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「私だけでは無かったと思います。王太子は、あの、ナリウス殿下なのですから」
「そうだな。あのナリウスだからな。なぁ、国によっては、後継者争いがあったりするもんだろ?それにラリスの王太子は素行の悪いナリウスだった。だから俺は水面下で、ナリウスの廃嫡の動きがあっても、おかしくないと思ってた。俺が学院に留学している間、あいつの悪評は散々見聞きしていたからな。カリストの、スペアで良いって発言は、我が国は平穏です。問題は有りません。って、対外的なポーズかとも思ったんだ」
「でもカリスト殿下は、ナリウス殿下の事を何もご存じなかった」
「それなんだよ。仮にも王子が自国の問題を何も知らない、家族に何があったのか、何をしているのかも知らない、なんて事が有るか?俺なんて知りたくもないのに、セリーヌとロジャーの、喧嘩の原因まで知ってたんだぞ?」
「レ家の皆さんは、本当に仲が宜しいのですね」
「そうじゃなくて。いや、そうなんだけどな?普通は知ろうとしなくても、故郷の話しは耳に入ってくるものだろ?たとえカリストが、蚊帳の外に置かれていたとしても、ラリスの外交官に会う機会はあったし、商会を立ち上げたなら、商人との接点もある。なら国の噂くらいは、知っていて当然だろ?だがカリストは、そうじゃなかった。俺にはあいつが、わざと情報を遮断したとしか思えない」
「わざと・・・」
「そうわざとだ。だから俺が言いたいのはだな。キャニスが嫌だと思うなら、カリストの謝罪を受けたり、あいつを許す必要はないって事だ」
「はあ」
「分からないか?あいつは森の隠者でも、絶海の孤島に流されたわけでもない。自分の意思でキャニスの事を知ろうとしなかった。自分で選んだ結果に罪悪感を感じて、それから逃れたいからって、キャニスに許しを請うのは虫が良すぎる。と俺は思う訳だよ」
「・・・確かにそうですね」
「カリストに会わない事や、謝罪を受けない事で、君が罪悪感を感じる必要はない。君は心の感じるまま、好きにして良いんだ!」
とシェルビーは、言いたいことを一気に捲し立てると、鼻の頭を恥ずかしそうに指で掻いた。
え~と。
何故に、この人は恥ずかしがっているのだろうか。
これは、もしかして。
殿下はさっきから、僕を慰めようとしてくれていたのかな?
僕もひとの事は言えないけれど。
なんて分かり難くて、不器用な人なんだ。
「お気遣いありがとうございます。母にも同じような事を言われたのですが、正直な所、今の僕は、ナリウス殿下で手一杯で、カリスト殿下に構っている暇はないのです」
「・・・・キャニス、こっちに来てくれ」とシェルビーは、自分が座っている3人掛けのソファーをポンと叩いた。
何をする積りなのかと、キャニスは警戒したが、疲れた顔に苦笑を浮かべるシェルビーに根負けし、テーブルを回ってソファーの一番端に腰かけた。
「遠いな」
「そうですか?適切な距離かと思いますが」
「違うな、正しいのはこうだろ」
とシェルビーは、キャニスの腰に腕を廻して引き寄せた。
「・・・近すぎです」
「えぇ~?俺は今日すっごく働いたんだぞ?このくらいの癒しは許してくれよ」
確かに、疲れた顔をされて居るけど。
「・・・・少しだけですよ」
「ありがとう。キャニスは優しいな。それに・・・良い匂いがする」
子供の様に、キャニスの髪に顔を埋めて、匂いを嗅ぐシェルビーに、キャニスは呆れてしまった。
「殿下・・・そんな風に他人の匂いを嗅ぐのは、如何なものかと思います」
「そうか?最近はアロマ何とかって云うのが、癒し効果があるとか言って、流行ってるんだろ?だったら、俺はキャニスの香りで癒されてるから、一緒だ、一緒」
どんな屁理屈だよ。
それに近い。
近すぎる。
くすぐったいから、耳元で話すの止めてくれないかな。
「まだですか?」
「ん~~~。もうちょっと」
本当に子供みたいだ。
「ナミサに、ナリウスの診察を依頼したって?」
「・・・ご存じでしたか」
「まあ、ナミサは宮廷医だし、ライアンの主治医だからな・・・ナリウスが心配か?」
「ええ。心配です」
キャニスの返事に、シェルビーの身体が強張り、引き寄せる腕の力が強くなった。
「殿下、苦しいです」
「なんで、あんな奴の心配なんてするんだ?」
「彼には使い道があるからです。壊れた道具では役に立ちません」
「それだけ?」
「何がですか?」
「ナリウスを心配する理由は、本当にそれだけか?」
他にどんな理由があるって言うんだ?
