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第一章 第1話 出会い
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「どもども。今日も観に来てくれてありがとう。ということで配信していこうと思います。いつぶりだっけ? 1週間ぶり? あぁ確かそんな気がするよ」
バイトが無い日の僕は久しぶりにYoutubeにてゲーム配信をする事にした。
こう見えても実はそれなりに登録者数がいて、1週間ぶりの配信だというのにこうして観に来てくれる人がいるのはとてもありがたい。
「ん? 最近何かあったかって? まぁ色々かな。でも落ち着いたから戻って来たよ」
普段の口調と違った様子で話しながらゲームをする。
今回はFPSで、上手くなるのにそれなりの時間を費やした。
とは言っても暇潰しくらいでやってたらいつの間にか上達していって、なんなら僅かでも収益化出来た方が今後の為になるだろうという事で半道楽気分で今も続けているのだ。
「まずいかな…いや、いける。ほらいった」
そんなこんなで敵チームを確実に屠っていき勝利を収めた。
ーやっぱ何かあったでしょ? そんなプレイスタイルは見たことないよ?
親しくしている仲間からのチャットだった。
「まぁ色々あったのよ。ほらラストゲーム行こうぜ」
そうして本日の配信が終わると静かにチャンネルを閉じた。
楽しいはずなんだけど、少し疲れたな。
ということで煙草に火を点けて煙を肺いっぱいに入れる。
やはりまだ不味い感じがした。
明日の予定を確認すると、大学でいくつか講義を受けてからバイトだった。
確か明日は鈴谷さんと芹乃さんが両方とも来るんだったな。
まぁ芹乃さんは放っておいても平気だろう。
鈴谷さんは初日の様子から察するにしっかりと見ていないと危ない気がするな。
そんなことを考えながら食事等を済ませる。
実家暮らし故、深夜は騒がしく出来ないので配信ではなく1人で静かにゲームをする。
それから眠くなればそれに身を任せて眠りについた。
***
「高橋さんって大学生なんですよね? 彼女さんとかいないんですか?」
バイトの休憩時間に芹乃さんがそんな事を聞いてきた。
ちなみに芹乃さんと鈴谷さんは僕がいない間はそれぞれ1人になってしまうので同じタイミングで休憩に入っている。
「急ですね。まぁどうでしょうね」
「誤魔化しちゃって。いそうな気がするんだけどなぁ」
僕は特に明言する事なく食事をする。
鈴谷さんは話に入るわけでもなく静かに食事をしていた。
「大学生でしょ? サークルとか飲み会とか出会いの場はたくさんあるのに?」
「まぁそうですね」
「一瞬目を逸らしましたね。その感じは独り身ですね」
芹乃さんは僕が意図としない仕草から何かを読みとったようだ。
なんかこのまま黙ってたりあしらったりしてたら会話が終わらなさそうなので、妥協点として
「独り身ですよ」
と答える事にした。
「ならこの際だから彼女を募集してみたり?」
「特にしないですよ。まぁしばらくはいいかなって思ってますし」
それを聞いて芹乃さんかいじらしい表情を見せた。
だから敢えてからかってやろうと逆に質問してみた。
「僕の事が気になるんですか? 芹乃さんも独り身だったら答えなくもないですよ?」
「面白い事言いますね。まぁ私も今は独りですよ。これで答えてくれますよね?」
「どうでしょうね」
すると彼女の口角が僅かに上がった。
それにより僕は気付いてしまった。
芹乃さんはさっきの質問で僕に前まで彼女がいた事を見抜いたのだ。
僕がその質問の中にあった『私も今は』という言葉に反応を示さなかったからだ。
大人の女性、しかもこういうタイプの女性はなかなか手強いな。
そんな様子を鈴谷さんはやはり何も言わずにじっと見ているだけで、特に会話に入って来ようとしなかった。
正直なところ、鈴谷さんも会話に入られたら少し面倒だったしどうしようかとも思っていたので助かった。
でもなぜだろう。
鈴谷さんの視線というか雰囲気はどこか不思議というか、なんとも言えない空気感だったり怪しさがあった。
「そろそろ時間だから戻りましょうか」
芹乃さんにこれ以上深掘りされない内にどうにか話を切り上げると、丁度休憩時間の終了時刻となった。
そして事務所を出ていく直前、鈴谷さんが話しかけてきた。
「彼女さん、いないんですね」
「その話はもういいって。ほら戻ろうか」
僕はそう促して持ち場へと戻った。
バイトが無い日の僕は久しぶりにYoutubeにてゲーム配信をする事にした。
こう見えても実はそれなりに登録者数がいて、1週間ぶりの配信だというのにこうして観に来てくれる人がいるのはとてもありがたい。
「ん? 最近何かあったかって? まぁ色々かな。でも落ち着いたから戻って来たよ」
普段の口調と違った様子で話しながらゲームをする。
今回はFPSで、上手くなるのにそれなりの時間を費やした。
とは言っても暇潰しくらいでやってたらいつの間にか上達していって、なんなら僅かでも収益化出来た方が今後の為になるだろうという事で半道楽気分で今も続けているのだ。
「まずいかな…いや、いける。ほらいった」
そんなこんなで敵チームを確実に屠っていき勝利を収めた。
ーやっぱ何かあったでしょ? そんなプレイスタイルは見たことないよ?
