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卒業後
998 星暦557年 桃の月 18日 家族(?)サービス期間(22)
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「よう、お久しぶり」
シェイラが何やらぼろい食器らしき物を調べているのをぼ~と見ていたら、後ろから声を掛けられた。
「おう、バルダンか。
随分と育ったな」
俺たちが東大陸を見つけた最初の航海で情報収集用に雇った小僧は、3年の間にすっかり育って今では殆ど俺と同じぐらいの背丈になっていた。
3年って長いもんだなぁ。
まあ、ある意味街の盗賊《シーフ》だったガキが名目上は一人前の魔術師になれるだけの年月なのだ。
育っていても不思議は無いか。
俺だって魔術学院にいる間にそれなりに身長が伸びたし。
やっぱ、自分の皿の上の食事を奪われる心配がなくしっかり咬んで食べられる上に、日によってはお代わりまで出来る生活は大分と成長に違いが出る。
バルダンがそこまで健康的な生活になれたのかは知らんが。
「あんたの国の領事館はほぼどんな情報でも買ってくれるからな。
店の新しい支店長の家族関係や不倫の情報から、各店の品ぞろえや品物の値段にまで金を出してくれるんだぜ?
お蔭で弟分にまでしっかり食べれるようになったぜ!」
バルダンがにかっと笑いながら言った。
家族関係は親しくするため、不倫関係は圧力をかける用、店の品ぞろえなんかは市場価格の調査用ってところかな?
あの人数の領事館でそこまで手広く情報を集めてちゃんと整理して利用できるのかは知らないが、少人数で上手く街との関係を管理しようと思うと情報をがっちり集めておくのが近道なのかね?
本職の街の情報屋よりも浮浪児上がりのガキを雇う方が安上がりだから、手当たり次第な情報を集めるのには良いんだろうな。
何にせよ、俺が知っているガキが上手く食っていけているというのは良かった。
「あまり危険すぎる情報は探らずに、適当に日常的な情報をガンガン売りつけるんだな。
どうせ領事館もそこまでジルダスの街の運営に深入りする気はないだろうから、商業的に役に立つ一般情報の方が簡単に売れると思うぞ」
薄利多売方式だな。
「おう、みみっちい小遣い稼ぎだと思って上の奴らもお目こぼしをしてくれるし、俺もそのつもりだぜ!
で、今日は何の用なんだい?」
この出会いは偶然ではなく、領事館の門番に連絡が取れるならとバルダンへの伝言を頼んでいたのだが、ちゃんと届いていたらしい。
「久しぶりに来たんでね。
美味しい昼食を食べられる食事処を教えてくれ。
あと、午後に甘い物でも食べたいからお勧めな甘味処も教えて欲しい」
流石に昼食に王都まで戻るのは厳しい。それに折角の休暇なのだから異国情緒ありな食事でも一緒に楽しみたい。
「どんな食事を食べたいんだい?」
バルダンが聞いてきた。
「シェイラ、もうそろそろ昼食に行かないか?
こいつが何か食べたい食事の希望があったらお勧めな店を教えてくれるっていってるぜ?」
シェイラに声を掛ける。
色々とじっと見ているものの殆ど買わないから邪魔をするタイミングが微妙に不明なのだが、まあ邪魔されるのには慣れているだろうから声を掛けても大丈夫な筈。
「あら、もうそんな時間?
今朝は時間が早かったからお腹が空いたし、良いわね。
地元の料理だけどあまり香辛料が効き過ぎていなくて、美味しいお店を教えてくれる?」
王都とジルダスだと時間が同じではないから調整する為に朝早く出てきたのだが、こちらではもう昼食というよりも午後のお茶の時間に近いかも知れない。
バルダンなら今の時間でも食べられる美味しい店を教えてくれるだろうけど。
日帰りでアファル王国とジルダスを行き来しようと思うと時間が微妙なんだよなぁ。
こっちの方が早く日が明け、暗くなるせいでアファル王国を出るのはがっつり早起きしないとこっちでの時間が減る。
その分あっちで早寝すれば良いんだけど、早朝は寒いし寝ようと思ったら早く寝付けるとも限らない。
そう考えると、夕食もジルダスで食べる方が良いかな?
