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第2章 弟子の魔法使いはダンジョンを手に入れる(こっそりと)。
第11話 入学式は色んな出会い(弟子は師のチート振りを忘れてた)。
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──寒い冬の季節を超えて、あっという間に春を迎えた。
あの帰省後は特に問題も起こらず、トントンと受験も合格を貰えて、四月……今日から『第三龍門学園』に通うことになった。
「ま、普通科だから大して目立つこともないがな」
用意された学生服に身を包んで、学園までの長い上り坂を歩いている。
学園までの送迎の通学バスもあったが、俺の立場を考えると余計に目立つ危険があるとやめた。五年も前に家から身を引いて、知らない人ばかりだと思うが……。
「ここからスタートだ」
校門までに昂っていた気持ちを静めるには、丁度いい時間であった。
警備員に入学証明を見せて中に入ると、チラホラと一年らしき生徒が大きな掲示板の前に集まっている。
やはりエリート校の一つだけあって、面子も凄そうだ。
チラホラと魔力が高そうな奴らが何人もいる。名家の出、流派の一族、個人的な挑戦者もいるようだが、果たして何処までやれるか……。
あ、なんか見覚えのある女子が囲まれてる。なんだったか、ジィちゃんが愛用しているアイドルかグラビアの雑誌か? 男子だけじゃなくて女子も集まってる。
「外人もいるな。何処からか知らないが、意外と海外からも知られているのか」
双子か金髪の女子生徒がチラリと見える。結構な魔力量を宿しているようだから、きっと優等生クラス行きだろう。まぁ、俺には関係ないが。
「名前探す為に、わざわざ前に出る必要もないからな」
あれで自分のクラスが分かるんだろうが、普通科はひとクラスしかないのは聞いている。遠くからでも普通科のクラスが何組か見えるから、さっさと最初の集まる体育館へ移動しようとしたが。
「あ、見つけたぜ! おい、ジンッ──ってあれ?」
ふざけんなよ、イケメン。お前の所為でお前に魅了されてた女子たちの視線が一気に集まって───来そうだったから、見つからないように人混みに紛れたが……。
「本当に入学したんだ。刃、また会ったn……いない」
おいコラ、元幼馴染。お前の所為でお前の魅入ってた男子たちの視線が一気に集まって───来そうだったから、見つからないように人混みに紛れたが……。
俺を見失ったことで、二人の視線が互いの方へと向かった。
ずっと前からいて視線を集めていたようだが、毛嫌いしているからか、無意識に視界に入れてなかったのか。
「あぁ? 何でテメェが此処に居んだよ白坂ッ」
「それはこっちのセリフだな、四条尊ッ」
一瞬で空気が凍り付いて、火花を散らして睨み合う二人。
無茶苦茶嫌い合っていると聞いたが、どうやら本当だったらしい。何故か二人ともこの学校の制服だけど、そんなことよりもここから離れなくては……。
「もう何をしているの、貴方たちは!」
「尊? 入学早々、喧嘩とは何事かしら?」
とそこへ颯爽と駆け付けた二人の先輩女子。
うん、どちらも見覚えがある。ていうかこの学校を調べた時に普通に広告に載ってた。
「な、七海さん……」
「ゲッ! 姉k──ぐぎゃ!」
「ゲッとは何かしら? ゲッとは?」
西蓮寺七海。水神を祀る寺の巫女。
四条咲耶。弟に超厳しいミコのお姉さん。愛闇クロー発動中。
どちらも三年のトップメンバーで、学園のマドンナでもある。
二人の在学しているのは当然知っていたが、三年だということもあって、干渉は少ないと妥協した。
しかも、咲耶姉さんに関してはミコが超苦手としている。万が一この学校のことがバレても絶対に入学はしないと思っていた。
この近くだと高校の魔法学園は、あと三校ある。うち一校はレベルが低いから残りの女子校と名門校の方に二人は行くと思っていただけに、この展開は俺にしては想定外であった。
「うん、さっさと逃げないとヤバいな」
厄介なことに四人とも名家で有名人だから、周囲の視線を余計に集めてしまっている。
さらに桜香とミコの間に、俺みたいな無名が関係しているとバレたら、絶対に厄介な展開になる。あと他の二人にも確実に色々と訊かれて、足止めを喰らうから見つかったら完全にアウトだわ。
早々に逃げようと、気配を消して退がっていると……。
「何コソコソしているんですか? もうすぐ始業式もあるので、早く移動を始めてください」
「……じゃあ、案内ついでに教えてくれるかマドカ。お前がいる理由を?」
「あの二人のことはいいんですか?」
「聞きたくない。どうせロクな話じゃない」