「ナリウス殿下の使い道は、貴方にも説明したじゃないですか。他に理由なんて有りません」
「でも、俺に隠してることが有るだろ?」
「それは、隠しているのではなくて確信が持てないからで、明日か明後日には、ヒャッ!?」
急に耳朶をぱくりと咥えられ、キャニスは反射的に身を離そうと、シェルビーの胸を押したが、その両手首を無骨で大きな手に捕まえられてしまった。
「ちょっ!!何してるんですか!止めて下さい!!」
「・・・耳にキスしてるだけだ。キャニスは耳も可愛いな」
「けっ契約違反です!」
「なんで?契約書には、どこにキスしろとは書かれてないぞ?」
「うっ!」
迂闊だった。
もっと内容を詰めて置けば良かった。
「みっ耳を食べないで!」
あむあむと耳朶を甘噛みされ、キャニスが堪え切れずに声を上げると、シェルビーはにんまりと微笑み、キャニスの耳元で囁いた。
「齧るのは駄目?キャニスはどういうのが好き?」
「どういうのも駄目です」
教えるも何も、何が好きかなんて、知らないよ!
「え~?教えてくれないなら、色々試してみないとな」
Chu!Chu!っとリップ音を立てキャニスのにキスを繰り返したシェルビーは、逃げようとする体をがっしりと抱え込み、甘噛みして赤く染まった耳朶に舌を伸ばした。
「あっ!ちょっと。本当に止めて!」
「どうして?」
「くすぐったいからです!」
「キャニスは、耳が弱いんだな?」
耳が弱くない人なんている?!
もう!本当に止めて欲しいんだけど!!
それからしばらくの間、反応の一つ一つを確かめる様に、キャニスの耳朶を舐り、しゃぶり尽くしたシェルビーは、キャニスの唇も奪い、その甘さに夢中になった。
そしてシェルビーが満足の溜息を零した時には、キャニスは息も絶え絶え、腰砕けで、彼の事を睨むことしか出来なくなっていた。
そんな愛しの君を抱き上げ、ベットに運んだシェルビーは、キャニスの額にキスを落とし「これ以上やったら、我慢できなくなる」と呟いた。
そして、さっきまでの疲れた様子が嘘のように、つやつやの顔でニッカリと笑い、足取りも軽く、自分の部屋に戻って行ったのだった。
・・・・信じられない。
耳だけでイカされそうになってしまった。
不覚だ。
不覚すぎる。
なんで、こんなに巧いんだよ?
オセニアの閨教育って、どうなってるの?
う~~。怖い怖い。
彼と褥を共にする人は、大変そうだな。
ほんと、僕じゃなくて良かった。
この時のキャニスは、まだシェルビーから逃げ切れると、本気で信じていたのでした。
「そうだな。あのナリウスだからな。なぁ、国によっては、後継者争いがあったりするもんだろ?それにラリスの王太子は素行の悪いナリウスだった。だから俺は水面下で、ナリウスの廃嫡の動きがあっても、おかしくないと思ってた。俺が学院に留学している間、あいつの悪評は散々見聞きしていたからな。カリストの、スペアで良いって発言は、我が国は平穏です。問題は有りません。って、対外的なポーズかとも思ったんだ」
「でもカリスト殿下は、ナリウス殿下の事を何もご存じなかった」
「それなんだよ。仮にも王子が自国の問題を何も知らない、家族に何があったのか、何をしているのかも知らない、なんて事が有るか?俺なんて知りたくもないのに、セリーヌとロジャーの、喧嘩の原因まで知ってたんだぞ?」
「レ家の皆さんは、本当に仲が宜しいのですね」
「そうじゃなくて。いや、そうなんだけどな?普通は知ろうとしなくても、故郷の話しは耳に入ってくるものだろ?たとえカリストが、蚊帳の外に置かれていたとしても、ラリスの外交官に会う機会はあったし、商会を立ち上げたなら、商人との接点もある。なら国の噂くらいは、知っていて当然だろ?だがカリストは、そうじゃなかった。俺にはあいつが、わざと情報を遮断したとしか思えない」
「わざと・・・」
「そうわざとだ。だから俺が言いたいのはだな。キャニスが嫌だと思うなら、カリストの謝罪を受けたり、あいつを許す必要はないって事だ」
「はあ」
「分からないか?あいつは森の隠者でも、絶海の孤島に流されたわけでもない。自分の意思でキャニスの事を知ろうとしなかった。自分で選んだ結果に罪悪感を感じて、それから逃れたいからって、キャニスに許しを請うのは虫が良すぎる。と俺は思う訳だよ」
「・・・確かにそうですね」
「カリストに会わない事や、謝罪を受けない事で、君が罪悪感を感じる必要はない。君は心の感じるまま、好きにして良いんだ!」
とシェルビーは、言いたいことを一気に捲し立てると、鼻の頭を恥ずかしそうに指で掻いた。
え~と。
何故に、この人は恥ずかしがっているのだろうか。
これは、もしかして。
殿下はさっきから、僕を慰めようとしてくれていたのかな?
