2 / 37
第1章 弟子の魔法使いは魔法学校を受験する(普通科だけど)
第1.5話 年越し蕎麦
しおりを挟む
◯作者コメント
オマケ回です。
――――――――
いつものようにテレビを見ている。
恒例の紅白番組を見ながら、炬燵でぬくぬくとしていた大晦日。
刃「ジィちゃんはどっちが勝つと思う? 俺は白チーム」
祖父「わしは赤じゃな。刃には悪いが赤の圧勝じゃ!」
刃「え、そうなのか? 理由ってなに?」
祖父「赤にはアイドルチームが多い! 白は可愛い子が少ないからつまらん!」
刃「……基準がエロジジィだよジィちゃん。いい加減にしないと、バァちゃんに呪い殺されるよ?」
祖父「ただアイドルを愛でてるだけじゃよ。あの世のバァちゃんだってアイドル野郎共のファンじゃったし、お相子じゃよ」
刃「そ、そうなんだ。ちょっと意外だね」
人数多過ぎて、俺はとても覚え切れないけどね。
ガチファンなジィちゃんとどの子が可愛いのかと話を交わしながら、やってくるその時を待っていると……。
マドカ「お待たせしました。熱々の年越し蕎麦になります」
祖父「おおお~待っとたぞー!」
刃「ありがとう。マドカ」
ホームステイ扱いのマドカが調理してくれた蕎麦がテーブルに並ぶ。
いい出汁の匂いがする。途中見ていたが、麺に至るまで彼女の手作りである。
祖父「ホホホホ! 美味いのぉ!」
刃「美味しいな。けど流石にやり過ぎじゃないか?」
まずちゃんと美味しいとお礼を述べる。本人の希望とはいえ、いつも炊事洗濯まで任せてるから、そこはちゃんと言わないといけない。
本当は素直に喜びたいところでもあるが、台所の大きめのテーブルの状態を見てつい言いたくなってしまう。手打ち蕎麦とか……そこまでやるか?
マドカ「愚問ですね。私の辞書に『妥協』という言葉ありません」
刃「……だよね。こっちの基本知識も一ヶ月足らずで覚えるし」
ホント、万能メンドみたいな人だ。
俺に言われて無表情でも嬉しいのか、真っ平らな胸元をポンと叩く。心なしか口元が弧を描いているようにも見えた。
刃「凄い。ラーメンみたいに麺にしっかりとしたコシが……」
マドカ「勿論、蕎麦の素材からしっかり厳選しています。水に至るまで抜かりなしです」
刃「何処から取り寄せたの? この乗ってるお肉」
マドカ「焼き加減も調整済み。出汁にも役立っててます」
刃「ネギ、半熟卵……」
マドカ「ネギは県を跨いで取り寄せ、卵は茹で過ぎないように時間を掛けて味を馴染ませました」
たった数ヶ月でどれだけパイプを増やしてるの?
手際とか技量とかそういうレベルを遥かに超えているよ。手腕? いや、超人? 怪人の間違いか?
刃「やっぱりやり過ぎだと思う」
マドカ「私に『加減』という辞書はありません。お正月の餅も万全です」
どうやら全能の間違いだったらしい。
こちらの世界でも変わらずの彼女に、平常運転だなぁと寧ろ納得してしまった。
祖父「良き嫁を持ったのぉ~刃。ジィちゃんは感動じゃ!」
刃「チ・ガ・ウ」
こっちはこっちで巻き込み事故を起こしてやがる。
最近のジィちゃんのテンションは、どうやら年越しても続くようだった。
オマケ回です。
――――――――
いつものようにテレビを見ている。
恒例の紅白番組を見ながら、炬燵でぬくぬくとしていた大晦日。
刃「ジィちゃんはどっちが勝つと思う? 俺は白チーム」
祖父「わしは赤じゃな。刃には悪いが赤の圧勝じゃ!」
刃「え、そうなのか? 理由ってなに?」
祖父「赤にはアイドルチームが多い! 白は可愛い子が少ないからつまらん!」
刃「……基準がエロジジィだよジィちゃん。いい加減にしないと、バァちゃんに呪い殺されるよ?」
祖父「ただアイドルを愛でてるだけじゃよ。あの世のバァちゃんだってアイドル野郎共のファンじゃったし、お相子じゃよ」
刃「そ、そうなんだ。ちょっと意外だね」
人数多過ぎて、俺はとても覚え切れないけどね。
ガチファンなジィちゃんとどの子が可愛いのかと話を交わしながら、やってくるその時を待っていると……。
マドカ「お待たせしました。熱々の年越し蕎麦になります」
祖父「おおお~待っとたぞー!」
刃「ありがとう。マドカ」
ホームステイ扱いのマドカが調理してくれた蕎麦がテーブルに並ぶ。
いい出汁の匂いがする。途中見ていたが、麺に至るまで彼女の手作りである。
祖父「ホホホホ! 美味いのぉ!」
刃「美味しいな。けど流石にやり過ぎじゃないか?」
まずちゃんと美味しいとお礼を述べる。本人の希望とはいえ、いつも炊事洗濯まで任せてるから、そこはちゃんと言わないといけない。
本当は素直に喜びたいところでもあるが、台所の大きめのテーブルの状態を見てつい言いたくなってしまう。手打ち蕎麦とか……そこまでやるか?