コソコソとは余計だが、何故か教員みたいなスーツ姿のマドカの登場にもう開き直ることにした。
あの四人にバレる前に、始業式が行われる体育館へ移動した。
「教員と魔法の免許を同時に取得した? しかも、魔法は一級位?」
「はい、最短でお祖父様の助力があってこそですが……」
「ジィちゃんも関係しているか」
何それチート? なんて思ったけど、ジィちゃんが便宜を図ってくれたのは資格取得までの途中過程。真面目なマドカの性格を考えると、試験自体は実力で勝ち取ったんだろう。
魔力量なら確かに向こうでも達人級は超えてた。
一番驚いたのは、向こうの魔力であるマドカでもこちらの世界の魔法を取得出来たこと。俺のように二種類宿している訳じゃなく、扱いも違うだろうし、流石はあの人の娘と言ったところか。
「にしても凄いな。魔法資格はともかく、こっちの一般知識が必要な教員資格は大変だったんじゃないか?」
「まだ完璧とは言えませんが、魔法の教員範囲ならなんとかなりました」
あとこの学園の教員志望だったのも理由の一つか。
やはり創設者の一人で、元学園長でもあったジィちゃんの存在が大きいと思うが。
「で、どうして此処に? やっと家政婦を卒業したのか?」
「いえ、空いた時間を無駄にしたくないので、どうせなら貴方の側で見てみたいと思いました」
「あ、暇なのか」
我が家の家政婦さんの万能振りは知っていたけど、暇だったんだ。
俺との関係がバレたら大変そうだが、戦闘外でマドカの行動を縛る権限は俺にはない。
寧ろ良かったのかもしれないとポジティブに考えるべきか。ダンジョンを手に入れる予定だが、途中でバレてしまっても困る。
学園側にマドカが入り込んでくれたら色々と助かるかもしれない。あの二人の件もあるし、今後はマドカから情報を貰うようにしようか。
「ちなみにどう頼んだんだ?」
「最初は困惑された様子でしたが、『おねがい! おじいちゃん!』って笑顔でお願いしたら任せなさいって即決してくれました」
「ジィちゃんは平常運転か……」
なんて話しているうちに体育館の入り口前まで到着する。
まだ時間ではないが、既に入学生の半分以上は集まっているようで、一階、二階の席も結構埋まっていた。
「では私は教員席の方へ移動します。合格した時点で言いましたが、ご入学おめでとうございます。刃」
そう言って一階の入り口の方へ向かった。
一部の在校生や教員、あと事前に選ばれた一部の入学生のみは一階らしく、あとの入学生は上の二階の円状の席に座るらしい。かなり広いから入学生だけなら全員座れると思うが……。
「トラブルがないといいがな……ん?」
呟きながら二階の階段を目指そうとしたが、その時。
「時計が熱い……?」
右手首に付けてある腕時計が熱を発した。
さらに目が廊下のいくつもある部屋のうちの一つ。とあるドアに視線が移る。
「なんだ? この感じは?」
よく分からない違和感。多分着替え室か控え室で、二階に続く部屋ではないと思うが、何故だろう。無性にこのドアの先が気になった俺は……。
「……」
無意識にドアを開けた。
瞬間、視界が暗転した。
「ッ!」
ハッとして魔力を手のひらに覆う。
束ねると刃のように指と形成させる。鋭利で凶悪な顎門の完成したが……。
「『魔無』」
「ッ!?」
一瞬で塵となって消滅した。
理論も無視した完全な力技で。
「このスキルは……!」
動揺を禁じ得ない。
刹那、俺の中の警戒レベルが最大になったのが分かった。
「ん、来たか。久しぶりだなジン」
「なんで……貴方がこの世界に」
部屋のドアに手を掛けた際、付けている時計が白銀のブレスレットに勝手に変わって、もしやと思ったが。
入室した途端、薄黒くなったと思ったら明るくなって、いつの間にか何処かの図書館のような部屋に居た。
部屋を見渡すとテーブル席に座っているローブ姿の魔法使い……。
「珍しく驚いているな。そんなにオレとの再会が衝撃か?」
「いったいどういうことですか、師匠」
───魔法の師匠であるジーク・スカルスが目に入った瞬間、本当に息が止まるかと思った。
「師匠の立場を考えたらそうでしょう? 名乗るが嫌でも神の一角なんですから、他所の世界に度々介入したらマズイですよ」
いつもの白のローブ姿だけど今回は黒髪なのが気になるが、以前散々注意された事を本人を破っている現状に、結構ヤバいのではと焦る俺だが……。
「まぁ、驚くのも無理はないが、今回は特別だ。そのブレスレットはオレの作ったオリジン専用の魔道具。オレがそっちの世界に行ったというより、この空間にお前を飛ばした。言うならお前が元の世界から現在外れた場所に居ると言うことになる」
腕輪を見ながらなんとなく分かったが、限定付きの別次元への転移ってことか?
