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ベクター「……あのさ…そのスケッチブック、よかったら見せてくれないか?」
美穂「いいですよ」
ベクター「………」
ベクター「(この前の公園の絵だ...すごく綺麗だ...。絵の中の子供たちも楽しそうだ)」ペラッ
ベクター「(ん?これ俺が料理してる時の絵か?今まで自分で見た事なかったからわからなかったけど、エプロン姿のガイコツって酷いな...)」ペラッ
ベクター「(病院のいろんな人の絵もあるな......あれ...?この絵......)」
ベクター「なぁ、この男の人と女の人って...」
美穂「私の両親ですよ」
ベクター「やっぱり」
美穂「え、なんでわかったんですか?」
ベクター「お前に似て凄く優しい笑顔をしてる、からかな?なんとなくだけど」
美穂「私も笑った時こんな顔してるんですか?」
ベクター「あぁ、そっくりだ」
美穂「...そうなんだ」
ベクター「あ、今のその顔」
美穂「えっ?」
ベクター「すごく、優しい笑顔だよな...俺、お前のその顔、好きだよ」
美穂「ち、ちょっ何言ってるんですか...!恥ずかしい...///」
ベクター「お前はからかい甲斐があるな」ハハハ
美穂「もうっ、ベクターさん!」
美穂「そんなベクターさんの子供の頃の夢はなんだったんですか?」
ベクター「お前、死神に少年時代があると思ってんのか?」
美穂「え、ないんですか?」
ベクター「いや、あるんだけど」
美穂「あるんじゃないですか」
ベクター「まぁ、俺も元は天使って言ったじゃん?天使も普通に人間と同じように父親と、母親がいて生まれてくるんだよ」
美穂「そうなんですか」
ベクター「あぁ、そんでさ、実は俺の親父も死神やっててさ。すごく仕事のできる死神だったんだよ」
ベクター「だから俺さ、“親父みたいな死神になりたい”と思ったんだ」
美穂「じゃあ、ベクターさんと、ベクターさんのお父さんは二人とも同じ仕事してるんだ。いつか、一緒に仕事するって事もあるかもしれないんですね」
ベクター「いや、死神は新人の研修期間とか以外は担当の人間に1人だけだから、そりゃあないな」
ベクター「もし、2人以上で仕事する事になっても、もう...そんな事は絶対にないんだけどね...」
美穂「それって...まさか...」
ベクター「...あぁ、死んだよ」
美穂「...ごめんなさい」
ベクター「おいおい、謝らないでくれよ。俺もお前に同じような事しちゃったし、気にしてないよ」
美穂「...じゃあ、どうしてそんな悲しい顔するんですか?」
ベクター「え...、俺いまそんな顔してる?」
美穂「」コク
ベクター「無意識だったな、さっきは気にすんなっつったのに...。悪いんだけど、少し長くなるけど、聞いてくれるか?」
美穂「」コク
ベクター「俺の親父さ、俺が住んでるところは天界なんだけど、天界でもかなり有名な仕事のできる死神だったんだよ」
ベクター「俺さ、そんな親父が誇らしくて、さっきも言ったけど子供の頃は“絶対父さんみたいな死神になってやるんだ~”って思ってたんだ」
ベクター「けどある日、親父は死んだんだ...。死神のくせにな」
ベクター「死神ってルールを破ってしまうと消滅するんだよ。だから、身体も戻ってこないんだ」
ベクター「ちなみに、死神には人間との間に、いくつかルールがあって、お前に死因を教えてやれないのもそうなんだけど、最も破ってはいけないルールがあるんだ」
ベクター「人間に起こる“非業の死を回避してはいけない”。そして、親父は...このルールを犯した」
ベクター「つまり仕事を全うできなかったってことだな。親父が死んだあと、天界では親父に“仕事もろくに全う出来ない不出来な死神”っていう、今までの評判とは全く逆のレッテルを貼られた」
ベクター「もちろんその影響は俺にも及んだよ。”不出来な死神のガキ“ってな」
ベクター「凄く悔しかったんだ。何より親父の事を誇っていた分、悔しくて、悔しくて。”死神になんてなってたまるか!“って、親父が死んでからはそう思っていた。だから死神になる前は別の仕事をしてたんだ」
ベクター「でもさ、やっぱりレッテルのせいで居心地が悪いんだよ、その仕事先もな。それでも死神だけにはなりたくないな、とか思ってたんだ」
ベクター「そんな時に、死神大王様っていう、死神のなかで一番偉い人なんだけど、そんな人に半ば強制的に死神の研修を受けさせられたんだ」
ベクター「最初の方はすっごく嫌だったんだ。だけどさ、前の仕事先とは決定的に違う事があったんだ」
ベクター「親父の事を悪く言う人は一人も居ないんだ。みんな”あの人は立派な死神だった“って」
ベクター「研修中の時ばっかりは俺も鼻が高かったよ。先輩の死神はみんな寄ってたかって親父の事を褒めるんだからさ」
ベクター「それで、死神大王様に改めて誘われた時に決心したんだ。”親父はただ仕事を全うできなかったんじゃない。だったら、どうしてその人間を死なせなかったのか確かめたい“ってな」
