほうがどこか突き刺すような鋭さがある。
 それがあまたの女性にとっては官能的であるのだろうが、サラにはすこし刺激が強い。
 サラがわずかに後ろに体をよじったのを、モリスは見逃さなかった。
 レインが椅子に身を沈めたまま、少し身を前に乗り出した。
「サラ、お前の記憶はどこまで戻っている?」
 サラとモリスはともに内心をこわばらせた。
 なぜ、レインが今このタイミングでそれを気にかけるのだろうか。
「記憶……」
 サラは言いよどんだが、確かに記憶が蘇らなければ、ドレイクにも説明がつかない。
 サラはせめて一部の記憶を取り戻したという体で話を進めなければならなかった。
「あの、私……思い出したんです。
 全てではないけれど、断片的なことを、一部……。
 私、ドレイク様にお会いしているんです」
「ほう……」
「はっきりと思い出せるのは、流れ者のカインという人のことです。
 カインは私をどこかへ連れ出してくれました。
 なぜ、どこへ向かうのかはわかりませんけど……。
 私はその人と一緒にいたことを覚えているんです」
「それで?
 そのカインが、君にキスを?」
「えっ?」
 サラは驚いて顔をあげた。
 そうか、アビゲールがそのことをレインに話したのだろう。
 まずかったか……?
 サラはアビゲールに心を許しすぎてしまった自分ににわかに後悔を感じた。
 だが、今更うそをつくこともできない。
「そ、そうです……。
 カインはわたしにキスを……」
 レインがふっと笑った。
「そのキスが忘れられないか?」
 サラの顔が、見る間に赤くなった。
「レ、レイン様には、か、関係のないことでは……」
 レインはますます面白いものを見るような風情で、目を細めた。
 なんとも、魅惑的な目つきである。
「そのカインに抱かれ、熱いキスを受けたとき、お前を包んでいた緑のマントが、
 先日狩猟大会のとはお前を包んだ緑のマントと同じだったというのであろう?」
 サラは、はっと息をのんだ。
 なぜ、それをレインが知っているのだろうか。
 サラの表情を肯定だととったレインは、くつくつと笑った。
 サラは奇妙にも正確なレインのいいあてと、その態度に居心地悪い思いでそこに座っている。
 レインはひとしきり笑うのに満足したかと思うと、ふいに勝ち誇ったように腕と足を組んで見せた。
「やはりな、そうであったか」
「な、なんなのですか……」
 サラはじりじりした。
 レインは高慢で威圧的な、そして自信に満ちた態度でサラを見た。
「君は私を嫌っていた。
 今ならそれも理解できる」
「え?」
「私に制圧されるのを恐れたのであろう。
 幼心に、君も私の魅力にさからえなかったということだ」
「な、何の話ですか……」
 戸惑うサラに、レインはたっぷりと余韻を残してこう言った。
「サラ。
 君の思い人、カインは、この俺だ」
 サラはその一瞬、頭が真っ白になり、カインの言っていることが全く理解できなかった。
 呆然とするサラの代わりに、モリスが口を割った。
「お、お待ちください、レイン皇太子殿下……」
「モリス殿、君とのやりとりも、俺はすべて覚えているよ。
 カインが貴族に近づきたがらなかったのは、いかに変装していたとしても俺を皇太子だと見破られる恐れがあったからだ。
 アイスブルーの瞳は、王家でも父上と兄上、そして俺しかいないからな」
「そ、それでは……、マントは……?
 サラ様の記憶では、カインのマントとドレイク皇太子殿下のマントからは同じにおいがしたと……」
 レインは少し目を見開いて、そしてまた笑いながらうなづいた。
「なるほどな、そういうことか、匂いか。
 色ではなく、匂いなら、たしかに兄上だと確信するのも無理はない」
「つまり……?」
「つまり、俺が流れ者カインをなのって町に出るときは、いつも、
 兄上がタルテン国での辺境争いの時に使い古した戦場用のマントを使っていたからだ。
 先日、兄上が狩猟大会の時にも着ていたのは同じ型のマントだ。
 戦場用だ、貴賤の区別もない量産品だ」
 レインはくつくつと楽しそうに笑い続けている。

