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自動ゴーレム
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「よし、やるぞ」
俺はうきうきしながら手に持った魔石を眺める。
いよいよ新ゴーレム作成だ。
今まで何だかんだ便利だったゴーレム魔術だが、欠点もある。
その一つが“俺が操作しなければ動かない”という点だ。
これは意外と不便で、例えば俺が寝ている間はゴーレムに見張りをさせておくことができない。そうなると頑丈な家があるとはいえ安全面が保証されない。
……というのが、今回作るゴーレムなら解消されるのだ。
その名も“自動ゴーレム”。
術者が命令を刻んだ魔石を核にすることで、それに沿って自律行動するゴーレムである。
魔石に魔力を流し、命令を入力する。
「『命令:魔物が近づいてきたら武器で攻撃しろ/近づいてきたのが人間なら武器を使わず拘束しろ/自分より強い相手が現れた場合は大きな音を立てて俺に知らせろ』、後は……」
ぶつぶつ呟きながら作業を進める。
魔石に命令を入力するためには、①命令の設定②それを魔力回路に変換して魔石に刻む、という手順が必要になる。
この難易度は、体感だが普通のゴーレムを作ることの数十倍だ。
特に②がきつい。
イメージだけで伝わるなら楽だが、それが人形であるゴーレムを動かすような特殊な表現方法に変えなくてはならないのだ。
死ぬほど複雑な独自言語に書き換える、という感覚に近いだろうか?
できるようになるまで何年もかかったんだよな、これ……
今では簡単な命令ならその場でできるが。
「よし、できた」
俺が命令を入力したことで、魔石の中に複雑な模様が現れた。
これでゴーレムの核として使える。
後はこれを四回繰り返す。
二回目以降はすぐにできるな。
魔力回路の組み方さえわかれば後は真似するだけでいいから楽だ。
この核を組み込んでゴーレムを作る。
「【アースチェンジ】」
そのへんの土 → 石。
大量の石に魔石を等間隔に並べる。
「【クリエイト・ゴーレム】!」
『『『――』』』
魔石入りのゴーレム――自動ゴーレムが完成した。
胸のあたりに核となる魔石が露出している。
これが壊されると自動ゴーレムは動きを止めてしまうが、体内に隠してしまうと魔力の補給ができないからな。
自動ゴーレムは魔力が切れても動かなくなってしまうのだ。
というわけで、早速魔力を補充。
『『『――』』』
ザッザッザッザッ!
ゴーレムたちは俺の指示なく拠点周辺に向かっていった。
「よーし、うまくいってるな」
あの自動ゴーレムたちは衛兵のようなものだ。
近づいてくる存在を迎撃、あるいは捕獲する。
彼らがいれぱ拠点の安全度は大きく上がる。
動作確認ができたところで武器を持たせておく。
各自動ゴーレムのそばに行き、石製の斧を持たせる。
これで完璧。
……あ、そうだ。
「安全のことを気にするなら、外壁もあったほうがいいか?」
さっきの一件で、このカイン大森林にはやはり魔物がいることがわかった。
トレントたちは俺の作った石壁を突破できなかったし、あれで拠点の周囲をぐるっと覆えばさらに万全ではないだろうか。
……
いや、でもなあ。
周りの景色が見えなくなるのはちょっと嫌だな。
せっかく自然豊かな場所にいるんだし、ここの眺めはとても気に入っている。
石壁を全方位に張り巡らせてしまったら台無しだ。
「んー……あ、堀にすればいいのか」
深い堀を拠点を囲むように作れば、そうそう魔物も近づいてこられまい。
すぐに作業に移る。
……
…………
「ほい、完成っと」
三十分ほどかけて、深さ三メートルの堀で拠点の周りを囲むことができた。
具体的な手順は以下のようなものだ。
・堀を作りたい位置に沿って【クリエイト・ゴーレム】を使う
↓
・ゴーレムを地面から這い出させて適当な場所に移動させた後、土に戻す
↓
・これを二回繰り返して堀の深さを稼ぐ
ゴーレムの材料は土。
これはつまり、ゴーレムを作った場所からは土がなくなるということだ。
この性質を利用して穴を作り、それを繰り返して堀を作った。
地属性魔術って、土を変化させたり動かしたりはできても、減らせないんだよな。
だからこういう工夫も必要になる。
とはいえ俺は相変わらずほとんど動いてないし、別に大変でもないんだが。
「これで魔物対策もばっちりだ」
自動で近づいてくる魔物を迎撃する衛兵ゴーレム。
