大好きな貴方への手紙

03

文字の大きさ
上 下
12 / 24

手紙

しおりを挟む
公爵様が部屋を出ていかれて私は手紙を手に持っていた

読んでも読まなくてもいい・・・・エルヴィス様が今どうなっているのかだけ知りたい。

彼の無事を確認したいだけ!

公爵様が置いていった手紙を開ける




∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

オルエクタ公爵殿

先日依頼を受けましたエルヴィス・アルベル侯爵の事故につき調査結果をお知らせいたします。

事故の前に向かわれていたのは郊外に位置する森との事でした。

余りにもあり得ない事なのですが、ベルベッツ伯爵令嬢が森近くで生活していると話を聞き急ぎ向かわれたとの内容


森へは数名で向かわれたみたいなのですが、アルベル侯爵は急いでいたのでしょう一人先に馬を走らせていたそうです。

後から追いついた者たちは賊と対峙している侯爵を見つけ加勢していた時、一人の賊が放った矢に侯爵が打たれ落馬、打ちどころが悪かったのと矢に塗られていた毒による物で意識が戻られていないそうです。

食事もとれていないなどの為あと何日もつかと医療関係者の話を確認いたしました。


これにて調査終了をお伝えいたします。



∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞






胸がギュッと苦しくなる

エルヴィス様が・・・・本当にこの世から居なくなる

私が、私が居なくなったりしたから、手紙なんて書いたから

探してほしいなんて書いてないけど探さないでとも書かなかった

嫌だ・・・嫌だ

どうしよう、もう本当に逢えなくなる

別の場所で幸せにって願って居たいのにそれさえもできないの?

なんで?彼は幸せにならないと

私が彼を不幸にさせすぎている





どうしよう

手紙で約束した、二度と姿を見せないと

でも、エルヴィス様に逢いたい

逢ってどうするの・・・・もう先は短い







考えても考えても答えは出てこない

あれもダメ、これもダメ、自分の思いに雁字搦めになり身動きが取れない

苦しい、息がし難い




コンコン 「お嬢様、お食事の用意ができました。お部屋の移動お願いいたします」

ハッとする

一体どれぐらい考えを巡らせていたのか

外を見ると赤く空が染まっていた。

「今行きます」

ハァ、ため息が出る、ため息なんて幸せが逃げると言われているのに・・・・。

私に幸せは必要ないのかもしれない、でもおなかは減るし睡眠も取る

彼が倒れて苦しんでいるのに自分は・・・・。



部屋を出て食堂へ入ると席には公爵様がすでに座られていた

「遅くなり申し訳ございません」

頭を深々と下げた

「いや、手紙を読まれたのだな」

頭を上げ公爵様を見る、優しい眼差しでこちらを向かれている

「・・・はい」

「・・・良い内容ではなかったと言う事か、可愛らしい顔が台無しだよ」

「・・・可愛くなど」

すっと公爵様が立ち上がり私に近づいてきた。
手を私の目元へとやると涙を拭う
泣いて・・・・いたのか私は

「ほら、悲しい顔してる。辛い内容だった?」

「・・・・か、かれ・が、ほんとぉぅうに居なくなる・・うっぅ」

涙で声がうまく出ない

「そうか、君はどうしたい?」

「・・・わ、わたし?」

「そう、君が今一番したいのは何?」

もう声が出せそうにない

鳴き声を上げ泣き出してしまった

暖かい腕に包まれ少しの間泣いているのを慰めてもらってから伝える

「あいたい・・・彼にあいたいよお・・・」

「うん、一緒に逢いにいこう?」

バッと顔を上げて公爵様を見る、優しく微笑まれる

「・・・いいのですか?」

「ああ、良いよ、一緒に彼に逢いに明日の朝一で出発しよう!さぁその前に食事にしよう」

「・・・はい、ありがとうございます」

公爵様に背中を押していただいたおかげで素直に逢いたいと伝えられた
公爵様は本当にお優しく寛大なお方だ







しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

拝啓、婚約者さま

松本雀
恋愛
――静かな藤棚の令嬢ウィステリア。 婚約破棄を告げられた令嬢は、静かに「そう」と答えるだけだった。その冷静な一言が、後に彼の心を深く抉ることになるとも知らずに。

いつかの空を見る日まで

たつみ
恋愛
皇命により皇太子の婚約者となったカサンドラ。皇太子は彼女に無関心だったが、彼女も皇太子には無関心。婚姻する気なんてさらさらなく、逃げることだけ考えている。忠実な従僕と逃げる準備を進めていたのだが、不用意にも、皇太子の彼女に対する好感度を上げてしまい、執着されるはめに。複雑な事情がある彼女に、逃亡中止は有り得ない。生きるも死ぬもどうでもいいが、皇宮にだけはいたくないと、従僕と2人、ついに逃亡を決行するのだが。 ------------ 復讐、逆転ものではありませんので、それをご期待のかたはご注意ください。 悲しい内容が苦手というかたは、特にご注意ください。 中世・近世の欧風な雰囲気ですが、それっぽいだけです。 どんな展開でも、どんと来いなかた向けかもしれません。 (うわあ…ぇう~…がはっ…ぇえぇ~…となるところもあります) 他サイトでも掲載しています。

【完結】マッチョ大好きマチョ村(松村)さん、異世界転生したらそこは筋肉パラダイスでした!

櫻野くるみ
恋愛
松村香蓮はマッチョが大好きな女子高校生。 しかし、学校には納得できるマッチョがいないことに不満を抱えていた。 細マッチョくらいでは満足できない香蓮は、友人にマッチョ好きを揶揄われ、『松村』をもじって『マチョ村』と呼ばれているのだが、ある日不注意による事故で死んでしまう。 転生した先は異世界だった。 頭をぶつけた衝撃で前世でマチョ村だった記憶を取り戻したカレンだったが、騎士団の寮で働いている彼女のまわりはマッチョだらけで……? 新人騎士の幼馴染みも加わって、マッチョ好きには堪らない筋肉パラダイスに悶絶するマチョ村さんのお話です。 小説家になろう様にも投稿しています。 『文官貴族令嬢は、マッチョな騎士に首ったけ。』がエンジェライト文庫様より電子書籍で配信されています。 こちらもマッチョに惹かれる女の子のハッピーエンドのお話なので、よろしかったら各配信サイトからお願いいたします。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない

エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい 最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。 でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。

貴方と何故こうなった

03
恋愛
ただ、観ているだけの彼 ただ、見られているだけの俺 そんな二人のそれから ※ゆるゆる設定 細かい事は許して下さい

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

自信家CEOは花嫁を略奪する

朝陽ゆりね
恋愛
「あなたとは、一夜限りの関係です」 そのはずだったのに、 そう言ったはずなのに―― 私には婚約者がいて、あなたと交際することはできない。 それにあなたは特定の女とはつきあわないのでしょ? だったら、なぜ? お願いだからもうかまわないで―― 松坂和眞は特定の相手とは交際しないと宣言し、言い寄る女と一時を愉しむ男だ。 だが、経営者としての手腕は世間に広く知られている。 璃桜はそんな和眞に憧れて入社したが、親からもらった自由な時間は3年だった。 そしてその期間が来てしまった。 半年後、親が決めた相手と結婚する。 退職する前日、和眞を誘惑する決意をし、成功するが――

処理中です...