僕もひとの事は言えないけれど。
なんて分かり難くて、不器用な人なんだ。
「お気遣いありがとうございます。母にも同じような事を言われたのですが、正直な所、今の僕は、ナリウス殿下で手一杯で、カリスト殿下に構っている暇はないのです」
「・・・・キャニス、こっちに来てくれ」とシェルビーは、自分が座っている3人掛けのソファーをポンと叩いた。
何をする積りなのかと、キャニスは警戒したが、疲れた顔に苦笑を浮かべるシェルビーに根負けし、テーブルを回ってソファーの一番端に腰かけた。
「遠いな」
「そうですか?適切な距離かと思いますが」
「違うな、正しいのはこうだろ」
とシェルビーは、キャニスの腰に腕を廻して引き寄せた。
「・・・近すぎです」
「えぇ~?俺は今日すっごく働いたんだぞ?このくらいの癒しは許してくれよ」
確かに、疲れた顔をされて居るけど。
「・・・・少しだけですよ」
「ありがとう。キャニスは優しいな。それに・・・良い匂いがする」
子供の様に、キャニスの髪に顔を埋めて、匂いを嗅ぐシェルビーに、キャニスは呆れてしまった。
「殿下・・・そんな風に他人の匂いを嗅ぐのは、如何なものかと思います」
「そうか?最近はアロマ何とかって云うのが、癒し効果があるとか言って、流行ってるんだろ?だったら、俺はキャニスの香りで癒されてるから、一緒だ、一緒」
どんな屁理屈だよ。
それに近い。
近すぎる。
くすぐったいから、耳元で話すの止めてくれないかな。
「まだですか?」
「ん~~~。もうちょっと」
本当に子供みたいだ。
「ナミサに、ナリウスの診察を依頼したって?」
「・・・ご存じでしたか」
「まあ、ナミサは宮廷医だし、ライアンの主治医だからな・・・ナリウスが心配か?」
「ええ。心配です」
キャニスの返事に、シェルビーの身体が強張り、引き寄せる腕の力が強くなった。
「殿下、苦しいです」
「なんで、あんな奴の心配なんてするんだ?」
「彼には使い道があるからです。壊れた道具では役に立ちません」
「それだけ?」
「何がですか?」
「ナリウスを心配する理由は、本当にそれだけか?」
他にどんな理由があるって言うんだ?
「ナリウス殿下の使い道は、貴方にも説明したじゃないですか。他に理由なんて有りません」
「でも、俺に隠してることが有るだろ?」
「それは、隠しているのではなくて確信が持てないからで、明日か明後日には、ヒャッ!?」
急に耳朶をぱくりと咥えられ、キャニスは反射的に身を離そうと、シェルビーの胸を押したが、その両手首を無骨で大きな手に捕まえられてしまった。
「ちょっ!!何してるんですか!止めて下さい!!」
「・・・耳にキスしてるだけだ。キャニスは耳も可愛いな」
「けっ契約違反です!」
「なんで?契約書には、どこにキスしろとは書かれてないぞ?」
「うっ!」
迂闊だった。
もっと内容を詰めて置けば良かった。
「みっ耳を食べないで!」
あむあむと耳朶を甘噛みされ、キャニスが堪え切れずに声を上げると、シェルビーはにんまりと微笑み、キャニスの耳元で囁いた。
「齧るのは駄目?キャニスはどういうのが好き?」
「どういうのも駄目です」
教えるも何も、何が好きかなんて、知らないよ!
「え~?教えてくれないなら、色々試してみないとな」
Chu!Chu!っとリップ音を立てキャニスのにキスを繰り返したシェルビーは、逃げようとする体をがっしりと抱え込み、甘噛みして赤く染まった耳朶に舌を伸ばした。
「あっ!ちょっと。本当に止めて!」
「どうして?」
「くすぐったいからです!」
「キャニスは、耳が弱いんだな?」
耳が弱くない人なんている?!
もう!本当に止めて欲しいんだけど!!
それからしばらくの間、反応の一つ一つを確かめる様に、キャニスの耳朶を舐り、しゃぶり尽くしたシェルビーは、キャニスの唇も奪い、その甘さに夢中になった。
そしてシェルビーが満足の溜息を零した時には、キャニスは息も絶え絶え、腰砕けで、彼の事を睨むことしか出来なくなっていた。
そんな愛しの君を抱き上げ、ベットに運んだシェルビーは、キャニスの額にキスを落とし「これ以上やったら、我慢できなくなる」と呟いた。
そして、さっきまでの疲れた様子が嘘のように、つやつやの顔でニッカリと笑い、足取りも軽く、自分の部屋に戻って行ったのだった。
・・・・信じられない。
耳だけでイカされそうになってしまった。
不覚だ。
不覚すぎる。
なんで、こんなに巧いんだよ?
オセニアの閨教育って、どうなってるの?
う~~。怖い怖い。
彼と褥を共にする人は、大変そうだな。
ほんと、僕じゃなくて良かった。
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