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第8話
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「はぁ、なんとかなった…」
疲れを取るはずのお風呂なのに入る前より遥かに疲れた気がする。でも、お風呂は今後もあるんだよね。早く元の世界に戻らなきゃ…
嫌なことはとりあえず忘れて、今日は色々疲れたしさっさと寝てしまおう。そう思い薄暗い廊下を行きながら、いつまでも道案内される訳にもいかないのでついでに道を覚えていく。体が小さくなってるのもあるんだろうけど、このお城が広く感じすぎて全然覚え切れる気がしない。
途中、すれ違ったメイドさん達に髪を拭くのを手伝われたり、寝る時邪魔だろうからと緩く結ばれたりしながらしばらく歩くと、やっと僕たちに当てがわれてる部屋にたどり着いた。
「あれ、あの子またいるや」
部屋の扉に昨日見たのと同じ赤毛の少年が寄りかかっている。今朝ジョンに言われた子はあの子だろうか?
「え~と、ロバート様ですよね?」
「えっ、な、なんでボクの名前を?」
赤毛の少年、ロバートはまたもや逃げ腰になっている。どうやら相当人付き合いが苦手らしい
「立ち話もなんですから、一緒に部屋に入りませんか?その辺の説明もしますから」
「えっ、い、いいの?」
「ええ、元々住まわせてもらってる立場ですし」
部屋の扉を開きロバートに入室を促すと、元々興味があったからか、意外とすんなり同意を得ることができた。
「おかえり、なんだかんだ女湯を楽しんでたみたいだな…って誰だそっちの坊ちゃんは?」
髪を洗ったりで時間を喰ったからか、部屋に入ると先に帰った仁が相変わらずだらけきっていた。
「ちょっと仁、こちらは今朝お話にあったロバート様、頭が高いよ」
紹介すると仁は素早くベッドから降りて恭しく頭を下げる。
「私めはジンと申します、お会いできて光栄ですロバート様」
「えっと…よろしく、そんなに畏まらなくてもいいよ。後、様も止めて欲しいかな」
あまりの切り替えの速さにかロバート君が若干引いている。
「それじゃあロバートがどうしてアスカと一緒に?」
様を止めたと思ったら突然呼び捨てってどんだけ度胸あるんだこいつ。
「部屋の前にいたから僕たちに何か用事があるのかと思ってね。外で話すのもなんだから部屋に入ってもらったんだ」
説明しながら適当に机の椅子を引っ張ってきてロバートにあてがうと、ロバートはちょこんと椅子に座る。一応自宅だというのにまるで借りてきた猫みたいだ。
「それでロバートさ…君はどうして僕たちの部屋の前にいたの?」
「ぼ、ボクあまりお城の外に出たことなくて…でもお城にボクと同じくらいの歳の子供が来たって聞いたから一度会って友達になってみたくて…」
訥々とロバートが話し始める。偉い貴族様の息子なんだからもっと堂々としていても良さそうな物なのに。
「そんなことなら遠慮せずに言ってくれれば良かったのに、ねぇ仁?」
「そうだそうだもっと早く言ってくれれば断ったってのに」
仁の一言に場が凍る、このバカはどこまで空気が読めないのか。
「バカ仁、どうしてそんなこと言うの!」
「だ、ダメなの?」
「ああ、ダメだ。今は友達にはなれない」
ロバートの縋るような顔を見ても仁はキッパリ断る。こいつ一体何を考えているんだ?
