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第1章〜少年と船〜
ep8. 少年とエミリー
しおりを挟む都合よくAIと出会うことが出来たのはいいが、『マスター』という単語に違和感を覚えてしまう
「エ、エミリー?その……マスターってそもそも何?」
「はい、マスター。マスターとは、主人を意味する単語です。主従関係にある間柄において、よく使用される呼称となります」
「いや、そうじゃなくて……。ごめん。僕の言い方が間違っていたよ。僕の事をマスターって呼ぶけど何でなの?」
「これは大変失礼致しました、マスター。なぜマスターと呼称するかですね?では、お答えします。それは貴方様が私の主人、私が持ちうる全ての能力を捧げるべき主であるからです」
ん~……どうしよう
どういうわけか主人認定されちゃってるよ……
僕まだ10歳なのに誰かを従えるってこと?
ちょっと荷が重すぎるんだけど……
「ねぇ、エミリー。1つ提案があるんだけど……聞いてくれる?」
「何でしょうマスター。マスターの話でしたら何でもお聞きいたします」
「あ、ありがとう。じゃあ、マスターって言うの止めてジェムって呼んでほしいんだけど……」
「……どうしてでしょうか?お気に召しませんでしたか?もしそうでしたら、ご主人様というワードに変更いたしますか?」
「いや、そうじゃなくて。マスターとかご主人様とかって単語、僕には何て言うか……重すぎるんだよね。だから気負いせずに済むように名前で呼んでほしいんだ」
僕は思っていた事をエミリーにそのまま伝えると、彼女は渋る素ぶりを見せた
そんなにマスターって呼びたいのかな?
「……そのようでしたら、私にご命令ください。マスター及びその他、類似性が認められる呼称を禁ずる、と。そして名前で呼ぶように、と」
「これって命令しなきゃダメ?あくまで僕のお願いなんだけど……」
「ダメです。でないとマスターという呼称の変更は致しません」
あれ~?このAI、わりと意思がしっかりしてるね
まぁ、プログラムでそうなっているのかな?
なんかあそこまで断言されると命令せざるを得ないような……
全くもって不本意なんだけど、エミリーが拒んでいるから命令するしかないのかな
僕は渋々、命令する事にした。かなり迷ったんだからね!
だって初めて人に命令するしさ……
「わかった。今からマスターと呼ぶ事を禁止する。これからは僕の名前、ジェムと呼ぶように!」
「畏まりました。ジェム…………様」
「あっ、様も禁止にする。ジェム、もしくはジェム君にして!その方が馴染みがあって良いんだ」
「畏まりました。ジェム君。これでよろしいですか?」
「うん!これからよろしくねエミリー」
うん。大満足!!!
危うく様づけで呼ばれる所だったけど、追加命令でどうにかできた
やっぱりマスターとか、様づけはムズムズして嫌だね
フレンドリーに呼んでくれた方が気負いせず楽で良い!!
さてと、エミリーと出会えた事だし、船の状態と今居る惑星の事、そして、現在僕たちが置かれている状況を教えてもらおうかな
これほどの情報を出会ってすぐに聞くのは可哀想だけど、今は何よりも情報がほしいからね
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