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会議に参加してみる。
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ちょっといろいろなことがあったけれど無事に時間通りに会議場に到着することができた。にしてもやっぱり空を飛べるっていうのは物凄い便利なことだ。これなら遅刻なんてしないんじゃないかな。
「ふぅ、なんとか間に合ったな」
「えぇ、ってそれよりもです、ユウト様あの魔法であそこまでの力とはどういうことですか」
「どういうことだ?」
確かに俺は魔力を使い忍者もどきもとい諜報員を地に沈めた。とはいっても別に普通に身体強化をちょこっとしただけだ。別に怪しがられることをしたわけじゃない。
そもそも俺にはベルゼブブから教えられた魔法しか使えない。
「時間が時間なので話しながら説明しますね」
「おう、よろしく頼む……」
「まずですね、身体強化は魔法の中でも初級、というか初歩の魔法です。誰にでもできる、そうどんなに弱い一般市民ですら使える使えてしまう、つまりそこまでの力は出せないということです」
ベルゼブブもそう言ってたな。初級の中でも初歩であるが初歩であるから初歩であって大事であるとかなんだか。
「例え私が身体強化しようとも一瞬でというかひと蹴りで移動できるのは5メートルが限界でしょう、しかしユウト様は10メートルは軽く移動しました、あれは本当に身体強化の魔法なのですか」
「何度でもいうが俺が使ったのは身体強化、初級の初歩の魔法だ。それ以上でもそれ以下でもないぞ」
すると、ずっと黙っていたベスがおもむろに口を開いた。
「リーゼ、そもそもユウト様はこっちにきてからそんなに日は経ってない、それにベルゼブブが教えたこと以外はできないよ」
「確かにそうですが、ベスあなたも見ていましたよね」
「見てたよ、つまり……」
その次の言葉を待ち俺は喉を鳴らした。
「ユウト様は魔王なんだよ」
え? なんか学説的な説明があると思ったらそれだけ? なんだろうすごくスッキリしない回答。
魔王なんだよ、それだけで済んでしまうのだろうか。
「なるほど、そうですよね」
えっ? なんかこっちもそれで納得してる。
「はぁ、ほら会議室だ入るぞ」
なんだか納得のいかない解決をしたせいなのか大きな扉は予想よりも重く感じた。そこで初めて中を見たわけなのだが、やっぱり国会議事堂だわこれ。
そこには半円形状に椅子と机が配置されているそれはもう言い逃れができないほどに国会議事堂の姿をしていた。小学校の修学旅行で見たそれだった。
「えっと、席はどこかなぁ~あ、あれだ」
丁寧に名前が記された黒い札を見つけその決められた席へと向かった。そこに座ると周りからはその様子を訝しんだ目線を向けられていた。
なんだこいつら喧嘩売ってんのか。そっちがその気なら買ってやってもいいんだぞ、あぁ?
「あ、あのそこは魔王領の代表が座るところであって人間が座るところではありませんぞ」
といってきたのは今回の会議の責任者だろうか。なんでそんなことを言われる筋合いがあるのか……と思ったのだが、そうか、そうだった。擬態魔法で人間になっていたんだ、すっかり忘れていた。こちとら何も違和感がないもので。
「困惑させて悪かった、俺が魔王だ」
パチン
指を鳴らしてかけていた魔法を解いた。
途端に周りは少しの音も発しなくなった文字通りに静まり返った。
「す、すみませんでした。そ、それでは会議を開催します」
突如現れた魔王に責任者の顔はみるみるうちに青くなり、彼が発する言葉も彼の恐怖を物語っているように震えていた。
「ユウト様、魔力を抑えて、みんな驚いてる」
そう、ベスが小さな声で伝えてきた。
「ん? あぁ、すまない」
彼らが震えていたのはどうやら俺の出す魔力のせいだったようだ。
魔力を抑えると議場は安堵の息がそこらから聞こえた。そうして無事会議が始まった。
「ふぅ、なんとか間に合ったな」
「えぇ、ってそれよりもです、ユウト様あの魔法であそこまでの力とはどういうことですか」
「どういうことだ?」
確かに俺は魔力を使い忍者もどきもとい諜報員を地に沈めた。とはいっても別に普通に身体強化をちょこっとしただけだ。別に怪しがられることをしたわけじゃない。
そもそも俺にはベルゼブブから教えられた魔法しか使えない。
「時間が時間なので話しながら説明しますね」
「おう、よろしく頼む……」
「まずですね、身体強化は魔法の中でも初級、というか初歩の魔法です。誰にでもできる、そうどんなに弱い一般市民ですら使える使えてしまう、つまりそこまでの力は出せないということです」
ベルゼブブもそう言ってたな。初級の中でも初歩であるが初歩であるから初歩であって大事であるとかなんだか。
「例え私が身体強化しようとも一瞬でというかひと蹴りで移動できるのは5メートルが限界でしょう、しかしユウト様は10メートルは軽く移動しました、あれは本当に身体強化の魔法なのですか」
「何度でもいうが俺が使ったのは身体強化、初級の初歩の魔法だ。それ以上でもそれ以下でもないぞ」
すると、ずっと黙っていたベスがおもむろに口を開いた。
「リーゼ、そもそもユウト様はこっちにきてからそんなに日は経ってない、それにベルゼブブが教えたこと以外はできないよ」
「確かにそうですが、ベスあなたも見ていましたよね」
「見てたよ、つまり……」
その次の言葉を待ち俺は喉を鳴らした。
「ユウト様は魔王なんだよ」
え? なんか学説的な説明があると思ったらそれだけ? なんだろうすごくスッキリしない回答。
魔王なんだよ、それだけで済んでしまうのだろうか。
「なるほど、そうですよね」
えっ? なんかこっちもそれで納得してる。
「はぁ、ほら会議室だ入るぞ」
なんだか納得のいかない解決をしたせいなのか大きな扉は予想よりも重く感じた。そこで初めて中を見たわけなのだが、やっぱり国会議事堂だわこれ。
そこには半円形状に椅子と机が配置されているそれはもう言い逃れができないほどに国会議事堂の姿をしていた。小学校の修学旅行で見たそれだった。
「えっと、席はどこかなぁ~あ、あれだ」
丁寧に名前が記された黒い札を見つけその決められた席へと向かった。そこに座ると周りからはその様子を訝しんだ目線を向けられていた。
なんだこいつら喧嘩売ってんのか。そっちがその気なら買ってやってもいいんだぞ、あぁ?
「あ、あのそこは魔王領の代表が座るところであって人間が座るところではありませんぞ」
といってきたのは今回の会議の責任者だろうか。なんでそんなことを言われる筋合いがあるのか……と思ったのだが、そうか、そうだった。擬態魔法で人間になっていたんだ、すっかり忘れていた。こちとら何も違和感がないもので。
「困惑させて悪かった、俺が魔王だ」
パチン
指を鳴らしてかけていた魔法を解いた。
途端に周りは少しの音も発しなくなった文字通りに静まり返った。
「す、すみませんでした。そ、それでは会議を開催します」
突如現れた魔王に責任者の顔はみるみるうちに青くなり、彼が発する言葉も彼の恐怖を物語っているように震えていた。
「ユウト様、魔力を抑えて、みんな驚いてる」
そう、ベスが小さな声で伝えてきた。
「ん? あぁ、すまない」
彼らが震えていたのはどうやら俺の出す魔力のせいだったようだ。
魔力を抑えると議場は安堵の息がそこらから聞こえた。そうして無事会議が始まった。
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