「確かに、あのマントは変わった芳香がする。
 あれは、兄上の居留地で焚いていた虫よけのハーブの匂いだ。
 それに、硝煙や火薬のにおいも染みついているだろう。
 疑うなら、本人に聞いてみたらいい。
 どうせ、このあと兄上と会うのだろう?」
 サラにもようやく事の成り行きがわかりかけてきたらしい。
 サラの頬からはほてりが消え、その代わりにひどく色を失っていた。
 サラは戸惑いと衝撃から抜けきらない瞳をゆらして、レインを見つめた。
「そ、それなら……。
 レイン様は、なぜ、あのとき私にキスをしたのですか?」
 レインが、はたと一瞬止まった。
 サラの答えを求めるまっすぐな視線を受けて、レインはしばらくの間口を開けずにいた。
「どうしてなのですか?……」
 サラの聞きたかったことは、後にも先にも、そして、仮に相手が誰であったにせよ、この一点だけだったのである。
 そして、それに対するレインの答えは、決して正しいものとは言えなかった。
「レイン様……」
「……間違えたのだ」
「……え?」
「店の娘ブルーノと間違えた。
 あの日の計画では、君は黄色いドレスを着てくると聞かされていた。
 だから……」
 次の瞬間、サラは立ち上がり、レインの前に進むと、平手でレインの頬を打った。
「最低!…………」
 サラの瞳から、見る間にぽろぽろとしずくがあふれ出した。
 打たれたレインも、凍り付いたように身動きが取れなくなっていた。
 サラは即座に踵を返した。
 それを追うように、モリスも部屋を後にした。
 残されたレインとアビゲールは、しばらくの沈黙を保った後、アビゲールの落胆のため息がそれを遮った。
「兄上、いくらなんでも、あの言い方はありませんよ……。
 あれでは、サラがかわいそうすぎます」
 レインにも重々わかっていた。
 サラに傷つけられた自尊心を取り戻すためだけに、レインはあさはかなふるまいをしてしまったことを。


 サラの勘違いに気づいた時点で、本来ならレインはサラの名誉を守るようはからなければならなかった。
 それを、己の虚栄心を満足させることを優先して、サラに恥をかかせたのである。
 どうしてもっとはやくこうなることに気がつかなかったのだろう。
 レインは今まで受けてきた女性からの扱いとあまりにも違うサラに、自分でも知らぬうちに深い復讐心を宿してしまったのだろうか。
 だが、
 今頃になってサラを傷つけたことを悔いても遅かった。
 女性を愛し、女性から愛されることが、自意識の基盤を支えていたレインであるのに。
 サラに対しては、最初からすべてが掛け違っていた。
 レインはいいようのないやるせなさに、深いため息とともに静かにうつむいた。

 ・・・・・・・



 一方、部屋を飛び出たサラは、人影のない場所を目指して駆け出していた。
 後を追うモリスがすばやくサラの手をつかみ、その胸に引き寄せた。
 サラは泣き声をあげながら、モリスの胸に顔を押し付けた。
 モリスはサラを抱きしめ、サラの髪に頬を押し当てた。
 モリスはただ黙ってサラを抱きしめ、静まるのを待った。
 そして、サラがようやくしゃくりあげる程度にまでなったとき、ようやくみみともでささやいた。
「戻ろう、サラ」
 その優しい響きに、サラはまた涙腺が緩むのを感じ、それをこらえながら、必死にうなづいた。
 部屋に戻ると、シーラが一気に顔色をかえて、サラを介抱した。
 ことの説明を訴えるまなざしをモリスに送りつつ、シーラはサラの涙をその胸にひたすら受け続けた。
 一旦、涙が途切れたところで鎮痛剤を飲ませると、サラは泣きつかれように眠りについた。
「それで、いったい何があったのですか?」
 シーラの疑問に、モリスは簡潔に説明をした。
 シーラは見る間に怒りで瞳を燃やし、わなわなと震えた。
「男性の風上にも置けない……。
 ゆるされるなら、今宵レイン様の背中に燭台を突き立ててやりたいですわ……」
「同感だね」
 モリスもシーラの意見に賛同した。
「ですが……」
 シーラは眉間にしわを寄せたまま、つぶやいた。
「サラ様のキスのお相手は、ドレイク様ではなく、レイン様だったのですね……」
「ああ……。
 そうだと分かると、いろいろ腑に落ちることばかりだ」
「モリス様……」
「うん?」
「以前、ご相談した件ですが……」