部屋に入ったことも条件の一つとするなら、俺があの部屋に入りたくなったのも、師匠の貰ったブレスレットが原因か。良い物を貰ったと内心素直に喜んだけど、やっぱり首輪のような物なのか。
「本当なら連絡機能も取り付けたかったが、生憎と他の機能にチカラを注ぎ込み過ぎてな。当分は色んな連絡方法を試すからそのつもりでいてくれ」
「色んな連絡方法って何? 試すって発言の時点で色々怖いんですけど」
「こんな空間移動までした連絡交換は今回だけだと思ってくれて構わない。本来ならするつもりもなかったが、帰還してすぐ厄介なのに巻き込まれたようだからな。まずそこから話をしよう」
まだ俺が連絡方法について異議を申したいのを分かっているが、無視して師匠はテーブルの上をトントンと指で叩いて、対面の席を指す。
「……」
さっさと座れということか、こっちは急いでいるんだけどとも思ったが、どうせ時間も操られているのだと想像して、抵抗は無駄なだけだと潔く座ることにした。
あの帰省後は特に問題も起こらず、トントンと受験も合格を貰えて、四月……今日から『第三龍門学園』に通うことになった。
「ま、普通科だから大して目立つこともないがな」
用意された学生服に身を包んで、学園までの長い上り坂を歩いている。
学園までの送迎の通学バスもあったが、俺の立場を考えると余計に目立つ危険があるとやめた。五年も前に家から身を引いて、知らない人ばかりだと思うが……。
「ここからスタートだ」
校門までに昂っていた気持ちを静めるには、丁度いい時間であった。
警備員に入学証明を見せて中に入ると、チラホラと一年らしき生徒が大きな掲示板の前に集まっている。
やはりエリート校の一つだけあって、面子も凄そうだ。
チラホラと魔力が高そうな奴らが何人もいる。名家の出、流派の一族、個人的な挑戦者もいるようだが、果たして何処までやれるか……。
あ、なんか見覚えのある女子が囲まれてる。なんだったか、ジィちゃんが愛用しているアイドルかグラビアの雑誌か? 男子だけじゃなくて女子も集まってる。
「外人もいるな。何処からか知らないが、意外と海外からも知られているのか」
双子か金髪の女子生徒がチラリと見える。結構な魔力量を宿しているようだから、きっと優等生クラス行きだろう。まぁ、俺には関係ないが。
「名前探す為に、わざわざ前に出る必要もないからな」
あれで自分のクラスが分かるんだろうが、普通科はひとクラスしかないのは聞いている。遠くからでも普通科のクラスが何組か見えるから、さっさと最初の集まる体育館へ移動しようとしたが。
「あ、見つけたぜ! おい、ジンッ──ってあれ?」
ふざけんなよ、イケメン。お前の所為でお前に魅了されてた女子たちの視線が一気に集まって───来そうだったから、見つからないように人混みに紛れたが……。
「本当に入学したんだ。刃、また会ったn……いない」
おいコラ、元幼馴染。お前の所為でお前の魅入ってた男子たちの視線が一気に集まって───来そうだったから、見つからないように人混みに紛れたが……。
俺を見失ったことで、二人の視線が互いの方へと向かった。
ずっと前からいて視線を集めていたようだが、毛嫌いしているからか、無意識に視界に入れてなかったのか。
「あぁ? 何でテメェが此処に居んだよ白坂ッ」
「それはこっちのセリフだな、四条尊ッ」
一瞬で空気が凍り付いて、火花を散らして睨み合う二人。
無茶苦茶嫌い合っていると聞いたが、どうやら本当だったらしい。何故か二人ともこの学校の制服だけど、そんなことよりもここから離れなくては……。
「もう何をしているの、貴方たちは!」
「尊? 入学早々、喧嘩とは何事かしら?」
とそこへ颯爽と駆け付けた二人の先輩女子。
