貴方と何故こうなった

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家族

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侍女が部屋を出ていくが扉は少し開けていった。

少しの時間でも部屋に若い未婚の男女が二人で居るのは良くないと考えられているからだが、別荘では常に一緒に居たことは伏せておこうと決意した。

「サナ、痛い所や辛い事は、無い?」

ジークは私が両手を広げたさいに赤面していたが、腕に残る傷や縛られていた痣が、気になったみたいだった

「まだ目覚めたばかりで良く判らないけど、貴方の顔が一番にみれたから気持ちは暖かいの」

彼の葵澄んだ瞳を見つめ今自分が安全な場所で居られている事に気持ちが安堵していた

コンコン

ノックがされる

振り向くと家族総出で来てくれた

「ご心配おかけしました。」

「無事で本当に良かった!」

真っ先に兄さまが駆け寄り無事を喜んでくれる

「・・・サナ、すまなかった。」

「父様、私の自分勝手な行動でご迷惑おかけしました。申し訳ございませんでした。」

「いや、お前は何も悪くない・・・無事に帰ってきてくれてありがとう」

父様が私の頭を優しく撫でる

「本当にお帰りなさい、さぁさぁサナはまだ本調子ではありませんから少し何か口に入れさせてあげなければ、そしてゆっくり休みなさい
話はそれから色々しましょう、決める事も多いわよ」

母様は私を抱きしめ優しい笑顔で皆を諭してくれた
そして耳元で小さな声で
「彼と早く婚約しなくちゃ何も出来ないわよね」

私が真っ赤になっているのを母様以外は不思議そうにみてきた

母様は何を何処まで知っているのか、少し不安にはなる

まずは回復が先なのだろう、少し話しただけでも疲れたのか眠くなる

何日も食事どころか水さえ与えてもらえてなかった為スープを少し頂き眠りについた

あの日冷たい床で絶望しかなく眠った時とは違い、暖かな気持ちに包まれ次の目覚めを楽しみに休息をとる

幸せの未来を夢に見ながら
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