「いいかロバート、友達ってのはな、『なって下さい』『はい、いいですよ』で作るもんじゃねぇんだ。同じ時間を一緒に過ごして、お互いのことを知っていって初めてなるもんなんだよ」
仁がしたり顔で言う。まぁ言ってることは間違いではない気がするけどだからってあんなキッパリ断るのもどうかと思う。
「そう言う訳だ、まずはお互い自己紹介から始めようじゃねぇか。俺はジン、アザレアの村から来た。趣味は魔法道具集めと昼寝、特技は今は無理だがいずれ魔法になる予定だ」
仁が勝手に自己紹介を始める。ここは僕も流れに乗るべきだろう。
「僕はアスカ、記憶は無くしちゃったからまだ紹介できるほどのことはないけどよろしくね」
とりあえず忘れずに記憶喪失のフリだけはしておく。この設定、便利な時もあるけど忘れそうになるのが厄介だな…。
「ぼ、ボクはロバート・ホーエンハイムって言います。ずっとお城の中にいたからお友達はいなくて…趣味はお庭の絵を描くこと、特技は魔法は使えないけど剣技ならちょっと」
ロバートの辿々しい自己紹介が終わる。どうやらロバートは剣技は身につけているらしい。
「よし、自己紹介はできたな。これで俺たちはお互いを知った仲になった訳だ。次は友達だが、これはさっきも言ったが一朝一夕でなるもんじゃねぇ。時間をかけてなるもんなんだ」
「じ、時間をかけてって具体的にはどうすれば…」
「これから毎日俺たちの元に通って俺たちと同じ時間を過ごすんだ。そうすればいつかなれる」
「そうなんだ、友達を作るのって大変なんだね…」
友達を作るのってそんなに大変なことだっけ?もっとこういつの間にかできてる物だと思うんだけど。
「それじゃ今日はもう遅いしお開きにしようぜ。あんまり遅くなると心配されるだろ?」
「うん、じゃあまた明日ねじ、ジン、アスカ」
「うん、おやすみロバート君」
ロバートはどこか満足げな顔をして部屋から出ていく。
「ふぅ、いい仕事したぜ」
「どこがいい仕事なんだよ、最初に断った時は心臓止まるかと思ったよ」
まさか家主様の息子相手にあんだけ大きく出るとは思わなかったから、こっちは気が気じゃなかった。
「だって俺たちが初めての友達になるんだろ?だったら友達の作り方ってやつをちゃんと教えてやるのが友達ってもんだろ」
「だとしても言い方ってものがあるでしょ」
仁なりの思いやりもあったんだろうけど振り回されるこっちの身にもなって欲しい。
「結局丸く収まったからいいだろ?それより、明日も修行が待ってるんだから俺たちも早く寝ようぜ」
そう言うと仁はさっさとベッドに転がってしまう。でも今日の修行でクタクタなのは僕もなので今日も早く寝てしまおう。
アウターを脱ぎベッドに転がると昨日とはまた違った疲れにすぐに負け、眠りに落ちてしまうのだった。
疲れを取るはずのお風呂なのに入る前より遥かに疲れた気がする。でも、お風呂は今後もあるんだよね。早く元の世界に戻らなきゃ…
嫌なことはとりあえず忘れて、今日は色々疲れたしさっさと寝てしまおう。そう思い薄暗い廊下を行きながら、いつまでも道案内される訳にもいかないのでついでに道を覚えていく。体が小さくなってるのもあるんだろうけど、このお城が広く感じすぎて全然覚え切れる気がしない。
途中、すれ違ったメイドさん達に髪を拭くのを手伝われたり、寝る時邪魔だろうからと緩く結ばれたりしながらしばらく歩くと、やっと僕たちに当てがわれてる部屋にたどり着いた。
「あれ、あの子またいるや」
部屋の扉に昨日見たのと同じ赤毛の少年が寄りかかっている。今朝ジョンに言われた子はあの子だろうか?