さらに深い堀。
これがあれば俺の拠点は安全だろう。
俺はうきうきしながら手に持った魔石を眺める。
いよいよ新ゴーレム作成だ。
今まで何だかんだ便利だったゴーレム魔術だが、欠点もある。
その一つが“俺が操作しなければ動かない”という点だ。
これは意外と不便で、例えば俺が寝ている間はゴーレムに見張りをさせておくことができない。そうなると頑丈な家があるとはいえ安全面が保証されない。
……というのが、今回作るゴーレムなら解消されるのだ。
その名も“自動ゴーレム”。
術者が命令を刻んだ魔石を核にすることで、それに沿って自律行動するゴーレムである。
魔石に魔力を流し、命令を入力する。
「『命令:魔物が近づいてきたら武器で攻撃しろ/近づいてきたのが人間なら武器を使わず拘束しろ/自分より強い相手が現れた場合は大きな音を立てて俺に知らせろ』、後は……」
ぶつぶつ呟きながら作業を進める。
魔石に命令を入力するためには、①命令の設定②それを魔力回路に変換して魔石に刻む、という手順が必要になる。
この難易度は、体感だが普通のゴーレムを作ることの数十倍だ。
特に②がきつい。
イメージだけで伝わるなら楽だが、それが人形であるゴーレムを動かすような特殊な表現方法に変えなくてはならないのだ。
死ぬほど複雑な独自言語に書き換える、という感覚に近いだろうか?
できるようになるまで何年もかかったんだよな、これ……
今では簡単な命令ならその場でできるが。
「よし、できた」
俺が命令を入力したことで、魔石の中に複雑な模様が現れた。
これでゴーレムの核として使える。
後はこれを四回繰り返す。
二回目以降はすぐにできるな。
魔力回路の組み方さえわかれば後は真似するだけでいいから楽だ。
この核を組み込んでゴーレムを作る。
「【アースチェンジ】」
そのへんの土 → 石。
大量の石に魔石を等間隔に並べる。
「【クリエイト・ゴーレム】!」
『『『――』』』
魔石入りのゴーレム――自動ゴーレムが完成した。
胸のあたりに核となる魔石が露出している。
これが壊されると自動ゴーレムは動きを止めてしまうが、体内に隠してしまうと魔力の補給ができないからな。
自動ゴーレムは魔力が切れても動かなくなってしまうのだ。
というわけで、早速魔力を補充。
『『『――』』』
ザッザッザッザッ!
ゴーレムたちは俺の指示なく拠点周辺に向かっていった。
「よーし、うまくいってるな」
あの自動ゴーレムたちは衛兵のようなものだ。
近づいてくる存在を迎撃、あるいは捕獲する。
彼らがいれぱ拠点の安全度は大きく上がる。
動作確認ができたところで武器を持たせておく。
各自動ゴーレムのそばに行き、石製の斧を持たせる。
これで完璧。
……あ、そうだ。
「安全のことを気にするなら、外壁もあったほうがいいか?」
さっきの一件で、このカイン大森林にはやはり魔物がいることがわかった。
トレントたちは俺の作った石壁を突破できなかったし、あれで拠点の周囲をぐるっと覆えばさらに万全ではないだろうか。
……
いや、でもなあ。
周りの景色が見えなくなるのはちょっと嫌だな。
せっかく自然豊かな場所にいるんだし、ここの眺めはとても気に入っている。
石壁を全方位に張り巡らせてしまったら台無しだ。
「んー……あ、堀にすればいいのか」
深い堀を拠点を囲むように作れば、そうそう魔物も近づいてこられまい。
すぐに作業に移る。
……
…………
「ほい、完成っと」
三十分ほどかけて、深さ三メートルの堀で拠点の周りを囲むことができた。
具体的な手順は以下のようなものだ。
・堀を作りたい位置に沿って【クリエイト・ゴーレム】を使う
↓
・ゴーレムを地面から這い出させて適当な場所に移動させた後、土に戻す
↓
・これを二回繰り返して堀の深さを稼ぐ
ゴーレムの材料は土。
これはつまり、ゴーレムを作った場所からは土がなくなるということだ。
この性質を利用して穴を作り、それを繰り返して堀を作った。
地属性魔術って、土を変化させたり動かしたりはできても、減らせないんだよな。
だからこういう工夫も必要になる。
とはいえ俺は相変わらずほとんど動いてないし、別に大変でもないんだが。
「これで魔物対策もばっちりだ」
自動で近づいてくる魔物を迎撃する衛兵ゴーレム。
さらに深い堀。
これがあれば俺の拠点は安全だろう。
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