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卒業後
1021 星暦558年 赤の月 2日 棚以外にも使えるよね?(18)
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>>>サイド アレク・シェフィート
「以前話していたオムツを洗う用の魔具だけど、何着か服も洗えるようにしてみたのをシェフィート商会の店舗の幾つかに置いて、独身の従業員がさっと服を洗うのに使えないか、試してみて良いかな?
使い勝手が良さそうだったら独身者が多い地域に貸し出し専門店みたいのを開いても良いかと話しているんだけど」
丁度実家に帰ってきたら母を見かけたので、声を掛けた。
商会の事業に関わるとなれば当然最終的には父とホルザックにも了解を得なければならないが、洗濯となると母に一応相談しておく方が無難だろう。
従業員の服装に関して一番苦言を呈するのは母だし。
男性と女性では服装や清潔感に関する許容範囲が大分と違う事が多いから、例え形式上は父かホルザックから了承を得ていれば大丈夫な業務関係の内容でも、女性が拘る事柄だったら母に相談しておかないと後が面倒になるのだ。
「オムツ用??
そういえば、そんな話をしていたわね。
出来上がったのを持ってきてくれれば良かったのに」
母が足を止めて首を少し傾げながら言った。
「・・・現時点でこちらにオムツを使っている家族はいないでしょう?
だからそちらの機能に関しては工房周辺の赤子がいる家庭でオムツ洗いを試して貰って意見を聞いていけば良いかと思っていたからね。
ただ、オムツ専用とすると購入層が限られそうだから服を洗う様に少し大きくしたんだ。
それを見たシェイラが宿屋とかに置いて客が自分で手軽に服を洗えるようにしたらどうかとウィルに提案したんだけど、そんな感じな継続的な利用的な使い方をしても問題が無いか、確認したくてね」
実際に売り込むのはシェフィート商会に任せるし、独身者が多い地域に洗濯用魔具貸し出しサービスの店を開くにしてもそこの運営も人に任せる。
シェフィート商会に丸投げするか、空滑機《グライダー》貸し出しサービスのように私たちで出資して運営を誰かに任せる形にするかはまだ決めていないが。
どちらにせよ、先ずは多数の使用者に使わせた時に何か問題が出るかの確認が重要だ。
「ふうん?
悪くないわね。
だけど、家から持ってきた服を洗うのに使っても良いって言うのだったら、絹とか色物とかを洗っても大丈夫なのか、確認してあるの?
駄目なんだったらちゃんと目につくところに注意書きしておかないとこちらが賠償する羽目になるわよ」
母が指摘した。
おっと。
「絹って普通の洗濯用の石鹸で洗っても良いんでしたっけ?」
デリケートだという話は聞いているが。
というか、デリケートなんだったら固まったウンチを落とすような洗い方の魔具に放り込んだら不味いか??
「石鹸も絹用のを使わないと光沢が失われるし、洗う時だってごしごし擦ったりしたらダメなのよ?
魔具がどうやって汚れを落とすのか知らないけど、大丈夫なの?」
母が聞いてきた。
「・・・廃棄予定な古い絹の服を買い取れるかな?
駄目だったら古着屋で買って来るけど」
絹の服を泥(やウンチ)だらけにするとは思えないから、最初のブラッシングをする部分を飛ばすと良いかも知れない。
ただまあ、埃を除去する効果もあるので絹が痛まないのだったら一通りやった方が更に綺麗になるだろうが、そこはちょっと確認が必要だろう。
「流行から外れちゃって着られなくなったから仕立て直そうと思っていたのが何枚かあるから、出しておくわ。
色物は?」
「パーティードレスみたいのは最初から洗うなと書いておくつもりだから、それ以外で色が濃い服があったらそれもお願い」
とは言え、色物の服の場合は新しいのを洗った際の被害を確認した方が良いから、適当な店で何着か出来合いのシャツを買って試した方が良いだろう。
普段着や仕事用の服程度を洗うのに使ってもらう想定だったから絹や色物は予想外だが・・・確かにお洒落着をデートの前に洗おうと考える人間がいても不思議は無い。
そう考えると、それが駄目になったら怒り狂うだろうから要確認だな。
「分かったわ。
でも、仕事用の服を洗える魔具を置いておくというのは良いかも知れないわね。
取り敢えず、仕事着を洗う為ってことで試作品を置いて行って良いわよ?」
母がにんまり笑いながら言った。
・・・そんなに母が不満になる程汚れた服を着ている従業員がいたかな?