うん、どちらも見覚えがある。ていうかこの学校を調べた時に普通に広告に載ってた。
「な、七海さん……」
「ゲッ! 姉k──ぐぎゃ!」
「ゲッとは何かしら? ゲッとは?」
西蓮寺七海。水神を祀る寺の巫女。
四条咲耶。弟に超厳しいミコのお姉さん。愛闇クロー発動中。
どちらも三年のトップメンバーで、学園のマドンナでもある。
二人の在学しているのは当然知っていたが、三年だということもあって、干渉は少ないと妥協した。
しかも、咲耶姉さんに関してはミコが超苦手としている。万が一この学校のことがバレても絶対に入学はしないと思っていた。
この近くだと高校の魔法学園は、あと三校ある。うち一校はレベルが低いから残りの女子校と名門校の方に二人は行くと思っていただけに、この展開は俺にしては想定外であった。
「うん、さっさと逃げないとヤバいな」
厄介なことに四人とも名家で有名人だから、周囲の視線を余計に集めてしまっている。
さらに桜香とミコの間に、俺みたいな無名が関係しているとバレたら、絶対に厄介な展開になる。あと他の二人にも確実に色々と訊かれて、足止めを喰らうから見つかったら完全にアウトだわ。
早々に逃げようと、気配を消して退がっていると……。
「何コソコソしているんですか? もうすぐ始業式もあるので、早く移動を始めてください」
「……じゃあ、案内ついでに教えてくれるかマドカ。お前がいる理由を?」
「あの二人のことはいいんですか?」
「聞きたくない。どうせロクな話じゃない」
コソコソとは余計だが、何故か教員みたいなスーツ姿のマドカの登場にもう開き直ることにした。
あの四人にバレる前に、始業式が行われる体育館へ移動した。
「教員と魔法の免許を同時に取得した? しかも、魔法は一級位?」
「はい、最短でお祖父様の助力があってこそですが……」
「ジィちゃんも関係しているか」
何それチート? なんて思ったけど、ジィちゃんが便宜を図ってくれたのは資格取得までの途中過程。真面目なマドカの性格を考えると、試験自体は実力で勝ち取ったんだろう。
魔力量なら確かに向こうでも達人級は超えてた。
一番驚いたのは、向こうの魔力であるマドカでもこちらの世界の魔法を取得出来たこと。俺のように二種類宿している訳じゃなく、扱いも違うだろうし、流石はあの人の娘と言ったところか。
「にしても凄いな。魔法資格はともかく、こっちの一般知識が必要な教員資格は大変だったんじゃないか?」
「まだ完璧とは言えませんが、魔法の教員範囲ならなんとかなりました」
あとこの学園の教員志望だったのも理由の一つか。
やはり創設者の一人で、元学園長でもあったジィちゃんの存在が大きいと思うが。
「で、どうして此処に? やっと家政婦を卒業したのか?」
「いえ、空いた時間を無駄にしたくないので、どうせなら貴方の側で見てみたいと思いました」
「あ、暇なのか」
我が家の家政婦さんの万能振りは知っていたけど、暇だったんだ。
俺との関係がバレたら大変そうだが、戦闘外でマドカの行動を縛る権限は俺にはない。
寧ろ良かったのかもしれないとポジティブに考えるべきか。ダンジョンを手に入れる予定だが、途中でバレてしまっても困る。
学園側にマドカが入り込んでくれたら色々と助かるかもしれない。あの二人の件もあるし、今後はマドカから情報を貰うようにしようか。
「ちなみにどう頼んだんだ?」
「最初は困惑された様子でしたが、『おねがい! おじいちゃん!』って笑顔でお願いしたら任せなさいって即決してくれました」
「ジィちゃんは平常運転か……」
なんて話しているうちに体育館の入り口前まで到着する。
