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山菜取りと魔物の襲撃
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「このままだとまずいな」
カイン大森林に来て数日、俺は危機感を覚えた。
魚は美味い。
水も美味い。
だがそれだけだと栄養が偏る。
かつて師匠にやらされたサバイバル修行では肉と魚ばかり食っていたら、後半めまいで大変なことになった。
「よし、山菜を探そう」
草を食わねば。果物でも可。
俺は森の中に入っていった。
しばらく探索する。
今回はゴーレムが役に立たない。山菜かどうかの識別ができないからな。簡単にはいかないだろうが、何としても山菜を手に入れてやろうじゃないか。
とりあえず一時間くらいうろうろしてみる。
結果だが……
「普通に見つかるのかよ」
コゴミやウドといった山菜をあっさり確保した。
カイン大森林、何でもあり過ぎるな。
とはいえ果物のたぐいは見つからなかった。
鳥の鳴き声が聞こえるし、連中が食べてしまっているのかもれない。逆に鳥がいるから果物もあるんじゃないか、という予想もできるが、まあ発見できないんじゃ考えるだけ無駄だ。
とりあえず山菜の調理に入ろう。
魔術で作った石の鍋に水を張り、たき火にかける。
湯を沸かしている間に下処理だ。
石鍋をもう一つ作り、そっちには水を張る。
石のナイフで切れ込みを入れ、ウドの皮を剝いでいく。
で、水を入れた鍋に放り込む。
次はコゴミの処理だ。といってもこっちは土をはたく程度だが。
ゴボゴボゴボ……
「お、湯が沸いたな」
湯の中にコゴミを投入。岩塩も入れておく。
コゴミやウドは山菜の中でも下処理が簡単な部類だ――と、俺は身をもって知っている。山菜はアクの強いものが多いが、この二種類はアク抜きをせずに食べられるのだ。
ちなみにこれも過去のサバイバル修行で知ったこと。
……ありがとうございます師匠。
あなたが死ぬほどスパルタだったおかげで、俺はこんな森の中でも生きていけます。
ちなみに山菜の名前は修行後に調べて知った。
修行中、俺はこの山菜たちを“何か食える草”としか認識していなかったのだ。
そんなことを考えている間にも処理は終了。
ウドはそのまま取り出し、コゴミは湯から取り出して水でざっと洗って石製の皿の上へ。
「よし、完成!」
山菜のサラダ……サラダ……?
果たして下処理しただけの山菜を料理と呼んでいいのか謎だ。
まあ調味料に乏しいのでどうしようもないんだが。
サラダということにしよう。
これは山菜のサラダだ。
「いただきます」
ばくっ。
……
「……別に美味くはないな、さすがに」
普通に苦い。が、独特な風味があってそれが面白い。
魚ばかり食べていて舌が他の刺激を求めていたのか、そこそこ美味しく感じる。
健康に良い味だ。
絶賛するほどの味じゃないが、これで栄養不足には陥るまい。
しばらくもっさもっさと山菜を食い、ついでに魚の干物もたき火で炙って食べて食事は終了。
腹が膨れた。
昼寝でもしようかな……他にすることもないしな……
「何か急激にダメ人間になってきてる気がする」
俺はそう呟いた。
仕事漬けだった反動が大きすぎるんだろう。いくらでも寝られてしまう。
ベッドとか、別に寝心地がいいわけじゃないんだけどな。
というか、この拠点が快適すぎるのだ。
何せ食料も水も家もあって、何より敵がいない。
「……魔物が出るって話は何だったんだ?」
この森に来てからまったく魔物を見かけない。
なぜだろう。
行商が嘘を吐いていたのか、あるいは噂だけが一人歩きしていたパターンか。
まあどっちでもいい。安全に越したことはない。
……なんて、考えていたせいだろうか。
――ドサッ。
「ん?」
音のした方を見ると、そこに黄色い塊が落ちていた。
『…………ピルルル……』
かすれた声で鳴いているのは……小鳥、に見えるな。
鮮やかな黄色い羽毛が特徴的な鳥だ。
珍しい色だな。こんな鳥見たことないぞ。
というかこの鳥、けがしてないか?
さらに森の方からがさがさと音がしてこちらにやってくるものがいる。
『『『シュウウウ……』』』
木がこっちに歩いてきている。
トレント。
木に擬態する魔物だ。数は五体。
勝手に住み着いた俺を襲いに来たのか?
