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卒業後
1011 星暦558年 藤の月 10日 棚以外にも使えるよね?(8)
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「へぇぇ、やはり貴族の方が魔力量が大きいの?」
朝食を食べ、遺跡がある迷いの森へ散策に向かいながらシェイラに今やっている開発絡みでシャルロの親戚や知り合いを使った実験結果を放したら、シェイラがあまり驚いた風ではなく相槌を打った。
「貴族なら誰でも魔力量が大きい訳じゃあないが、割合的には魔力量が大きい人間が多いな。
魔術師になれるだけの魔力量を持っている人間もいたし」
考えてみたら、神殿で平民相手に魔力量の検査をした時も魔術学院に入るよう『説得』したもんな。
あれって考えてみたら説得できなかった場合は暴発が危ぶまれる魔力量だったら魔力を封じるなりそれなりな安全措置を講じるが、強制はしないんだった。
まあ、無理やりに魔術師になりたくない人間へ魔術を叩き込んで、それで国にとって反意を持つ危険な人間を育て上げるなんてアホな行為だもんな。
稼ぐ手段が限られ、稼げる金額もショボい下町の人間ですら魔術師にならない選択をする人間がいるのだ。
最初から金があり、もしもの時に戦場や山賊退治に行く義務を負うなんて冗談じゃないと思っているような貴族が、魔力があるからって魔術師になる訳が無いか。
貴族にあれだけ魔力量の大きな人間が多いってことは、国が出来上がった頃の昔は国の為に戦う手段の一つとして魔術師としての活躍というのもあったんだとは思うが。
まあ、魔力量が大きいと体力も多く、回復も早い(と言うか魔力が足りないと疲れが取れにくい)様だから軍人としても活躍しやすいのかも?
もしも朝から晩まで働くような真面目な領主がいるとしたら、書類作業だって睡眠を削って無理が出来るだろうし。
「でも、魔術学院に貴族の子供はそれ程多くは無かったのよね?
勿体なくない?」
シェイラがちょっと首を傾げながら言った。
「ある意味、将来の展望があまり明るくない三男以降とか嫡女じゃない娘で貴族令嬢らしい社交や政略結婚を避けたいタイプだけが敢えて魔術師になる様だからな。
貴族階級にとって『魔術師になる』って言うのは微妙に下に見られる選択肢なんじゃないかな?」
ガイフォード家みたいに軍閥家系でバリバリに国の国防への貢献を常時考えているような貴族は別だが、それ以外の貴族出身の連中は魔術学院でも家の事はあまり口にしない感じだった。
シャルロは別だが。
「ちなみにシャルロって三男なんだっけ?」
「シャルロは展望が明るくないとか言う以前に、おっとりし過ぎて普通の貴族として暮らすのは合わなそうだし、なんと言っても蒼流の力が凄すぎるから少しでもそう言う普通と違う力の使い方とか使う人間としての考え方っていうのを学ぶために魔術学院に行ったらどうだ?って親が誘導したらしいな。
暴発が危険な魔力量があるからってシャルロの魔力を封じるなんて言いだしたら国が滅びかねないし」
幾ら魔力が多いとは言え、蒼流が傍にいてシャルロが魔力を暴発させるなんてことはない筈だが、魔術師の中でも魔力量が大きいシャルロがちゃんとそれを使う方法を学ばないというのは国の上層部にとってもあまり有り難くない状況だっただろう。
「あ~。
魔力が多かったら魔術学院に行かない場合はそれを封印することが推奨されるんだっけ?」
シェイラが苦笑しながら聞いてきた。
「そう。
まあ、魔術学院に通わなくても魔力の制御だけでも学べば封印しなくても良いってことは多いらしいし、貴族だったらそこら辺の教育の為に短期的に魔術師を家庭教師として雇うことも全然可能だけどな。
魔力の暴発は感情が振り切れた時に起きやすいんで、おっとりしたシャルロだったら殆ど危険はないと思うがそんなのは外からは分からないから、いちゃもんを付ける馬鹿が出てきた可能性はゼロではないかも?」
シャルロの感情が振り切れる前に蒼流がブチ切れて相手の家なり領地なりを水没させた可能性が高いが。
なんと言っても従姉妹がちょっとした下剤モドキを盛られて気持ちが悪くなった~と泣いただけでシャルロと親しい一族全員に水精霊を付けさせた蒼流だ。
怒ったら何が起きるか分かったもんじゃない。
「ふふふ。
まあ、おっとりなところも蒼流が気に入るポイントなのかも?