 ・・・・・・・・



 翌朝、サラが目覚めると、瞼はひどく重たかった。
 鏡の中の自分はまるでカエルのような目をしている。
 ベルを鳴らすと、いつもなら、シーラがかけつけてくるところだが、
 モリスがやってきた。
「モリス……」
「ひどい顔だな、サラ」
 モリスは洗面器に水を張った。
 そのままベッドで顔を洗い、歯を磨き、お茶を飲んだサラはようやく、ぽつっといった。
「わたし、無様ね……」
 そういうと、サラはまた涙をぽろぽろ落とし始めた。
 モリスはサラのわきに腰かけ、肩を抱いてやった。
「誰にとっても、初恋は無様だ。
 初恋が美しいなんて言うやつは、多分ろくでもない」
 モリスは適当なことを言ったつもりだったが、傷心のサラは真面目に聞き入っている様子だった。
「……シーラは?」
「シーラはちょっと支度に手間取っている……。
 昨日、ひどく腹を立てて、遅くまで眠れなかったようだ」
「そう……」
 サラはため息をつくと、モリスに身を預けた。
「ひどい気分よ……。
 誰にも会いたくない……。
 こんな気分になったの初めてよ」
「今日は誰もこの部屋には通さない」
「モリスもこんな思いをしたことがあるの?」
 サラが涙目でモリスを見上げた。
 モリスはにわかに鼓動が早くなるのを感じたが、すぐに自制した。
「いや、私は……。
 私の場合は、そうだな、相手に想いを伝えたいが伝えられないというか……。
 そういう辛さはある……」
「忍ぶ恋なのね……。
 きっと、その恋も辛いわね」
 そんな話をしていると、シーラがようやくやってきた。
「サラ様……おはようございます」
「おはよう、シーラ」
 シーラはわずかにモリスに目配せすると、シーラの落ち込みぶりにすぐ世話にかかった。
「シーラ、いいのよ。
 今日はずっと静かにしていたいの。
 シーラと、モリス以外、誰にも会いたくないわ」
「はい、承知しました」
 シーラは素直にうなづくほかなかった。
 その日は午前中にドレイクの訪問があった。
 なにせ、アビゲールの手はずで昨日会うはずだったサラと会えなかったのである。
 しかし、昨日のレインの告白については知らない様子で、単にご機嫌伺いという体で、なんらくみするところはなかった。
「申し訳ありません。
 サラ様はあいにく朝から頭痛がひどくて休んでおいでなのです」
 シーラがいうと、ドレイクはよく休むようにと話した。
 シーラがさりげなく聞いてみたところによると、ドレイクが狩猟大会の時に限って緑の戦場用マントを使用していたのは、
 狩りの時には、いつもの赤いマントより、使い慣れたマントのほうがいいと思ったからであった。
 それが奇しくも、サラを混乱させ、または、真実を明らかにするきっかけとなったのであった。
「我々は今日正午リベルを発つ。
 最後にサラの笑顔で見送ってほしかったが、仕方あるまい。
 くれぐれも体に気を付けるようにいってくれ」
「かしこまりました」
 そして、そのあとサラの部屋をアビゲールとレインが訪ねてきた。
 ドレイクにしたのと同じように対応すると、アビゲールはサラへの気遣いの言葉を述べた。
 しかし、レインは妙にそわそわとして、どうしてもサラに会いたいと言い張った。
 シーラは凍てつくような軽蔑の瞳でレインを見ると、言葉だけは恭しくそれを断った。
 レインがあまりにも食い下がるので、しまいにはモリスが部屋の外で対応をした。
「お引き取りいただくほかありません。
 サラ様はただいま薬を飲んでお休み中でございます」
 モリスのかたくなな態度にようやく折れて、レインはアビゲールとともに帰っていった。
 モリスが部屋へ戻ると、サラをシーラが抱いて慰めていた。
「シーラ、一緒に眠って。
 昔みたいに」
「はい、サラ様」
 サラは子どものようにシーラに抱きつき、そして、シーラもサラを抱きしめ、ともにベッドに横たわった。
 モリスは少し離れた場所から、その様子をただ静かに見守った。

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