此方が暗くなったから帰っても、まだ王都が午後のお茶の時間帯だったらイマイチしっかり夕食を食べられないだろう。
まあ、そこら辺は後でシェイラに相談しよう。
夕食を軽めにして、昼にがっつりこっちで食べても良いんだし。
「おう、任せておけ!」
バルダンが張り切って応じた。
報酬代わりにどこの店だろうと昼食を奢るって言ったからなぁ。
高い所を選びそうだ。
シェイラが何やらぼろい食器らしき物を調べているのをぼ~と見ていたら、後ろから声を掛けられた。
「おう、バルダンか。
随分と育ったな」
俺たちが東大陸を見つけた最初の航海で情報収集用に雇った小僧は、3年の間にすっかり育って今では殆ど俺と同じぐらいの背丈になっていた。
3年って長いもんだなぁ。
まあ、ある意味街の盗賊《シーフ》だったガキが名目上は一人前の魔術師になれるだけの年月なのだ。
育っていても不思議は無いか。
俺だって魔術学院にいる間にそれなりに身長が伸びたし。
やっぱ、自分の皿の上の食事を奪われる心配がなくしっかり咬んで食べられる上に、日によってはお代わりまで出来る生活は大分と成長に違いが出る。
バルダンがそこまで健康的な生活になれたのかは知らんが。
「あんたの国の領事館はほぼどんな情報でも買ってくれるからな。
店の新しい支店長の家族関係や不倫の情報から、各店の品ぞろえや品物の値段にまで金を出してくれるんだぜ?
お蔭で弟分にまでしっかり食べれるようになったぜ!」
バルダンがにかっと笑いながら言った。
家族関係は親しくするため、不倫関係は圧力をかける用、店の品ぞろえなんかは市場価格の調査用ってところかな?
あの人数の領事館でそこまで手広く情報を集めてちゃんと整理して利用できるのかは知らないが、少人数で上手く街との関係を管理しようと思うと情報をがっちり集めておくのが近道なのかね?
本職の街の情報屋よりも浮浪児上がりのガキを雇う方が安上がりだから、手当たり次第な情報を集めるのには良いんだろうな。
何にせよ、俺が知っているガキが上手く食っていけているというのは良かった。
「あまり危険すぎる情報は探らずに、適当に日常的な情報をガンガン売りつけるんだな。
どうせ領事館もそこまでジルダスの街の運営に深入りする気はないだろうから、商業的に役に立つ一般情報の方が簡単に売れると思うぞ」
薄利多売方式だな。
「おう、みみっちい小遣い稼ぎだと思って上の奴らもお目こぼしをしてくれるし、俺もそのつもりだぜ!
で、今日は何の用なんだい?」
この出会いは偶然ではなく、領事館の門番に連絡が取れるならとバルダンへの伝言を頼んでいたのだが、ちゃんと届いていたらしい。
「久しぶりに来たんでね。
美味しい昼食を食べられる食事処を教えてくれ。
あと、午後に甘い物でも食べたいからお勧めな甘味処も教えて欲しい」
流石に昼食に王都まで戻るのは厳しい。それに折角の休暇なのだから異国情緒ありな食事でも一緒に楽しみたい。
「どんな食事を食べたいんだい?」
バルダンが聞いてきた。
「シェイラ、もうそろそろ昼食に行かないか?
こいつが何か食べたい食事の希望があったらお勧めな店を教えてくれるっていってるぜ?」
シェイラに声を掛ける。
色々とじっと見ているものの殆ど買わないから邪魔をするタイミングが微妙に不明なのだが、まあ邪魔されるのには慣れているだろうから声を掛けても大丈夫な筈。
「あら、もうそんな時間?
今朝は時間が早かったからお腹が空いたし、良いわね。
地元の料理だけどあまり香辛料が効き過ぎていなくて、美味しいお店を教えてくれる?」
王都とジルダスだと時間が同じではないから調整する為に朝早く出てきたのだが、こちらではもう昼食というよりも午後のお茶の時間に近いかも知れない。
バルダンなら今の時間でも食べられる美味しい店を教えてくれるだろうけど。
日帰りでアファル王国とジルダスを行き来しようと思うと時間が微妙なんだよなぁ。
こっちの方が早く日が明け、暗くなるせいでアファル王国を出るのはがっつり早起きしないとこっちでの時間が減る。
その分あっちで早寝すれば良いんだけど、早朝は寒いし寝ようと思ったら早く寝付けるとも限らない。
そう考えると、夕食もジルダスで食べる方が良いかな?
此方が暗くなったから帰っても、まだ王都が午後のお茶の時間帯だったらイマイチしっかり夕食を食べられないだろう。
まあ、そこら辺は後でシェイラに相談しよう。
夕食を軽めにして、昼にがっつりこっちで食べても良いんだし。
「おう、任せておけ!」
バルダンが張り切って応じた。
報酬代わりにどこの店だろうと昼食を奢るって言ったからなぁ。
高い所を選びそうだ。
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