まだ時間ではないが、既に入学生の半分以上は集まっているようで、一階、二階の席も結構埋まっていた。
「では私は教員席の方へ移動します。合格した時点で言いましたが、ご入学おめでとうございます。刃」
そう言って一階の入り口の方へ向かった。
一部の在校生や教員、あと事前に選ばれた一部の入学生のみは一階らしく、あとの入学生は上の二階の円状の席に座るらしい。かなり広いから入学生だけなら全員座れると思うが……。
「トラブルがないといいがな……ん?」
呟きながら二階の階段を目指そうとしたが、その時。
「時計が熱い……?」
右手首に付けてある腕時計が熱を発した。
さらに目が廊下のいくつもある部屋のうちの一つ。とあるドアに視線が移る。
「なんだ? この感じは?」
よく分からない違和感。多分着替え室か控え室で、二階に続く部屋ではないと思うが、何故だろう。無性にこのドアの先が気になった俺は……。
「……」
無意識にドアを開けた。
瞬間、視界が暗転した。
「ッ!」
ハッとして魔力を手のひらに覆う。
束ねると刃のように指と形成させる。鋭利で凶悪な顎門の完成したが……。
「『魔無』」
「ッ!?」
一瞬で塵となって消滅した。
理論も無視した完全な力技で。
「このスキルは……!」
動揺を禁じ得ない。
刹那、俺の中の警戒レベルが最大になったのが分かった。
「ん、来たか。久しぶりだなジン」
「なんで……貴方がこの世界に」
部屋のドアに手を掛けた際、付けている時計が白銀のブレスレットに勝手に変わって、もしやと思ったが。
入室した途端、薄黒くなったと思ったら明るくなって、いつの間にか何処かの図書館のような部屋に居た。
部屋を見渡すとテーブル席に座っているローブ姿の魔法使い……。
「珍しく驚いているな。そんなにオレとの再会が衝撃か?」
「いったいどういうことですか、師匠」
───魔法の師匠であるジーク・スカルスが目に入った瞬間、本当に息が止まるかと思った。
「師匠の立場を考えたらそうでしょう? 名乗るが嫌でも神の一角なんですから、他所の世界に度々介入したらマズイですよ」
いつもの白のローブ姿だけど今回は黒髪なのが気になるが、以前散々注意された事を本人を破っている現状に、結構ヤバいのではと焦る俺だが……。
「まぁ、驚くのも無理はないが、今回は特別だ。そのブレスレットはオレの作ったオリジン専用の魔道具。オレがそっちの世界に行ったというより、この空間にお前を飛ばした。言うならお前が元の世界から現在外れた場所に居ると言うことになる」
腕輪を見ながらなんとなく分かったが、限定付きの別次元への転移ってことか?
部屋に入ったことも条件の一つとするなら、俺があの部屋に入りたくなったのも、師匠の貰ったブレスレットが原因か。良い物を貰ったと内心素直に喜んだけど、やっぱり首輪のような物なのか。
「本当なら連絡機能も取り付けたかったが、生憎と他の機能にチカラを注ぎ込み過ぎてな。当分は色んな連絡方法を試すからそのつもりでいてくれ」
「色んな連絡方法って何? 試すって発言の時点で色々怖いんですけど」
「こんな空間移動までした連絡交換は今回だけだと思ってくれて構わない。本来ならするつもりもなかったが、帰還してすぐ厄介なのに巻き込まれたようだからな。まずそこから話をしよう」
まだ俺が連絡方法について異議を申したいのを分かっているが、無視して師匠はテーブルの上をトントンと指で叩いて、対面の席を指す。
「……」
さっさと座れということか、こっちは急いでいるんだけどとも思ったが、どうせ時間も操られているのだと想像して、抵抗は無駄なだけだと潔く座ることにした。
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