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卒業後
1016 星暦558年 藤の月 17日 棚以外にも使えるよね?(13)
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「これってお湯の中に洗濯用石鹼を適当に放り込んで溶かすのは良いけどさ、お湯をどうやって動かす?
単にオムツを石鹸水に浸けただけじゃあ汚れは落ちない・・・よな?」
やっと下準備のオムツからへばり付いたウンチを落とす過程が終わったので、朝食後から肝心の洗う部分を作ろうとして、手が止まった。
「ぐるぐると棒を上で回すとか?」
シャルロがちょっと首を傾けながら提案した。
まあ、赤ちゃん用じゃらしで使おうとした回る機構を使えば棒が回るようにするのは難しくないだろう。
とは言え。
ぐるぐる回るだけで綺麗になるのか?
「ちょっと幅のある板・・・だと水の抵抗が大きすぎるから、中に網でも貼ってある枠でも回してみたらどうだろう?
一周回ったら反転する感じに回せば、石鹸水がオムツに良い感じにぶつかって汚れを落とすかも知れない」
アレクが言った。
「確かに、石鹸を溶かしたぬるま湯に洗濯物を入れてばちゃばちゃやって汚れが落ちるのって要は生地同士とか生地とお湯がこすれて汚れが落ちるからなんだろうから、そんな感じが良いかもな。
あまりオムツが下の方に固まらない様に、ちょっと枠にオムツが引っかかりやすい突起を幾つか付けて、出来るだけ下の底辺部分ぎりぎりまで届く形にすると良いかも?」
ある意味、ぐるぐる回る枠が下から生えている形にする方が良い気もするが、そうすると可動部から水が漏れちゃうだろうし、水中で動く魔具というのはかなり高くなるだろう。
・・・というか、多少濡れても大丈夫な魔具はあるが、水に浸けたまま動く魔具ってあったか??
魔術回路を水に浸けたまま動かす魔具なんてあまり見た記憶がない。
水を抜くとか作るとか清める魔具は色々とあるが、それは水の漏れない容器の中に水を入れて外から魔術を掛ける感じなのだ。
物理的に水に浸けたまま動かすなんていう魔具は殆ど記憶に無いし、漏れてくる水に浸からない様に別の場所に魔術回路を設置して回転用の枠を動かすにしても・・・水漏れ問題は残る。
やはり上側から混ぜるしかないよな。
「まあ、それで綺麗になるかどうかは知らないけど、取り敢えず実験してみようか?
普通の洗濯って手で洗濯物をこすり合わせたり、洗濯板で擦ったり、足で踏んで揉んだりするから、ちょっとやり方が違うんだよね~」
シャルロが立ち上がりながら言った。
確かに、揉むという作業が無くて洗濯物が綺麗になるか、興味があるところだな。
しっかし。
貴族のお坊ちゃまなのに良く知ってるな、シャルロ。
◆◆◆◆
「意外と水の抵抗って強いんだね」
夕方近くになり、やっと真面《まとも》に動く試作品が形になった。
疲れ果てた俺たちは座って焼き菓子を食べながらソファにだらりと身を預けていた。
最初の試作品は、動かしたらあっさり枠の部分が捥げた。
次のはしっかり枠を固定たら、今度は枠を取り付けていた蓋の部分が割れた。
それも強くして動かしたら、滅茶苦茶魔力を消費した上にがたがたと魔具の本体が揺れて作業机の上から落ちそうになったので、回転をもっとずっとゆっくりにした。
昼過ぎに一応動く試作品になったので水をぬるま湯にする為に熱する魔術回路を足したら、ちょっとお湯が熱くなりすぎて危うく火傷しそうになった。
熱ければ熱い程綺麗になるのかと思ったが、火傷しちゃあヤバいし熱するのに魔力を消費するし、なんか試しに使った布がぼろくなった気もしないでもないので、人肌程度のぬるま湯ぐらいに温める程度に修正。
そこに石鹸を放りこんで洗わせようとしたら、いつまでも石鹸が溶けなかった。
いや、ある程度は溶けてぬるま湯が泡立つんだが、底にオムツと一緒に石鹸がゴロゴロと転がっていたのだ。
これはちょっと不味いだろう。
濯ぐ時に下に石鹸があったらいつまで経っても石鹸が落ちないし、排水と一緒に捨てたら勿体ない。
一応洗濯用の安い液体の石鹸もあると聞いたので、それも使ってみたが・・・微妙に生臭い。
赤ちゃんがどの程度匂いに敏感かは知らないが、オムツの洗濯に魔具を使う程度の金持ちだったら赤ちゃんが微妙に臭いのは嫌がるだろう。
ということで、石鹸を適当に刻む道具も別途造り上げた。
こちらは単に梃子の力で石鹸を小さく切り刻むだけなので、魔具ではない。
普通の洗濯だと足で踏むような洗い方だったら液体石鹸、手で揉む様な洗い方だと固体の石鹸を汚れたところに擦り付けて洗うのだと後からパディン夫人に教わった。
取り敢えず、これで汚れは落ちるようになった。
「これってさぁ、泥じゃなくてウンチでも実際に落ちるか試すべきだよねぇ・・・」
ちょっと嫌そうにシャルロが言った。
可愛い姪っ子のオムツならまだしも、赤の他人の赤ちゃんのウンチ付きオムツを触るのはシャルロもちょっと嫌っぽい。
「村に何人か赤ちゃんがいるだろ?