で、結局赤ちゃんをあやすオモチャはどうなりそうなの?」
シェイラが続きを促した。
「ごくごく薄いレースみたいな飾り紐だったら大抵のメイドでも動かせるが、もっとしっかりした飾り紐やオルゴール用の銅板とかはちょっと厳しいな。
乳母もタイミングが合えば貴族の女性が成ることもあるんで魔力が多い人間もいるが、普通の平民の事も多いから」
基本的に、乳母なんて丁度いいタイミングで出産していて母乳が提供できるか否かが一番重要なので、信頼性はまだしも魔力量まで雇う条件に入れていたら人を探すのが大変になりすぎる。
「あらま。
じゃあ魔石を使った魔具にするの?」
シェイラがちょっと首を傾げて聞いてきた。
「折角面白い魔術回路だからなぁ。
何とか活用できないか、もう少し考える予定だ」
シェイラの従姉妹の出産までまだ暫くあるし、生まれて直ぐは上でオモチャを動かしてもなんかちゃんと見えないらしいから、時間はまだある。
朝食を食べ、遺跡がある迷いの森へ散策に向かいながらシェイラに今やっている開発絡みでシャルロの親戚や知り合いを使った実験結果を放したら、シェイラがあまり驚いた風ではなく相槌を打った。
「貴族なら誰でも魔力量が大きい訳じゃあないが、割合的には魔力量が大きい人間が多いな。
魔術師になれるだけの魔力量を持っている人間もいたし」
考えてみたら、神殿で平民相手に魔力量の検査をした時も魔術学院に入るよう『説得』したもんな。
あれって考えてみたら説得できなかった場合は暴発が危ぶまれる魔力量だったら魔力を封じるなりそれなりな安全措置を講じるが、強制はしないんだった。
まあ、無理やりに魔術師になりたくない人間へ魔術を叩き込んで、それで国にとって反意を持つ危険な人間を育て上げるなんてアホな行為だもんな。
稼ぐ手段が限られ、稼げる金額もショボい下町の人間ですら魔術師にならない選択をする人間がいるのだ。
最初から金があり、もしもの時に戦場や山賊退治に行く義務を負うなんて冗談じゃないと思っているような貴族が、魔力があるからって魔術師になる訳が無いか。
貴族にあれだけ魔力量の大きな人間が多いってことは、国が出来上がった頃の昔は国の為に戦う手段の一つとして魔術師としての活躍というのもあったんだとは思うが。
まあ、魔力量が大きいと体力も多く、回復も早い(と言うか魔力が足りないと疲れが取れにくい)様だから軍人としても活躍しやすいのかも?
もしも朝から晩まで働くような真面目な領主がいるとしたら、書類作業だって睡眠を削って無理が出来るだろうし。
「でも、魔術学院に貴族の子供はそれ程多くは無かったのよね?
勿体なくない?」
シェイラがちょっと首を傾げながら言った。
「ある意味、将来の展望があまり明るくない三男以降とか嫡女じゃない娘で貴族令嬢らしい社交や政略結婚を避けたいタイプだけが敢えて魔術師になる様だからな。
貴族階級にとって『魔術師になる』って言うのは微妙に下に見られる選択肢なんじゃないかな?」
ガイフォード家みたいに軍閥家系でバリバリに国の国防への貢献を常時考えているような貴族は別だが、それ以外の貴族出身の連中は魔術学院でも家の事はあまり口にしない感じだった。
シャルロは別だが。
「ちなみにシャルロって三男なんだっけ?」
「シャルロは展望が明るくないとか言う以前に、おっとりし過ぎて普通の貴族として暮らすのは合わなそうだし、なんと言っても蒼流の力が凄すぎるから少しでもそう言う普通と違う力の使い方とか使う人間としての考え方っていうのを学ぶために魔術学院に行ったらどうだ?って親が誘導したらしいな。
暴発が危険な魔力量があるからってシャルロの魔力を封じるなんて言いだしたら国が滅びかねないし」
幾ら魔力が多いとは言え、蒼流が傍にいてシャルロが魔力を暴発させるなんてことはない筈だが、魔術師の中でも魔力量が大きいシャルロがちゃんとそれを使う方法を学ばないというのは国の上層部にとってもあまり有り難くない状況だっただろう。
「あ~。
魔力が多かったら魔術学院に行かない場合はそれを封印することが推奨されるんだっけ?」
シェイラが苦笑しながら聞いてきた。
「そう。
まあ、魔術学院に通わなくても魔力の制御だけでも学べば封印しなくても良いってことは多いらしいし、貴族だったらそこら辺の教育の為に短期的に魔術師を家庭教師として雇うことも全然可能だけどな。
魔力の暴発は感情が振り切れた時に起きやすいんで、おっとりしたシャルロだったら殆ど危険はないと思うがそんなのは外からは分からないから、いちゃもんを付ける馬鹿が出てきた可能性はゼロではないかも?」
シャルロの感情が振り切れる前に蒼流がブチ切れて相手の家なり領地なりを水没させた可能性が高いが。
なんと言っても従姉妹がちょっとした下剤モドキを盛られて気持ちが悪くなった~と泣いただけでシャルロと親しい一族全員に水精霊を付けさせた蒼流だ。
怒ったら何が起きるか分かったもんじゃない。
「ふふふ。
まあ、おっとりなところも蒼流が気に入るポイントなのかも?
で、結局赤ちゃんをあやすオモチャはどうなりそうなの?」
シェイラが続きを促した。
「ごくごく薄いレースみたいな飾り紐だったら大抵のメイドでも動かせるが、もっとしっかりした飾り紐やオルゴール用の銅板とかはちょっと厳しいな。
乳母もタイミングが合えば貴族の女性が成ることもあるんで魔力が多い人間もいるが、普通の平民の事も多いから」
基本的に、乳母なんて丁度いいタイミングで出産していて母乳が提供できるか否かが一番重要なので、信頼性はまだしも魔力量まで雇う条件に入れていたら人を探すのが大変になりすぎる。
「あらま。
じゃあ魔石を使った魔具にするの?」
シェイラがちょっと首を傾げて聞いてきた。
「折角面白い魔術回路だからなぁ。
何とか活用できないか、もう少し考える予定だ」
シェイラの従姉妹の出産までまだ暫くあるし、生まれて直ぐは上でオモチャを動かしてもなんかちゃんと見えないらしいから、時間はまだある。
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