「え~と、ロバート様ですよね?」
「えっ、な、なんでボクの名前を?」
赤毛の少年、ロバートはまたもや逃げ腰になっている。どうやら相当人付き合いが苦手らしい
「立ち話もなんですから、一緒に部屋に入りませんか?その辺の説明もしますから」
「えっ、い、いいの?」
「ええ、元々住まわせてもらってる立場ですし」
部屋の扉を開きロバートに入室を促すと、元々興味があったからか、意外とすんなり同意を得ることができた。
「おかえり、なんだかんだ女湯を楽しんでたみたいだな…って誰だそっちの坊ちゃんは?」
髪を洗ったりで時間を喰ったからか、部屋に入ると先に帰った仁が相変わらずだらけきっていた。
「ちょっと仁、こちらは今朝お話にあったロバート様、頭が高いよ」
紹介すると仁は素早くベッドから降りて恭しく頭を下げる。
「私めはジンと申します、お会いできて光栄ですロバート様」
「えっと…よろしく、そんなに畏まらなくてもいいよ。後、様も止めて欲しいかな」
あまりの切り替えの速さにかロバート君が若干引いている。
「それじゃあロバートがどうしてアスカと一緒に?」
様を止めたと思ったら突然呼び捨てってどんだけ度胸あるんだこいつ。
「部屋の前にいたから僕たちに何か用事があるのかと思ってね。外で話すのもなんだから部屋に入ってもらったんだ」
説明しながら適当に机の椅子を引っ張ってきてロバートにあてがうと、ロバートはちょこんと椅子に座る。一応自宅だというのにまるで借りてきた猫みたいだ。
「それでロバートさ…君はどうして僕たちの部屋の前にいたの?」
「ぼ、ボクあまりお城の外に出たことなくて…でもお城にボクと同じくらいの歳の子供が来たって聞いたから一度会って友達になってみたくて…」
訥々とロバートが話し始める。偉い貴族様の息子なんだからもっと堂々としていても良さそうな物なのに。
「そんなことなら遠慮せずに言ってくれれば良かったのに、ねぇ仁?」
「そうだそうだもっと早く言ってくれれば断ったってのに」
仁の一言に場が凍る、このバカはどこまで空気が読めないのか。
「バカ仁、どうしてそんなこと言うの!」
「だ、ダメなの?」
「ああ、ダメだ。今は友達にはなれない」
ロバートの縋るような顔を見ても仁はキッパリ断る。こいつ一体何を考えているんだ?
「いいかロバート、友達ってのはな、『なって下さい』『はい、いいですよ』で作るもんじゃねぇんだ。同じ時間を一緒に過ごして、お互いのことを知っていって初めてなるもんなんだよ」
仁がしたり顔で言う。まぁ言ってることは間違いではない気がするけどだからってあんなキッパリ断るのもどうかと思う。
「そう言う訳だ、まずはお互い自己紹介から始めようじゃねぇか。俺はジン、アザレアの村から来た。趣味は魔法道具集めと昼寝、特技は今は無理だがいずれ魔法になる予定だ」
仁が勝手に自己紹介を始める。ここは僕も流れに乗るべきだろう。
「僕はアスカ、記憶は無くしちゃったからまだ紹介できるほどのことはないけどよろしくね」
とりあえず忘れずに記憶喪失のフリだけはしておく。この設定、便利な時もあるけど忘れそうになるのが厄介だな…。
「ぼ、ボクはロバート・ホーエンハイムって言います。ずっとお城の中にいたからお友達はいなくて…趣味はお庭の絵を描くこと、特技は魔法は使えないけど剣技ならちょっと」
ロバートの辿々しい自己紹介が終わる。どうやらロバートは剣技は身につけているらしい。
「よし、自己紹介はできたな。これで俺たちはお互いを知った仲になった訳だ。次は友達だが、これはさっきも言ったが一朝一夕でなるもんじゃねぇ。時間をかけてなるもんなんだ」
「じ、時間をかけてって具体的にはどうすれば…」
「これから毎日俺たちの元に通って俺たちと同じ時間を過ごすんだ。そうすればいつかなれる」
「そうなんだ、友達を作るのって大変なんだね…」
友達を作るのってそんなに大変なことだっけ?もっとこういつの間にかできてる物だと思うんだけど。
「それじゃ今日はもう遅いしお開きにしようぜ。あんまり遅くなると心配されるだろ?」
「うん、じゃあまた明日ねじ、ジン、アスカ」
「うん、おやすみロバート君」
ロバートはどこか満足げな顔をして部屋から出ていく。
「ふぅ、いい仕事したぜ」
「どこがいい仕事なんだよ、最初に断った時は心臓止まるかと思ったよ」
まさか家主様の息子相手にあんだけ大きく出るとは思わなかったから、こっちは気が気じゃなかった。
「だって俺たちが初めての友達になるんだろ?だったら友達の作り方ってやつをちゃんと教えてやるのが友達ってもんだろ」
「だとしても言い方ってものがあるでしょ」
仁なりの思いやりもあったんだろうけど振り回されるこっちの身にもなって欲しい。
「結局丸く収まったからいいだろ?それより、明日も修行が待ってるんだから俺たちも早く寝ようぜ」
そう言うと仁はさっさとベッドに転がってしまう。でも今日の修行でクタクタなのは僕もなので今日も早く寝てしまおう。
アウターを脱ぎベッドに転がると昨日とはまた違った疲れにすぐに負け、眠りに落ちてしまうのだった。
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