ベクター「だから、こうして死神になったってわけだ」
美穂「いいですよ」
ベクター「………」
ベクター「(この前の公園の絵だ...すごく綺麗だ...。絵の中の子供たちも楽しそうだ)」ペラッ
ベクター「(ん?これ俺が料理してる時の絵か?今まで自分で見た事なかったからわからなかったけど、エプロン姿のガイコツって酷いな...)」ペラッ
ベクター「(病院のいろんな人の絵もあるな......あれ...?この絵......)」
ベクター「なぁ、この男の人と女の人って...」
美穂「私の両親ですよ」
ベクター「やっぱり」
美穂「え、なんでわかったんですか?」
ベクター「お前に似て凄く優しい笑顔をしてる、からかな?なんとなくだけど」
美穂「私も笑った時こんな顔してるんですか?」
ベクター「あぁ、そっくりだ」
美穂「...そうなんだ」
ベクター「あ、今のその顔」
美穂「えっ?」
ベクター「すごく、優しい笑顔だよな...俺、お前のその顔、好きだよ」
美穂「ち、ちょっ何言ってるんですか...!恥ずかしい...///」
ベクター「お前はからかい甲斐があるな」ハハハ
美穂「もうっ、ベクターさん!」
美穂「そんなベクターさんの子供の頃の夢はなんだったんですか?」
ベクター「お前、死神に少年時代があると思ってんのか?」
美穂「え、ないんですか?」
ベクター「いや、あるんだけど」
美穂「あるんじゃないですか」
ベクター「まぁ、俺も元は天使って言ったじゃん?天使も普通に人間と同じように父親と、母親がいて生まれてくるんだよ」
美穂「そうなんですか」
ベクター「あぁ、そんでさ、実は俺の親父も死神やっててさ。すごく仕事のできる死神だったんだよ」
ベクター「だから俺さ、“親父みたいな死神になりたい”と思ったんだ」
美穂「じゃあ、ベクターさんと、ベクターさんのお父さんは二人とも同じ仕事してるんだ。いつか、一緒に仕事するって事もあるかもしれないんですね」
ベクター「いや、死神は新人の研修期間とか以外は担当の人間に1人だけだから、そりゃあないな」
ベクター「もし、2人以上で仕事する事になっても、もう...そんな事は絶対にないんだけどね...」
美穂「それって...まさか...」
ベクター「...あぁ、死んだよ」
美穂「...ごめんなさい」
ベクター「おいおい、謝らないでくれよ。俺もお前に同じような事しちゃったし、気にしてないよ」
美穂「...じゃあ、どうしてそんな悲しい顔するんですか?」
ベクター「え...、俺いまそんな顔してる?」
美穂「」コク
ベクター「無意識だったな、さっきは気にすんなっつったのに...。悪いんだけど、少し長くなるけど、聞いてくれるか?」
美穂「」コク
ベクター「俺の親父さ、俺が住んでるところは天界なんだけど、天界でもかなり有名な仕事のできる死神だったんだよ」
ベクター「俺さ、そんな親父が誇らしくて、さっきも言ったけど子供の頃は“絶対父さんみたいな死神になってやるんだ~”って思ってたんだ」
ベクター「けどある日、親父は死んだんだ...。死神のくせにな」
ベクター「死神ってルールを破ってしまうと消滅するんだよ。だから、身体も戻ってこないんだ」
ベクター「ちなみに、死神には人間との間に、いくつかルールがあって、お前に死因を教えてやれないのもそうなんだけど、最も破ってはいけないルールがあるんだ」
ベクター「人間に起こる“非業の死を回避してはいけない”。そして、親父は...このルールを犯した」
ベクター「つまり仕事を全うできなかったってことだな。親父が死んだあと、天界では親父に“仕事もろくに全う出来ない不出来な死神”っていう、今までの評判とは全く逆のレッテルを貼られた」
ベクター「もちろんその影響は俺にも及んだよ。”不出来な死神のガキ“ってな」
ベクター「凄く悔しかったんだ。何より親父の事を誇っていた分、悔しくて、悔しくて。”死神になんてなってたまるか!“って、親父が死んでからはそう思っていた。だから死神になる前は別の仕事をしてたんだ」
ベクター「でもさ、やっぱりレッテルのせいで居心地が悪いんだよ、その仕事先もな。それでも死神だけにはなりたくないな、とか思ってたんだ」
ベクター「そんな時に、死神大王様っていう、死神のなかで一番偉い人なんだけど、そんな人に半ば強制的に死神の研修を受けさせられたんだ」
ベクター「最初の方はすっごく嫌だったんだ。だけどさ、前の仕事先とは決定的に違う事があったんだ」
ベクター「親父の事を悪く言う人は一人も居ないんだ。みんな”あの人は立派な死神だった“って」
ベクター「研修中の時ばっかりは俺も鼻が高かったよ。先輩の死神はみんな寄ってたかって親父の事を褒めるんだからさ」
ベクター「それで、死神大王様に改めて誘われた時に決心したんだ。”親父はただ仕事を全うできなかったんじゃない。だったら、どうしてその人間を死なせなかったのか確かめたい“ってな」
ベクター「だから、こうして死神になったってわけだ」
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