適当に近所のガキンチョを雇って使用後のオムツを回収できないか、パディン夫人に相談してみないか?」
村の女性陣との伝手だったらパディン夫人に頼るべきだろう。
単にオムツを石鹸水に浸けただけじゃあ汚れは落ちない・・・よな?」
やっと下準備のオムツからへばり付いたウンチを落とす過程が終わったので、朝食後から肝心の洗う部分を作ろうとして、手が止まった。
「ぐるぐると棒を上で回すとか?」
シャルロがちょっと首を傾けながら提案した。
まあ、赤ちゃん用じゃらしで使おうとした回る機構を使えば棒が回るようにするのは難しくないだろう。
とは言え。
ぐるぐる回るだけで綺麗になるのか?
「ちょっと幅のある板・・・だと水の抵抗が大きすぎるから、中に網でも貼ってある枠でも回してみたらどうだろう?
一周回ったら反転する感じに回せば、石鹸水がオムツに良い感じにぶつかって汚れを落とすかも知れない」
アレクが言った。
「確かに、石鹸を溶かしたぬるま湯に洗濯物を入れてばちゃばちゃやって汚れが落ちるのって要は生地同士とか生地とお湯がこすれて汚れが落ちるからなんだろうから、そんな感じが良いかもな。
あまりオムツが下の方に固まらない様に、ちょっと枠にオムツが引っかかりやすい突起を幾つか付けて、出来るだけ下の底辺部分ぎりぎりまで届く形にすると良いかも?」
ある意味、ぐるぐる回る枠が下から生えている形にする方が良い気もするが、そうすると可動部から水が漏れちゃうだろうし、水中で動く魔具というのはかなり高くなるだろう。
・・・というか、多少濡れても大丈夫な魔具はあるが、水に浸けたまま動く魔具ってあったか??
魔術回路を水に浸けたまま動かす魔具なんてあまり見た記憶がない。
水を抜くとか作るとか清める魔具は色々とあるが、それは水の漏れない容器の中に水を入れて外から魔術を掛ける感じなのだ。
物理的に水に浸けたまま動かすなんていう魔具は殆ど記憶に無いし、漏れてくる水に浸からない様に別の場所に魔術回路を設置して回転用の枠を動かすにしても・・・水漏れ問題は残る。
やはり上側から混ぜるしかないよな。
「まあ、それで綺麗になるかどうかは知らないけど、取り敢えず実験してみようか?
普通の洗濯って手で洗濯物をこすり合わせたり、洗濯板で擦ったり、足で踏んで揉んだりするから、ちょっとやり方が違うんだよね~」
シャルロが立ち上がりながら言った。
確かに、揉むという作業が無くて洗濯物が綺麗になるか、興味があるところだな。
しっかし。
貴族のお坊ちゃまなのに良く知ってるな、シャルロ。
◆◆◆◆
「意外と水の抵抗って強いんだね」
夕方近くになり、やっと真面《まとも》に動く試作品が形になった。
疲れ果てた俺たちは座って焼き菓子を食べながらソファにだらりと身を預けていた。
最初の試作品は、動かしたらあっさり枠の部分が捥げた。
次のはしっかり枠を固定たら、今度は枠を取り付けていた蓋の部分が割れた。
それも強くして動かしたら、滅茶苦茶魔力を消費した上にがたがたと魔具の本体が揺れて作業机の上から落ちそうになったので、回転をもっとずっとゆっくりにした。
昼過ぎに一応動く試作品になったので水をぬるま湯にする為に熱する魔術回路を足したら、ちょっとお湯が熱くなりすぎて危うく火傷しそうになった。
熱ければ熱い程綺麗になるのかと思ったが、火傷しちゃあヤバいし熱するのに魔力を消費するし、なんか試しに使った布がぼろくなった気もしないでもないので、人肌程度のぬるま湯ぐらいに温める程度に修正。
そこに石鹸を放りこんで洗わせようとしたら、いつまでも石鹸が溶けなかった。
いや、ある程度は溶けてぬるま湯が泡立つんだが、底にオムツと一緒に石鹸がゴロゴロと転がっていたのだ。
これはちょっと不味いだろう。
濯ぐ時に下に石鹸があったらいつまで経っても石鹸が落ちないし、排水と一緒に捨てたら勿体ない。
一応洗濯用の安い液体の石鹸もあると聞いたので、それも使ってみたが・・・微妙に生臭い。
赤ちゃんがどの程度匂いに敏感かは知らないが、オムツの洗濯に魔具を使う程度の金持ちだったら赤ちゃんが微妙に臭いのは嫌がるだろう。
ということで、石鹸を適当に刻む道具も別途造り上げた。
こちらは単に梃子の力で石鹸を小さく切り刻むだけなので、魔具ではない。
普通の洗濯だと足で踏むような洗い方だったら液体石鹸、手で揉む様な洗い方だと固体の石鹸を汚れたところに擦り付けて洗うのだと後からパディン夫人に教わった。
取り敢えず、これで汚れは落ちるようになった。
「これってさぁ、泥じゃなくてウンチでも実際に落ちるか試すべきだよねぇ・・・」
ちょっと嫌そうにシャルロが言った。
可愛い姪っ子のオムツならまだしも、赤の他人の赤ちゃんのウンチ付きオムツを触るのはシャルロもちょっと嫌っぽい。
「村に何人か赤ちゃんがいるだろ?
適当に近所のガキンチョを雇って使用後のオムツを回収できないか、パディン夫人に相談してみないか?」
村の女性陣との伝手だったらパディン夫人に頼るべきだろう。
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