マドカ「愚問ですね。私の辞書に『妥協』という言葉ありません」
刃「……だよね。こっちの基本知識も一ヶ月足らずで覚えるし」
ホント、万能メンドみたいな人だ。
俺に言われて無表情でも嬉しいのか、真っ平らな胸元をポンと叩く。心なしか口元が弧を描いているようにも見えた。
刃「凄い。ラーメンみたいに麺にしっかりとしたコシが……」
マドカ「勿論、蕎麦の素材からしっかり厳選しています。水に至るまで抜かりなしです」
刃「何処から取り寄せたの? この乗ってるお肉」
マドカ「焼き加減も調整済み。出汁にも役立っててます」
刃「ネギ、半熟卵……」
マドカ「ネギは県を跨いで取り寄せ、卵は茹で過ぎないように時間を掛けて味を馴染ませました」
たった数ヶ月でどれだけパイプを増やしてるの?
手際とか技量とかそういうレベルを遥かに超えているよ。手腕? いや、超人? 怪人の間違いか?
刃「やっぱりやり過ぎだと思う」
マドカ「私に『加減』という辞書はありません。お正月の餅も万全です」
どうやら全能の間違いだったらしい。
こちらの世界でも変わらずの彼女に、平常運転だなぁと寧ろ納得してしまった。
祖父「良き嫁を持ったのぉ~刃。ジィちゃんは感動じゃ!」
刃「チ・ガ・ウ」
こっちはこっちで巻き込み事故を起こしてやがる。
最近のジィちゃんのテンションは、どうやら年越しても続くようだった。
11
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
龍騎士イリス☆ユグドラシルの霊樹の下で
ウッド
ファンタジー
霊樹ユグドラシルの根っこにあるウッドエルフの集落に住む少女イリス。
入ったらダメと言われたら入り、登ったらダメと言われたら登る。
ええい!小娘!ダメだっちゅーとろーが!
だからターザンごっこすんなぁーーー!!
こんな破天荒娘の教育係になった私、緑の大精霊シルフェリア。
寿命を迎える前に何とかせにゃならん!
果たして暴走小娘イリスを教育する事が出来るのか?!
そんな私の奮闘記です。
しかし途中からあんまし出てこなくなっちゃう・・・
おい作者よ裏で話し合おうじゃないか・・・
・・・つーかタイトル何とかならんかったんかい!
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
突然シーカーになったので冒険します〜駆け出し探索者の成長物語〜
平山和人
ファンタジー
スマートフォンやSNSが当たり前の現代社会に、ある日突然「ダンジョン」と呼ばれる異空間が出現してから30年が経過していた。
26歳のコンビニアルバイト、新城直人はある朝、目の前に「ステータス画面」が浮かび上がる。直人は、ダンジョンを攻略できる特殊能力者「探索者(シーカー)」に覚醒したのだ。
最寄り駅前に出現している小規模ダンジョンまで、愛用の自転車で向かう大地。初心者向けとは言え、実際の戦闘は命懸け。スマホアプリで探索者仲間とダンジョン情報を共有しながら、慎重に探索を進めていく。
レベルアップを重ね、新しいスキルを習得し、倒したモンスターから得た魔石を換金することで、少しずつではあるが確実に成長していく。やがて大地は、探索者として独り立ちしていくための第一歩を踏み出すのだった。
世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する
平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。
しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。
だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。
そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる