13 / 18
突然の開花
しおりを挟む
あれから1日が経つ。朝日が僕の目にはとても痛かった。桜の花びらも風に吹かれチラチラと舞っている中、今日からの学校生活に期待すると同時になんとも言えない感情が枷のごとく僕にまとわりつく。
何で高校生活の最初っからこんな気持ちじゃないといけないんだ。誰がこんな高校生活に期待しただろうか。誰も期待なんてしないだろう。誰か代わってくれませんかね。僕はもう疲れました。
「……はぁ~」
意図しなくてもそんなため息がこぼれ落ちる。一体何回ついたのか自分でも分からない。
「朝から何回ため息つくのよ、何かあったの?」
そんな声が聞こえてくる。でも少なくとも、あなたがそんなこと言える立場じゃないんですよ花凛さん。あなたのせいでこっちは色々あったんですから。でも、そんなことを言ったらどうなるのかは目に見えている。
「いや別に……あ、そうだ。今日の放課後暇だよな?」
「特に予定はなかったわね、何かするの?」
「あのな、店で働くって言って働けるわけじゃないんだぞ」
何を言いだすかと思えばこれまたすっとんきょうな事を言う。まるで昨日のことを忘れているようだった。
「……あぁ~あ、わかってるわよ、放課後でしょ、うん、大丈夫」
実際に忘れていたようだ。本当に気楽な人だ。僕はそのことを考えて全然寝られなかったっていうのに。
「本当に大丈夫だろうね、次はないからな」
そう念を押しておくが、やはり放課後にもう一度彼女のところへ行くのが妥当だろう。本当に面倒な役回りだ。
僕のクラスは12HR。花凛も同じである。なんだかんだで彼女とは事あるごとに同じになるのだ。腐れ縁ってやつなんだろう。正直言ってそろそろ別にしてくれてもいいんじゃないですかって神様に祈りたい。懇願したい。
「なぁ、おい、お前音無花凛の知り合いか?」
そう、前の席の男子が問いかけてきた。
「あぁ、知り合いも何も幼馴染だよ」
「……う、羨ましいな」
それは、彼女のことを何も知らないから言える事ですよ。少なくとも長年一緒にいた後にそんなことは口が裂けても言えないだろう。
でも確かに顔立ちは悪くないし、優しそうな雰囲気は出て……いや、出しているか。うん、やっぱり僕には羨ましくない。というかどうにかしてほしい。
「俺は我流雅人。音無さんの情報待ってるぜ!」
なんだかすんごいのに絡まれたな。てか、最近こんなことがよくある。よくわからないやつによく絡まれる。昨日も……(中略)……だったんだからな。大変なんてもんじゃないさ。
「……あぁ、僕は佐々木望。よろしく」
ガラガラと教室前方の扉が開いた。
「ほらお前ら、席につけ。朝のHRを始める。まず最初に出欠を取るぞ。青木……」
そう、点呼がされた。流石に今日を休むような人はおらず、全員が出席していた。
このあと何事もなく、無事放課後を迎えた。とは言ってもいまだに高校に入ったという実感があまりしない。確かに周りの人や場所、雰囲気なんかは全て違っているんだけどそれでも、今でも中学の生活を重ねているのかもしれない。
中学はこうだった、あれが面白かった、つまらなかった、そんな一種の願望を叶えようとしている。いや、押し付けているのか。こうだったからこうなるのは嫌だ。あれが面白かったからこれは面白い。なんていう、自分の意見の押し付けだ。そんなことをしても何にもならない。そんなことはわかっている。
でも、やっぱり慣れ親しんだ生活が惜しいという感情は少なくともある。ま、慣れればいいんだよな。そればかりは慣れるしかない。
「ほら、行くんじゃないの?」
「あぁ、それじゃ行くか」
そうして2人で廊下を歩いていく。
さっきも言ったように花凛は外見だけなら本当に美少女だ。そんな彼女と歩いていればどうなるか。
言うまでもないだろう。
何で高校生活の最初っからこんな気持ちじゃないといけないんだ。誰がこんな高校生活に期待しただろうか。誰も期待なんてしないだろう。誰か代わってくれませんかね。僕はもう疲れました。
