帝王の執着愛からは逃れられない ~桃の花 匂いたちたる 千と一夜~

国府知里

文字の大きさ
上 下
8 / 15

(2)

しおりを挟む

「……そういうわけで、ラピュートナリアムでは、シェフテリィーという……」
「ふーん……。それでこんなみょうちくりんな国習ができたのか。それで?」
「そ、それで……。シェフテリィーがどれだけいるのかということですが……」
「ああ」
「シェフテリィーとして目覚めるのは大体十五歳くらいで、セイクリッドという賢者たちがシェフテリィーとして認めると、そこから教育に入ります」
「セイクリッドだと?」

 ラピュートナリアム王国におけるセイクリッドすなわち賢者集団とは、王家や国政に提言ができるほどの力を持つ独立組織である。そもそもの発祥はラーチェの生まれた家であるとか、流浪の賢者であるとかいわれは様々だが、このセイクリッドがシェフテリィーの風習を広めたとされている。今現在ではシェフテリィやイーサンシュラーを経験した者や天地や天体を研究するものなどが集い、ひっそりと浮世の業とは切り離された集団生活を送っている。シェフテリィーとして目覚めた者は、このセイクリッドたちの保護に置かれ、その役割を教え諭されるのだ。

「ふん……、そこで頭でっかちの老人どもから夜の手練手管を仕込まれるのか」
「ちっ、違います……!」

 僕がセイクリッドの暮らす山の神殿にいったのは十三歳のころだった。でもサイード様が思うようなことは一度もなかった。シェフテリィーの受けるべき教育とは、もっと精神的なものに重きを置かれている。なぜ人は人を求めるのか、富が人の心を縛り、孤独が人の心をむしばむのはなぜか。そういうことを学び、イーサンシュラーと一緒になったときには、心と心をつなぐために、どうあるべきかを学ぶのだ。これを言葉で伝えるには難しい。どうすればサイード様にわかってもらえるだろう。

「お前は子どもだったからわからなかっただけであろう。欲どおしい老人どもに……」
「いいえ、そうではないのです……! セイクリッドはみな優しくて心の清い人の集まりで……」
「ふん、このような体にされておいてなにを言うか」
「あっ……!」

 突然サイード様が僕にのしかかってきた。その手で僕の竿を掴むと、ぎゅっと力をこめた。

「サ、サイード様……!」
「賢者だろうが聖者だろうが、人間のやることはいつも同じだ」
「あんっ、ちがっ……はあっ、や、あっ……!」

 まるで蛇のように素早くサイード様の手が僕の着物の中に入ってきて、乱暴に竿をぐいぐいと摩擦する。逃れようとしても、いつの間にか腰を引き付けられて、ベッドの際まで追いやられていた。

「聖人面したじじいどもがお前になにを教えたか、俺が暴いてやる」
「そ、そんな……あうっ!」

 ベッドに押し倒されると、あっという間に着物をはぎ取られた。昨日とおなじ獣のようなキスが降り注ぐ。

「あっ、あふ、んあっ、ああっ」
「ちゅっ、ちゅっ、んちゅ、くちゅ」

 押し付け、奪いからめとるような唇と舌。肌の上を熱い手と指とともに蛇のように執拗にはい回る。

「あっ、やっ、だ、だめ……っ!」

 僕の声なんか全然聞こえてないみたいな乱暴な愛撫が僕の下半身を集中攻撃し始める。

「あっ、あうん……っ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...