「以前話していたオムツを洗う用の魔具だけど、何着か服も洗えるようにしてみたのをシェフィート商会の店舗の幾つかに置いて、独身の従業員がさっと服を洗うのに使えないか、試してみて良いかな?
使い勝手が良さそうだったら独身者が多い地域に貸し出し専門店みたいのを開いても良いかと話しているんだけど」
丁度実家に帰ってきたら母を見かけたので、声を掛けた。
商会の事業に関わるとなれば当然最終的には父とホルザックにも了解を得なければならないが、洗濯となると母に一応相談しておく方が無難だろう。
従業員の服装に関して一番苦言を呈するのは母だし。
男性と女性では服装や清潔感に関する許容範囲が大分と違う事が多いから、例え形式上は父かホルザックから了承を得ていれば大丈夫な業務関係の内容でも、女性が拘る事柄だったら母に相談しておかないと後が面倒になるのだ。
「オムツ用??
そういえば、そんな話をしていたわね。
出来上がったのを持ってきてくれれば良かったのに」
母が足を止めて首を少し傾げながら言った。
「・・・現時点でこちらにオムツを使っている家族はいないでしょう?
だからそちらの機能に関しては工房周辺の赤子がいる家庭でオムツ洗いを試して貰って意見を聞いていけば良いかと思っていたからね。
ただ、オムツ専用とすると購入層が限られそうだから服を洗う様に少し大きくしたんだ。
それを見たシェイラが宿屋とかに置いて客が自分で手軽に服を洗えるようにしたらどうかとウィルに提案したんだけど、そんな感じな継続的な利用的な使い方をしても問題が無いか、確認したくてね」
実際に売り込むのはシェフィート商会に任せるし、独身者が多い地域に洗濯用魔具貸し出しサービスの店を開くにしてもそこの運営も人に任せる。
シェフィート商会に丸投げするか、空滑機《グライダー》貸し出しサービスのように私たちで出資して運営を誰かに任せる形にするかはまだ決めていないが。
どちらにせよ、先ずは多数の使用者に使わせた時に何か問題が出るかの確認が重要だ。
「ふうん?
悪くないわね。
だけど、家から持ってきた服を洗うのに使っても良いって言うのだったら、絹とか色物とかを洗っても大丈夫なのか、確認してあるの?
駄目なんだったらちゃんと目につくところに注意書きしておかないとこちらが賠償する羽目になるわよ」
母が指摘した。
おっと。
「絹って普通の洗濯用の石鹸で洗っても良いんでしたっけ?」
デリケートだという話は聞いているが。
というか、デリケートなんだったら固まったウンチを落とすような洗い方の魔具に放り込んだら不味いか??
「石鹸も絹用のを使わないと光沢が失われるし、洗う時だってごしごし擦ったりしたらダメなのよ?
魔具がどうやって汚れを落とすのか知らないけど、大丈夫なの?」
母が聞いてきた。
「・・・廃棄予定な古い絹の服を買い取れるかな?
駄目だったら古着屋で買って来るけど」
絹の服を泥(やウンチ)だらけにするとは思えないから、最初のブラッシングをする部分を飛ばすと良いかも知れない。
ただまあ、埃を除去する効果もあるので絹が痛まないのだったら一通りやった方が更に綺麗になるだろうが、そこはちょっと確認が必要だろう。
「流行から外れちゃって着られなくなったから仕立て直そうと思っていたのが何枚かあるから、出しておくわ。
色物は?」
「パーティードレスみたいのは最初から洗うなと書いておくつもりだから、それ以外で色が濃い服があったらそれもお願い」
とは言え、色物の服の場合は新しいのを洗った際の被害を確認した方が良いから、適当な店で何着か出来合いのシャツを買って試した方が良いだろう。
普段着や仕事用の服程度を洗うのに使ってもらう想定だったから絹や色物は予想外だが・・・確かにお洒落着をデートの前に洗おうと考える人間がいても不思議は無い。
そう考えると、それが駄目になったら怒り狂うだろうから要確認だな。
「分かったわ。
でも、仕事用の服を洗える魔具を置いておくというのは良いかも知れないわね。
取り敢えず、仕事着を洗う為ってことで試作品を置いて行って良いわよ?」
母がにんまり笑いながら言った。
・・・そんなに母が不満になる程汚れた服を着ている従業員がいたかな?
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