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日もすっかり昇りレオンがヴォルフを起こしに向かうと、すでに起きていることに驚いたのだが、一狩りしてきたのか大量の魔獣の死体が置いており、程よく冷やされていた。
「ヴォルフ様……これは……!?」
「今日から軍の入隊志願者が来るだろ?昼飯とか用意していないと、初っ端から辞めるやつ出るだろう?」
「それほど柔なヒトは来ないと思うのですが……。……ウル殿はどちらへいらっしゃいますか?」
「ウル?」
「羊族の女性ですよ。昨日は一緒にいたと思ったのですが……」
ヴォルフはウルを逃がしたことをどう弁解しようか迷った。
子供の件を伝えればレオンは国中を駆け回り彼女の行方を探し出すだろう。
頭を抱えながらヴォルフは口を開く。
「オレが……逃がした」
「逃がした……?彼女は働き者で優秀だと見込んだのですが……」
「ほ、ほら!子供の面倒を見なきゃだろ?それで帰したんだよ」
「うちで面倒見るのでは?……何を隠しているのか知りませんが、彼女がいないのは判りました。では、コリーに担当させましょう。」
内心コリーに負担をかけてしまったことに謝罪しつつ、このままではボロが出すぎてしまうので話題を変えることにした。
「も、もう集まっているのか?」
レオンは嬉しそうな顔をしてヴォルフを見る。
「予想以上ですよ」
レオンが外に出ていき、ヴォルフもそのあとへ続くと志願者たちが大勢集まっていた。
その数に圧倒され、ポカンとしているとレオンがヴォルフに跪く。
「私も含め、貴方の爪となり牙となります。どうか我々に闘いとは何たる矢を教えていただけぬだろうか?闘いの神 氷狼:ヴォルフよ!」
レオンの掛け声とともに志願者たちは一斉に跪く。
よくよく見ると国民の殆ど、本当に戦闘が苦手なものを除いた人のみ集まっており、国民全体でいうと八割ほどが志願していたのだ。
(多すぎて管理できないや。選別して、のこりは民間兵とかにした方がいいかもな……)
そう考えているとコリーが隣に来て助言する。
「実際戦闘に迎える人数は三十人ほどだと見た方がいいと思います。」
「やっぱりそう思う?残りはどうすんの?」
「防衛隊に配属させて守りを固めるのが良いかと思います」
コリーの意見に反論するところは見当たらず、ヴォルフは了承する。
ヴォルフは前に出て指示を与える。
「今から好きなもの同士で三組の隊を作ってくれ。そして、隊同士で争ってもらう」
「力の差が出てしまい、上手く実力が図れないのでは……?」
「大丈夫、【王族変異】したやつはいないし、戦闘経験くらいしか図れるものはない。ただ、【親愛の契約】で変質した奴がいれば積極的に確保したい」
「見分けがつきますか?私の目には皆同じように見えるのですが……」
レオンが分からないという顔をし、コリーも同様な反応をする。
ヴォルフは胸をドンと叩き、アピールする。
「骨のあるやつはオレが回収する。お前たちは、怪我をする前に戦闘不能者を回収するんだ。いいな?」
レオンとコリーは明確な指示を与えられ、頷く。
三人で話しているとすでに三組のチームができており、次の指示を待っていた。
「それじゃあ、ヤバいヤツはケガしないうちに回収するから、安心して戦ってくれ!では訓練開始!」
「「「おおおぉぉぉっ!!!」」」
大きな声と共に三つ巴の乱戦が始まっていくのであった。
魔法が飛び交い、それを避けつつそれぞれ牙や爪を相手に向けて闘い合う。
武器といったものは石斧や、石槍くらいしかないので誰も使わない。
犬系の種族なら牙、猫系なら爪、蹄を持つ者なら蹴り、前腕が強いものなら殴り、それぞれの種族の戦い方をしていく。
獣人同士の戦いならこの方法は通じるのだが、魔獣相手には殆ど有効打にもならない。
「やはり武具は使わないものですね……」
「まぁ一番使い慣れたものを使うのが良いからかもしれない」
レオンはコリーと同意見のようでヴォルフに意見を聴こうと振り返ると彼の姿はなく、辺りを見渡すと上空から【なに】かが落下し、乱戦している集団を吹き飛ばす。
「ウゥウォォォォォゥッ!!」
狼の咆哮がその場にいるすべての生き物の動きを止める。
いきなり大型の獣が出たことで、戦意を喪失していく。
集団に混ざっていない後方で魔法を放っていた者たちは、詠唱を行い魔法を組み上げる。
「『空気の塊を作り、敵を穿て!』」
「『土をほぐし、動きを止めよ!』」
「『飛び交う石つぶてに切り刻む力を与えん!』」
各々の魔法を放ち、狼を襲う。
しかし、あまりにも小さく、体毛に魔力を込めずとも生身で受けきった。
狼は周りに冷気を出すと、怒号が飛ぶ。
「ヴォルフ様っ!何をなされているのですか!!誰も貴方にかなうものはいませんから下がってください!」
レオンから叱責された狼ことヴォルフは耳と尻尾を垂らして退散しようとする。
集団の奥から、とてつもない魔力を感じその方向へ顔を向けると、大きな火球が飛んできた。
難なくかわすと、奥で膝をつくものがいた。
ヴォルフは一瞬で間合いを詰め、その者に接触すると、悔しそうに睨みつけられる。
「君、合格!」
