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優秀な者を失ったのじゃ……
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コリーの石斧が【それ】の顎に当たり、脳みそを揺らす。
ふらついた一瞬を見逃さず、脳天に目掛けて石斧を振り下ろす。
直撃した瞬間――
バゴォッ!!
石斧は砕け散ったが、表皮を裂き、骨を砕いたようで緑色の体液を撒き散らしていく。
『ガアァァァァァァッ!?』
叫びが国中をこだまし、その声量にコリーは思わず耳を塞ぐ。
その瞬間、背中から胸にかけて触手が貫通し、コリーにトドメを刺す。
両手をだらんと下げ、口から、切断された所から大量の血を流す。
目を閉じて身体の力を抜いていく。
(ここまで……か。コロン……俺は役に立てた……だろうか……?ヴォルフ様……申し訳ございません……。ふく様……お子様は無事でしたよ……。レオン……直ぐに行くよ……)
「こりぃ!しっかりするのじゃ!」
突然呼ばれゆっくりと目を開けるとふくの姿が目に入る。
体が痺れ、力が入らず、もう動くことは叶わないだろう。
最後の力を振り絞って口を開く。
「あと……は……たの……み…………ます……。野狐……のヒト……に…………」
「こりぃ……?」
「……」
コリーは最後まで告げることができず、息絶えた。
ふくはポロポロと涙を流し、コリーを抱き抱える。
「ばかもの……死んでどうするのじゃ……!お前にはまだまだやってもらう事沢山あったのじゃ!死ぬことは許さぬ!」
「……ふく。片眼の犬のためにも……獅子頭のためにも、コイツは絶対に倒すぞ……!」
コリーの遺体をゆっくりと寝かせ、髪を撫でる。
魔力を最大まで昂らせ、【それ】を睨みつける。
「わしの大事なものを奪った代償は高く付くのじゃ……!簡単に殺させぬぞ……!」
植物と人間、そして爬虫類のような鱗をもつ【それ】は腕を鞭のように振り回し、ふくに攻撃する。
しかし、その腕はヴォルフの氷によって動きを止められ、ふくは指をパチンと鳴らし、頭を吹き飛ばす。
衝撃波の魔法はレオンとコリーが苦戦した硬い表皮と骨を軽く吹き飛ばし、仰向けに倒れる。
――本当に手を抜いておったとはの……。恐ろしい女狐よ。貴様の下僕を連れてきてやったぞ。
龍王の背中から一つの影が飛び降りてくる。
ふくの目の前に着地したのはガルドで、肩にはライラが載っていた。
「酷い……」
「らいらよ。れおんとこりぃは……死んだのじゃ……。これ以上彼奴を好き勝手にさせる訳にはいかぬ。手を貸すのじゃ……!」
レオンとコリーが死亡した事を知らされ、絶望するが、ふくのメラメラと燃える闘志に気が付き、ライラは詠唱を始める。
「ふく様、魔法を待機させておきます……!やってください!『火の力よ我の魔力を全て使い、悍ましき力を吹き飛ばせっ!』」
「らいら……頼んだのじゃ……!」
吹き飛ばされた頭部がズルンと生えた瞬間、【それ】の身体は衝撃波で吹き飛ばされる。
あまりにも速く肉片が飛び散り、それだけで国民や国に被害が及ぶため、【絶対】の力で速度を停止させた上分子ごと再生不能まで破壊する。
体内から現れたどす黒い石が現れ、脈動する。
「ライラやれ!」
「らいら頼むのじゃ!」
地獄の業火と言わんばかりの火がどす黒い石を包み込む。
その火力で少しずつヒビが入っていき、確実に壊していくが、脈動がだんだんと速くなっていく。
ライラは突然気を失い倒れると、火は鎮火する。
魔力が無くなり、気を失ったようだった。
「らいら!?どうしたのじゃ!?」
