貴方と何故こうなった

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side 母(1)

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ある日、バタバタとローが娘の手を引いて帰宅

部屋に鍵まで掛けて閉じ込められてしまった。

母親としてあの人に話を聞いてあげてほしい事も閉じ込めるのは違うと訴えたが、愛娘のあの人とローが聞くわけもなく、娘が逢い引きしていたやら、絡まれていたやら、痴話喧嘩したやら、憶測だけを語り合って騒いでいる。

当事者の話しなど聞きもせず。

二人の隙をみて娘の所へ行ってみる

コンコン
「私よ、部屋に入ってもいいかしら?」

「母様・・・」
弱々しい声で返事をする娘に無力な私は目頭が熱くなる。

「ごめんね、話を聞かせてくれるかしら?」

「聞いてくれますの?」

「・・・当たり前じゃない」

娘を抱き締めて頭を撫でてあげる

「私、最近気になる殿方ができましたの、でもお話もしたこと無いかたで、名前だって知らなかったの」

何にも特段興味を持とうとしなかった娘が珍しく気になる殿方だなんて、何故そんな素敵な事を拒絶するような行為をあの人逹は本当に・・・。

「いつもね、建物陰に身体を預けて休憩されていて、その姿を眺める事だけで気持ちがフワフワして嬉しくて、一目観れるだけで良かったのに・・・」

言葉を止めた娘は目を赤くしていたと思ったら頬が朱く色づいた!
あらあらあら、こんな風にこの子と恋話ができる日が来るなんて!

「あ、あ、あのね、今日は何故かその方がね」

真っ赤になってウルウルした綺麗な瞳で一生懸命訴える娘
母は貴方の味方よ!

「何時もの場所で横になっていなくて、居ないから帰ろうと振り返ったら彼が居て、ぶつかって、倒れ掛けたのを助けてくれて、抱き留められて、でね、でね、彼は綺麗な葵瞳をしていて、声も素敵で」

あぁ可愛い娘、無我夢中で話してくれてるわ

「お礼伝えて帰ろうとしたら、う、うで、うでを掴まれて」

ここまで幸せそうに、話していたのに突然目に涙を溜めて

「兄さまがね、何してるって間に入ってみえたの、揉めてるとか絡まれてるとか思っての行動なのでしょうけど、彼、兄さまの知り合いみたいで挨拶したらお前には妹はやらんとか言い出して、何も言えないまま部屋に閉じ込められてしまったの」

愚息が!
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