ヴォルフに合格を言い渡されたのは小さな体をしたウサギ獣人の女の子であった。
「ヴォルフ様……これは……!?」
「今日から軍の入隊志願者が来るだろ?昼飯とか用意していないと、初っ端から辞めるやつ出るだろう?」
「それほど柔なヒトは来ないと思うのですが……。……ウル殿はどちらへいらっしゃいますか?」
「ウル?」
「羊族の女性ですよ。昨日は一緒にいたと思ったのですが……」
ヴォルフはウルを逃がしたことをどう弁解しようか迷った。
子供の件を伝えればレオンは国中を駆け回り彼女の行方を探し出すだろう。
頭を抱えながらヴォルフは口を開く。
「オレが……逃がした」
「逃がした……?彼女は働き者で優秀だと見込んだのですが……」
「ほ、ほら!子供の面倒を見なきゃだろ?それで帰したんだよ」
「うちで面倒見るのでは?……何を隠しているのか知りませんが、彼女がいないのは判りました。では、コリーに担当させましょう。」
内心コリーに負担をかけてしまったことに謝罪しつつ、このままではボロが出すぎてしまうので話題を変えることにした。
「も、もう集まっているのか?」
レオンは嬉しそうな顔をしてヴォルフを見る。
「予想以上ですよ」
レオンが外に出ていき、ヴォルフもそのあとへ続くと志願者たちが大勢集まっていた。
その数に圧倒され、ポカンとしているとレオンがヴォルフに跪く。
「私も含め、貴方の爪となり牙となります。どうか我々に闘いとは何たる矢を教えていただけぬだろうか?闘いの神 氷狼:ヴォルフよ!」
レオンの掛け声とともに志願者たちは一斉に跪く。
よくよく見ると国民の殆ど、本当に戦闘が苦手なものを除いた人のみ集まっており、国民全体でいうと八割ほどが志願していたのだ。
(多すぎて管理できないや。選別して、のこりは民間兵とかにした方がいいかもな……)
そう考えているとコリーが隣に来て助言する。
「実際戦闘に迎える人数は三十人ほどだと見た方がいいと思います。」
「やっぱりそう思う?残りはどうすんの?」
「防衛隊に配属させて守りを固めるのが良いかと思います」
コリーの意見に反論するところは見当たらず、ヴォルフは了承する。
ヴォルフは前に出て指示を与える。
「今から好きなもの同士で三組の隊を作ってくれ。そして、隊同士で争ってもらう」
「力の差が出てしまい、上手く実力が図れないのでは……?」
「大丈夫、【王族変異】したやつはいないし、戦闘経験くらいしか図れるものはない。ただ、【親愛の契約】で変質した奴がいれば積極的に確保したい」
「見分けがつきますか?私の目には皆同じように見えるのですが……」
レオンが分からないという顔をし、コリーも同様な反応をする。
ヴォルフは胸をドンと叩き、アピールする。
「骨のあるやつはオレが回収する。お前たちは、怪我をする前に戦闘不能者を回収するんだ。いいな?」
レオンとコリーは明確な指示を与えられ、頷く。
三人で話しているとすでに三組のチームができており、次の指示を待っていた。
「それじゃあ、ヤバいヤツはケガしないうちに回収するから、安心して戦ってくれ!では訓練開始!」
「「「おおおぉぉぉっ!!!」」」
大きな声と共に三つ巴の乱戦が始まっていくのであった。
魔法が飛び交い、それを避けつつそれぞれ牙や爪を相手に向けて闘い合う。
武器といったものは石斧や、石槍くらいしかないので誰も使わない。
犬系の種族なら牙、猫系なら爪、蹄を持つ者なら蹴り、前腕が強いものなら殴り、それぞれの種族の戦い方をしていく。
獣人同士の戦いならこの方法は通じるのだが、魔獣相手には殆ど有効打にもならない。
「やはり武具は使わないものですね……」
「まぁ一番使い慣れたものを使うのが良いからかもしれない」
レオンはコリーと同意見のようでヴォルフに意見を聴こうと振り返ると彼の姿はなく、辺りを見渡すと上空から【なに】かが落下し、乱戦している集団を吹き飛ばす。
「ウゥウォォォォォゥッ!!」
狼の咆哮がその場にいるすべての生き物の動きを止める。
いきなり大型の獣が出たことで、戦意を喪失していく。
集団に混ざっていない後方で魔法を放っていた者たちは、詠唱を行い魔法を組み上げる。
「『空気の塊を作り、敵を穿て!』」
「『土をほぐし、動きを止めよ!』」
「『飛び交う石つぶてに切り刻む力を与えん!』」
各々の魔法を放ち、狼を襲う。
しかし、あまりにも小さく、体毛に魔力を込めずとも生身で受けきった。
狼は周りに冷気を出すと、怒号が飛ぶ。
「ヴォルフ様っ!何をなされているのですか!!誰も貴方にかなうものはいませんから下がってください!」
レオンから叱責された狼ことヴォルフは耳と尻尾を垂らして退散しようとする。
集団の奥から、とてつもない魔力を感じその方向へ顔を向けると、大きな火球が飛んできた。
難なくかわすと、奥で膝をつくものがいた。
ヴォルフは一瞬で間合いを詰め、その者に接触すると、悔しそうに睨みつけられる。
「君、合格!」
ヴォルフに合格を言い渡されたのは小さな体をしたウサギ獣人の女の子であった。
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