「不味いな、ウサギちゃんの魔力がないぞ……!多少の被害は覚悟で【浄化】するしかない!」
「ううむ……ぼるふ、頼むのじゃ……!」
気を失ったライラとふくを背に乗せて跳び上がる。
手を祈るように合わせ、詠唱を始める。
同時にどす黒い石の脈動も更に加速する。
「でぇぇぇぇえ、りゃあぁぁぁぁぁっ!!」
気合の入った声がヴォルフの真上から聞こえ、二人は見上げる。
水が竜の形を形どり、どす黒い石に向かって真っ直ぐ飛んでいく。
「がるどじゃ!あんな高う跳んでおったのか!?」
「間に合わないかもしれない……!あの石も限界だ……!どうする!?」
「うう……。どうすれば……!ん……!?」
ふくはヴォルフの首元が光った事に気が付き、それを手に取る。
二つの小さな石であり、ふくは見覚えがあった。
「小麦、忠太郎……!?お前たちは……わしに力を……!?……やるしかないの……」
ふくは小さな石を手で包み込み額に当てる。
すると、石からわずかな意思が伝わり、石に向かって困ったような笑顔を見せる。
「忠太郎お前の魔法は……【掘削】ではなかったの……。ガルドよ!魔法を受け取るのじゃ!『重力よ、更に強く!』」
強い重力波が生じ、全てを押しつぶすかの如く地面に向けて力を加えていく。
強大な魔力を帯びているヴォルフには全くと言っていいほど効果はなかったのだが、ガルドの落下速度が急上昇する。
どす黒い石がドクンッと大きな鼓動をあげた瞬間、水の竜が石を砕いた。
砕かれた石がどす黒い靄を出す前にガルドの魔法の水を吸収し、靄が出ないまま溶けて無くなっていった。
ふくは【重力】の魔法を解き、ヴォルフはガルドのいるところに向かって氷の足場を作り、跳んでいく。
「ゼェ……ゼェ……!」
「がるど!よくやったのじゃ!成功したのじゃ!」
仰向けに倒れているガルドを無理やり起こして、抱きしめる。
豊満な胸にマズルを埋められ、そのまま気を失ったのはその後に知るのであった。
ふらついた一瞬を見逃さず、脳天に目掛けて石斧を振り下ろす。
直撃した瞬間――
バゴォッ!!
石斧は砕け散ったが、表皮を裂き、骨を砕いたようで緑色の体液を撒き散らしていく。
『ガアァァァァァァッ!?』
叫びが国中をこだまし、その声量にコリーは思わず耳を塞ぐ。
その瞬間、背中から胸にかけて触手が貫通し、コリーにトドメを刺す。
両手をだらんと下げ、口から、切断された所から大量の血を流す。
目を閉じて身体の力を抜いていく。
(ここまで……か。コロン……俺は役に立てた……だろうか……?ヴォルフ様……申し訳ございません……。ふく様……お子様は無事でしたよ……。レオン……直ぐに行くよ……)
「こりぃ!しっかりするのじゃ!」
突然呼ばれゆっくりと目を開けるとふくの姿が目に入る。
体が痺れ、力が入らず、もう動くことは叶わないだろう。
最後の力を振り絞って口を開く。
「あと……は……たの……み…………ます……。野狐……のヒト……に…………」
「こりぃ……?」
「……」
コリーは最後まで告げることができず、息絶えた。
ふくはポロポロと涙を流し、コリーを抱き抱える。
「ばかもの……死んでどうするのじゃ……!お前にはまだまだやってもらう事沢山あったのじゃ!死ぬことは許さぬ!」
「……ふく。片眼の犬のためにも……獅子頭のためにも、コイツは絶対に倒すぞ……!」
コリーの遺体をゆっくりと寝かせ、髪を撫でる。
魔力を最大まで昂らせ、【それ】を睨みつける。
「わしの大事なものを奪った代償は高く付くのじゃ……!簡単に殺させぬぞ……!」
植物と人間、そして爬虫類のような鱗をもつ【それ】は腕を鞭のように振り回し、ふくに攻撃する。