と思ったが、どうもそうじゃないな。
トレントたちは黄色い小鳥を睨んでいる。
狙いはこの鳥か。
ともあれ、俺にとっては狙いなんてどうでもいい。
重要なのは、俺の目の前に魔物――というか獲物が五体も来てくれたということだ。
カイン大森林に来て数日、俺は危機感を覚えた。
魚は美味い。
水も美味い。
だがそれだけだと栄養が偏る。
かつて師匠にやらされたサバイバル修行では肉と魚ばかり食っていたら、後半めまいで大変なことになった。
「よし、山菜を探そう」
草を食わねば。果物でも可。
俺は森の中に入っていった。
しばらく探索する。
今回はゴーレムが役に立たない。山菜かどうかの識別ができないからな。簡単にはいかないだろうが、何としても山菜を手に入れてやろうじゃないか。
とりあえず一時間くらいうろうろしてみる。
結果だが……
「普通に見つかるのかよ」
コゴミやウドといった山菜をあっさり確保した。
カイン大森林、何でもあり過ぎるな。
とはいえ果物のたぐいは見つからなかった。
鳥の鳴き声が聞こえるし、連中が食べてしまっているのかもれない。逆に鳥がいるから果物もあるんじゃないか、という予想もできるが、まあ発見できないんじゃ考えるだけ無駄だ。
とりあえず山菜の調理に入ろう。
魔術で作った石の鍋に水を張り、たき火にかける。
湯を沸かしている間に下処理だ。
石鍋をもう一つ作り、そっちには水を張る。
石のナイフで切れ込みを入れ、ウドの皮を剝いでいく。
で、水を入れた鍋に放り込む。
次はコゴミの処理だ。といってもこっちは土をはたく程度だが。
ゴボゴボゴボ……
「お、湯が沸いたな」
湯の中にコゴミを投入。岩塩も入れておく。
コゴミやウドは山菜の中でも下処理が簡単な部類だ――と、俺は身をもって知っている。山菜はアクの強いものが多いが、この二種類はアク抜きをせずに食べられるのだ。
ちなみにこれも過去のサバイバル修行で知ったこと。
……ありがとうございます師匠。
あなたが死ぬほどスパルタだったおかげで、俺はこんな森の中でも生きていけます。
ちなみに山菜の名前は修行後に調べて知った。
修行中、俺はこの山菜たちを“何か食える草”としか認識していなかったのだ。
そんなことを考えている間にも処理は終了。
ウドはそのまま取り出し、コゴミは湯から取り出して水でざっと洗って石製の皿の上へ。
「よし、完成!」
山菜のサラダ……サラダ……?
果たして下処理しただけの山菜を料理と呼んでいいのか謎だ。
まあ調味料に乏しいのでどうしようもないんだが。
サラダということにしよう。
これは山菜のサラダだ。
「いただきます」
ばくっ。
……
「……別に美味くはないな、さすがに」
普通に苦い。が、独特な風味があってそれが面白い。
魚ばかり食べていて舌が他の刺激を求めていたのか、そこそこ美味しく感じる。
健康に良い味だ。
絶賛するほどの味じゃないが、これで栄養不足には陥るまい。
しばらくもっさもっさと山菜を食い、ついでに魚の干物もたき火で炙って食べて食事は終了。
腹が膨れた。
昼寝でもしようかな……他にすることもないしな……
「何か急激にダメ人間になってきてる気がする」
俺はそう呟いた。
仕事漬けだった反動が大きすぎるんだろう。いくらでも寝られてしまう。
ベッドとか、別に寝心地がいいわけじゃないんだけどな。
というか、この拠点が快適すぎるのだ。
何せ食料も水も家もあって、何より敵がいない。
「……魔物が出るって話は何だったんだ?」
この森に来てからまったく魔物を見かけない。
なぜだろう。
行商が嘘を吐いていたのか、あるいは噂だけが一人歩きしていたパターンか。
まあどっちでもいい。安全に越したことはない。
……なんて、考えていたせいだろうか。
――ドサッ。
「ん?」
音のした方を見ると、そこに黄色い塊が落ちていた。
『…………ピルルル……』
かすれた声で鳴いているのは……小鳥、に見えるな。
鮮やかな黄色い羽毛が特徴的な鳥だ。
珍しい色だな。こんな鳥見たことないぞ。
というかこの鳥、けがしてないか?
さらに森の方からがさがさと音がしてこちらにやってくるものがいる。
『『『シュウウウ……』』』
木がこっちに歩いてきている。
トレント。
木に擬態する魔物だ。数は五体。
勝手に住み着いた俺を襲いに来たのか?
と思ったが、どうもそうじゃないな。
トレントたちは黄色い小鳥を睨んでいる。
狙いはこの鳥か。
ともあれ、俺にとっては狙いなんてどうでもいい。
重要なのは、俺の目の前に魔物――というか獲物が五体も来てくれたということだ。
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