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第2章〜少年と惑星〜

ep33. 少年のドライブ II

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「走るよぉ~走るよぉ~、僕らは走るぅ~地平線へ~、どこまで行けるか分からないけどぉ~走り続けるよぉ~」


よく分からない歌を口ずさみながら、僕らの乗る車は果てしない大地を突き進んで行く

車の後ろには、船からここまで伸びるタイヤの跡がずーーーっと続いている

ま、現在進行形なんだけどね~

あのね……やろうと言った本人が思うのもどうかと思うけどさ、僕たちはどこまで行けば良いんだろう?

だって、目標になりそうなのって、300kmぐらい離れている向こうの高い山しかないんだよ?

あとはだだっ広い赤茶けた大地だけ。代わり映えのない景色だけです。……正直、ツライよ?

運転しててさ、何やってるんだろう?ってなるんだもん


「そろそろオアシスぐらい在っても良いでしょ!どんだけ進んできたと思ってるんだよ!!」

「ジェム君、落ち着いてください。そうイライラしたところで解決しませんよ?」

「分かってるさ!分かってるけど……。目的地も何もなく、ただ車を走らせて、動植物の1つにも会えないってどうよ!?寂しくない?」

「寂しいという感情は理解できませんが、水辺が近くにあるかどうかは、おおよそですが解るかもしれません」

「えっ、それホント!?ど、どどどどうやって???」

「実践しますので、停車お願いします。焦らずゆっくりとブレーキを踏んでください」


う、うん。ゆっくりだね。ゆっくり……

まさか判断する方法があったなんて驚きだよ

とりあえずエミリーに言われた通り、ゆっくりと車を停車させてみる

ギアレバーをパーキングに戻して、サイドブレーキを引いて、ブレーキペダルから足を退ける……と。よし、停車完了じゃい!!!

さぁ、エミリー。水辺があるか確認して見せよ!

僕は期待の眼差しを彼女へ向けながら、運転席から荷台に移って吉報を待つ事にした

……これで、『近くに無い』なんて言われたら真っ直ぐ船へ帰りますよ

長居は無用。城へ戻るぞ!って感じでね。ま、壊れた船へ帰るだけなんだけどさ


「ふんふんふ~ん!まだかな、まだかな~。近くに水辺はあ~りま~すかぁ~、あったら良いなぁ~ちゃぷちゃぷちゃぷっ」

「……そんな期待しながら待たないでください。手元が狂いそうです」

「えっ?あっ、あぁ……ごめん。ついつい」


エミリーは、車から3mほど離れた地面に穴を掘ると、穴の一番底から少しばかりの土をガラスケースに移す

そのガラスケースを持って、僕のいる車の荷台へと戻ってきた

正直言って、何がしたいか分からない。んまぁ、エミリーだから、ちゃんとした考えがあるんだろうけどさ


ーーーそんな感じで、のほほんと構えて待っている僕の側で、次の瞬間エミリーは衝撃的な行動に出た


そのガラスケースに入っている土を指でつまんで、おもむろに自分の口へと放り込んだ!


「ちょっ!エミリーさん!?何してるの!ばっちいから止めなさい!!!」

「んっ、ちょっと待ってください。現在、保有成分確認中…………完了まで約30秒」

「いや、えっ?ん?はぇ?……エミリー、今どこから声出してるの?」


土を口に入れる行為もさる事ながら、口を閉じたまま声を出す行為にまた驚かされる

……エミリー。彼女は只者じゃないよ

ロストライト 3ここに来てからというもの、ほぼ毎回と言って良いほど驚かされてばっかりだよ

だって、毎回毎回パターンが違うんだもん

人を驚かせるバリエーション豊かすぎるでしょ!!

正直、ついていけないよ……。身が持ちそうにないって


「エ、エミリーさん、もう少し掛かりそうですか?」

「あと10秒ほどで完了です。しばらくお待ちください」


そろそろだね!エミリーさん吉報を期待してるよ

今の僕は期待満々だもんね~楽しみだね~


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