親しくしている仲間からのチャットだった。
「まぁ色々あったのよ。ほらラストゲーム行こうぜ」
そうして本日の配信が終わると静かにチャンネルを閉じた。
楽しいはずなんだけど、少し疲れたな。
ということで煙草に火を点けて煙を肺いっぱいに入れる。
やはりまだ不味い感じがした。
明日の予定を確認すると、大学でいくつか講義を受けてからバイトだった。
確か明日は鈴谷さんと芹乃さんが両方とも来るんだったな。
まぁ芹乃さんは放っておいても平気だろう。
鈴谷さんは初日の様子から察するにしっかりと見ていないと危ない気がするな。
そんなことを考えながら食事等を済ませる。
実家暮らし故、深夜は騒がしく出来ないので配信ではなく1人で静かにゲームをする。
それから眠くなればそれに身を任せて眠りについた。
***
「高橋さんって大学生なんですよね? 彼女さんとかいないんですか?」
バイトの休憩時間に芹乃さんがそんな事を聞いてきた。
ちなみに芹乃さんと鈴谷さんは僕がいない間はそれぞれ1人になってしまうので同じタイミングで休憩に入っている。
「急ですね。まぁどうでしょうね」
「誤魔化しちゃって。いそうな気がするんだけどなぁ」
僕は特に明言する事なく食事をする。
鈴谷さんは話に入るわけでもなく静かに食事をしていた。
「大学生でしょ? サークルとか飲み会とか出会いの場はたくさんあるのに?」
「まぁそうですね」
「一瞬目を逸らしましたね。その感じは独り身ですね」
芹乃さんは僕が意図としない仕草から何かを読みとったようだ。
なんかこのまま黙ってたりあしらったりしてたら会話が終わらなさそうなので、妥協点として
「独り身ですよ」
と答える事にした。
「ならこの際だから彼女を募集してみたり?」
「特にしないですよ。まぁしばらくはいいかなって思ってますし」
それを聞いて芹乃さんかいじらしい表情を見せた。
だから敢えてからかってやろうと逆に質問してみた。
「僕の事が気になるんですか? 芹乃さんも独り身だったら答えなくもないですよ?」
「面白い事言いますね。まぁ私も今は独りですよ。これで答えてくれますよね?」
「どうでしょうね」
すると彼女の口角が僅かに上がった。
それにより僕は気付いてしまった。
芹乃さんはさっきの質問で僕に前まで彼女がいた事を見抜いたのだ。
僕がその質問の中にあった『私も今は』という言葉に反応を示さなかったからだ。
大人の女性、しかもこういうタイプの女性はなかなか手強いな。
そんな様子を鈴谷さんはやはり何も言わずにじっと見ているだけで、特に会話に入って来ようとしなかった。
正直なところ、鈴谷さんも会話に入られたら少し面倒だったしどうしようかとも思っていたので助かった。
でもなぜだろう。
鈴谷さんの視線というか雰囲気はどこか不思議というか、なんとも言えない空気感だったり怪しさがあった。
「そろそろ時間だから戻りましょうか」
芹乃さんにこれ以上深掘りされない内にどうにか話を切り上げると、丁度休憩時間の終了時刻となった。
そして事務所を出ていく直前、鈴谷さんが話しかけてきた。
「彼女さん、いないんですね」
「その話はもういいって。ほら戻ろうか」
僕はそう促して持ち場へと戻った。
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