「……はぁ~」
意図しなくてもそんなため息がこぼれ落ちる。一体何回ついたのか自分でも分からない。
「朝から何回ため息つくのよ、何かあったの?」
そんな声が聞こえてくる。でも少なくとも、あなたがそんなこと言える立場じゃないんですよ花凛さん。あなたのせいでこっちは色々あったんですから。でも、そんなことを言ったらどうなるのかは目に見えている。
「いや別に……あ、そうだ。今日の放課後暇だよな?」
「特に予定はなかったわね、何かするの?」
「あのな、店で働くって言って働けるわけじゃないんだぞ」
何を言いだすかと思えばこれまたすっとんきょうな事を言う。まるで昨日のことを忘れているようだった。
「……あぁ~あ、わかってるわよ、放課後でしょ、うん、大丈夫」
実際に忘れていたようだ。本当に気楽な人だ。僕はそのことを考えて全然寝られなかったっていうのに。
「本当に大丈夫だろうね、次はないからな」
そう念を押しておくが、やはり放課後にもう一度彼女のところへ行くのが妥当だろう。本当に面倒な役回りだ。
僕のクラスは12HR。花凛も同じである。なんだかんだで彼女とは事あるごとに同じになるのだ。腐れ縁ってやつなんだろう。正直言ってそろそろ別にしてくれてもいいんじゃないですかって神様に祈りたい。懇願したい。
「なぁ、おい、お前音無花凛の知り合いか?」
そう、前の席の男子が問いかけてきた。
「あぁ、知り合いも何も幼馴染だよ」
「……う、羨ましいな」
それは、彼女のことを何も知らないから言える事ですよ。少なくとも長年一緒にいた後にそんなことは口が裂けても言えないだろう。
でも確かに顔立ちは悪くないし、優しそうな雰囲気は出て……いや、出しているか。うん、やっぱり僕には羨ましくない。というかどうにかしてほしい。
「俺は我流雅人。音無さんの情報待ってるぜ!」
なんだかすんごいのに絡まれたな。てか、最近こんなことがよくある。よくわからないやつによく絡まれる。昨日も……(中略)……だったんだからな。大変なんてもんじゃないさ。
「……あぁ、僕は佐々木望。よろしく」
ガラガラと教室前方の扉が開いた。
「ほらお前ら、席につけ。朝のHRを始める。まず最初に出欠を取るぞ。青木……」
そう、点呼がされた。流石に今日を休むような人はおらず、全員が出席していた。
このあと何事もなく、無事放課後を迎えた。とは言ってもいまだに高校に入ったという実感があまりしない。確かに周りの人や場所、雰囲気なんかは全て違っているんだけどそれでも、今でも中学の生活を重ねているのかもしれない。
中学はこうだった、あれが面白かった、つまらなかった、そんな一種の願望を叶えようとしている。いや、押し付けているのか。こうだったからこうなるのは嫌だ。あれが面白かったからこれは面白い。なんていう、自分の意見の押し付けだ。そんなことをしても何にもならない。そんなことはわかっている。
でも、やっぱり慣れ親しんだ生活が惜しいという感情は少なくともある。ま、慣れればいいんだよな。そればかりは慣れるしかない。
「ほら、行くんじゃないの?」
「あぁ、それじゃ行くか」
そうして2人で廊下を歩いていく。
さっきも言ったように花凛は外見だけなら本当に美少女だ。そんな彼女と歩いていればどうなるか。
言うまでもないだろう。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
『俺たちはイラナイ子たち』
ひな
キャラ文芸
ある住宅街に不破白虎と不破白夢というとても仲がいい兄妹がいた。
その兄妹は家族ととてもいい生活を送っていたがある日を境にその生活は変わってしまった。
そんな兄妹のこれまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる