死神さんのお仕事

ミミココ

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~洋食屋~

ベクター「ふと気になったんだけどさ、美穂って小さい頃の夢とかなかったの?」

美穂「い、いきなりなんですか?」

ベクター「いや、なんとなく気になって、だよ」

美穂「ちょっと動かないでもらって、いいですか?」

ベクター「あれ、お前、スケッチブックなんて持ってたんだ」

美穂「いつも持ち歩いてるんですよ。昨日のピクニックでも持ってきてましたし」

ベクター「へぇ~」

美穂「」カキカキ

美穂「………じゃん!」

ベクター「おぉ、上手いな!俺にそっくりだ」

美穂「そうでしょ?私の数少ない特技です」

ベクター「あ、数少ないんだ。でもすげぇよ。この短時間でよく描けたな」

ベクター「絵が描けるってことは、画家かなんか?」 

美穂「絵を描くってことでは共通してますね...」

ベクター「?」

美穂「実は、漫画家になりたかったんです」

ベクター「あ!そういえば、部屋に漫画いっぱいあったもんな。へぇ~そうだったのか」

ベクター「それも未練のうちに入ってたりするのか?」

美穂「小さい頃の夢、ですよ。病気になって長くないってお医者様に言われた時に諦めました」

ベクター「美穂…」

美穂「なんていうか、私、病気になる前の方がやりたいことがあった気がするんですよ...」

美穂「でも先が長くないってわかった時に、やりたい事ができない事に変わるのが怖かったの、かな...?その辺りからやりたい事がなくなっちゃったんです」

美穂「今なら多少無理してでも、病気になる前にやりたかったことがたくさんできるはずなのに……なにをやりたかったのかわからないんです……」

ベクター「………」

美穂「あ、変な空気になっちゃいましたね!ごめんなさい」

ベクター「...なんか俺…けっこう押し付けがましかったよな。悪い」

美穂「何言ってるんですか?」

ベクター「いや、なんて言うかさ......」

美穂「気にしないでくださいよ。やりたい事がなくても、やりたくない事はないですから。正直ベクターさんといるの、凄く楽しいですよ」

ベクター「......そう言ってくれると助かるよ」

ベクター「……あのさ…そのスケッチブック、よかったら見せてくれないか?」

美穂「いいですよ」 
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