しかし、その腕はヴォルフの氷によって動きを止められ、ふくは指をパチンと鳴らし、頭を吹き飛ばす。
衝撃波の魔法はレオンとコリーが苦戦した硬い表皮と骨を軽く吹き飛ばし、仰向けに倒れる。
――本当に手を抜いておったとはの……。恐ろしい女狐よ。貴様の下僕を連れてきてやったぞ。
龍王の背中から一つの影が飛び降りてくる。
ふくの目の前に着地したのはガルドで、肩にはライラが載っていた。
「酷い……」
「らいらよ。れおんとこりぃは……死んだのじゃ……。これ以上彼奴を好き勝手にさせる訳にはいかぬ。手を貸すのじゃ……!」
レオンとコリーが死亡した事を知らされ、絶望するが、ふくのメラメラと燃える闘志に気が付き、ライラは詠唱を始める。
「ふく様、魔法を待機させておきます……!やってください!『火の力よ我の魔力を全て使い、悍ましき力を吹き飛ばせっ!』」
「らいら……頼んだのじゃ……!」
吹き飛ばされた頭部がズルンと生えた瞬間、【それ】の身体は衝撃波で吹き飛ばされる。
あまりにも速く肉片が飛び散り、それだけで国民や国に被害が及ぶため、【絶対】の力で速度を停止させた上分子ごと再生不能まで破壊する。
体内から現れたどす黒い石が現れ、脈動する。
「ライラやれ!」
「らいら頼むのじゃ!」
地獄の業火と言わんばかりの火がどす黒い石を包み込む。
その火力で少しずつヒビが入っていき、確実に壊していくが、脈動がだんだんと速くなっていく。
ライラは突然気を失い倒れると、火は鎮火する。
魔力が無くなり、気を失ったようだった。
「らいら!?どうしたのじゃ!?」
「不味いな、ウサギちゃんの魔力がないぞ……!多少の被害は覚悟で【浄化】するしかない!」
「ううむ……ぼるふ、頼むのじゃ……!」
気を失ったライラとふくを背に乗せて跳び上がる。
手を祈るように合わせ、詠唱を始める。
同時にどす黒い石の脈動も更に加速する。
「でぇぇぇぇえ、りゃあぁぁぁぁぁっ!!」
気合の入った声がヴォルフの真上から聞こえ、二人は見上げる。
水が竜の形を形どり、どす黒い石に向かって真っ直ぐ飛んでいく。
「がるどじゃ!あんな高う跳んでおったのか!?」
「間に合わないかもしれない……!あの石も限界だ……!どうする!?」
「うう……。どうすれば……!ん……!?」
ふくはヴォルフの首元が光った事に気が付き、それを手に取る。
二つの小さな石であり、ふくは見覚えがあった。
「小麦、忠太郎……!?お前たちは……わしに力を……!?……やるしかないの……」
ふくは小さな石を手で包み込み額に当てる。
すると、石からわずかな意思が伝わり、石に向かって困ったような笑顔を見せる。
「忠太郎お前の魔法は……【掘削】ではなかったの……。ガルドよ!魔法を受け取るのじゃ!『重力よ、更に強く!』」
強い重力波が生じ、全てを押しつぶすかの如く地面に向けて力を加えていく。
強大な魔力を帯びているヴォルフには全くと言っていいほど効果はなかったのだが、ガルドの落下速度が急上昇する。
どす黒い石がドクンッと大きな鼓動をあげた瞬間、水の竜が石を砕いた。
砕かれた石がどす黒い靄を出す前にガルドの魔法の水を吸収し、靄が出ないまま溶けて無くなっていった。
ふくは【重力】の魔法を解き、ヴォルフはガルドのいるところに向かって氷の足場を作り、跳んでいく。
「ゼェ……ゼェ……!」
「がるど!よくやったのじゃ!成功したのじゃ!」
仰向けに倒れているガルドを無理やり起こして、抱きしめる。
豊満な胸にマズルを埋められ、そのまま気を失ったのはその後に知るのであった。
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