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卒業後
993 星暦557年 桃の月 17日 家族(?)サービス期間(17)
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「それじゃあまず、木型を作るためにサイズを測りましょう」
爺さんがシャっと巻き尺と紙を取り出して俺に近寄ってきた。
「え?
前回靴を買おうとした時も何か測ってただろ?
何かノートに書きこんでいたと思ったが、あれは残っていないのか?」
それなりに時間をかけて測られた記憶があるんだが。
あんまり足元に人がしゃがみ込んで色々と触れてくるのって好きじゃないんだよなぁ。
足ってある意味逃げるために一番重要な部位だし。
「あれは大雑把に足のサイズを把握してあの時点で店にあった既製品が入るかを確認しただけです。
折角一から靴を造らせるのです。
ぴったり合う靴にする為にはしっかり測って木型を作らねば!」
爺さんにびしっと言われて足を押さえつけられてしまった。
ぐいっと紙の上に足を載せて、何やら足の輪郭をなぞっている。
くすぐったいんだが。
「一度作れば次回以降は変な歩き方をしたり怪我したりして足の形が変わっていないか確認するだけで済むから、今回我慢すれば次回以降が楽になるわよ~?」
店の奥で女性の店員と話し合っていたシェイラが声を掛けてきた。
そうなのか。
まあ、奥の壁にある木型を見る限り、ほぼ足の形と同じように見えるからなんだったら店に来ずに皮とスタイルだけ指定して通信機で連絡して作って貰うというのも可能そうだな。
というか、靴をオーダーメイドする人間は毎回こういう風に木型を作っているんだったら、贔屓の店を知っていれば靴をプレゼントするなんて言うのも可能そうだな。
サイズが合わない靴なんて貰ってもしょうがないから靴はプレゼントに向かないと思っていたが、服よりも確実に身体に合う物を造らせることが出来そうだ。
まあ、とは言ってもデザインとか色とかを選ばなきゃならないとなるとハードルが一気に高くなるが。
第一、相手がどんな靴を持っているか把握していないとうっかり既に持っているのと似たような靴を送ってしまったらあまり喜ばれないだろうし。
シェイラの買い物の仕方を見るに、服に合わせて靴も作らせているみたいだから、基本的に持っている服に合わせた靴は持っているってことになる。
つまり持っていない色の靴を造らせて贈っても着る服が無いってことになる・・・のか?
服まで贈らなきゃいけないとなったら予算がかなり大きくなるし・・・靴の贈り物って言うのは無しか。
流石に服の色やデザインを選んで贈るのは俺には難易度が高すぎて無理だ。
「ちょっと足を上げてください」
足をなぞり終わった爺さんに言われて右足を上げると、巻き尺を足の先とか甲の辺とか、何か所か巻かれ、爺さんが紙に数字を書き込む。
「数字でサイズを測っても、形はそれなりに個人差があるんじゃないのか?」
木型って言うのは足の模型みたいな物に見える。
あれに合わせて靴を造るとしたら、形が違ったらやっぱダメなんじゃないのか?
「それなりに足の形というのはパターンがありますからの。
良くあるパターンにそって個人差の大きい部分をしっかり測って合わせれば大体大丈夫です。
靴の素材はそれなりに柔らかく曲がる皮ですから、多少の形の修正だったら靴紐で出来ますし」
爺さんが今度は左足の方を軽く叩いて上げさせながら言った。
なるほど。
木型そのものは足の模型みたいに見えるが、合計のサイズさえ合っていれば多少形が違っても皮の方が足に合わせて曲がるか。
そうだよな、靴は木で出来ている訳じゃあ無い。
少なくともここで作っているのは。
「じゃあ、これで後は任せたってことで良いんだな?」
足のサイズを測り終えて、一安心してシェイラの所に行こうとしたらぐいっと本のような物を目の前に押し付けられた。
「さあ、デザインを決めましょう」
魔術学院時代の歴史の教科書よりも分厚そうな本は、1ページ毎に違った靴のデザインが描かれていた。
え??
この中から選ぶの???
俺が????
「適当に歩きやすくて滑らず、目立たないのにしてくれ」
足音に関しては最後に靴底の素材として要請すれば良いだろう。
最初にちゃんと言ってあるんだし。
まあ、足の運び方で音はかなり消せるんだけどな。
それでも靴底の形や素材次第で普通に歩いた時の音はそれなりに変わる。
全力疾走した際に音を殺す努力をしなくちゃいけないか否かでそれなりに体力の消耗度も違うのだ。
俺としてはデザインなんぞよりもそっちを重視したい。
とは言え、あまり主張しすぎると怪しまれるから最後に言う程度で済ませるが。
「ではこちらはどうでしょう?」
ぱらぱらっとページを捲った爺さんがなんか野暮ったい感じの靴の絵を見せてきた。
「それはちょっと野暮ったいかな」
態々新しく作るのに、それは無いだろう。
「ではこちらは?」
今度は妙に足先が細くなってナヨナヨしい感じの靴を見せられた。
「いや、それはちょっと・・・」
駄目だこりゃ。
取り敢えず許容範囲内なデザインのを見つけて選ばないととんでもないのを造られそうだ。
爺さんがシャっと巻き尺と紙を取り出して俺に近寄ってきた。
「え?
前回靴を買おうとした時も何か測ってただろ?
何かノートに書きこんでいたと思ったが、あれは残っていないのか?」
それなりに時間をかけて測られた記憶があるんだが。
あんまり足元に人がしゃがみ込んで色々と触れてくるのって好きじゃないんだよなぁ。
足ってある意味逃げるために一番重要な部位だし。
「あれは大雑把に足のサイズを把握してあの時点で店にあった既製品が入るかを確認しただけです。
折角一から靴を造らせるのです。
ぴったり合う靴にする為にはしっかり測って木型を作らねば!」
爺さんにびしっと言われて足を押さえつけられてしまった。
ぐいっと紙の上に足を載せて、何やら足の輪郭をなぞっている。
くすぐったいんだが。
「一度作れば次回以降は変な歩き方をしたり怪我したりして足の形が変わっていないか確認するだけで済むから、今回我慢すれば次回以降が楽になるわよ~?」
店の奥で女性の店員と話し合っていたシェイラが声を掛けてきた。
そうなのか。
まあ、奥の壁にある木型を見る限り、ほぼ足の形と同じように見えるからなんだったら店に来ずに皮とスタイルだけ指定して通信機で連絡して作って貰うというのも可能そうだな。
というか、靴をオーダーメイドする人間は毎回こういう風に木型を作っているんだったら、贔屓の店を知っていれば靴をプレゼントするなんて言うのも可能そうだな。
サイズが合わない靴なんて貰ってもしょうがないから靴はプレゼントに向かないと思っていたが、服よりも確実に身体に合う物を造らせることが出来そうだ。
まあ、とは言ってもデザインとか色とかを選ばなきゃならないとなるとハードルが一気に高くなるが。
第一、相手がどんな靴を持っているか把握していないとうっかり既に持っているのと似たような靴を送ってしまったらあまり喜ばれないだろうし。
シェイラの買い物の仕方を見るに、服に合わせて靴も作らせているみたいだから、基本的に持っている服に合わせた靴は持っているってことになる。
つまり持っていない色の靴を造らせて贈っても着る服が無いってことになる・・・のか?
服まで贈らなきゃいけないとなったら予算がかなり大きくなるし・・・靴の贈り物って言うのは無しか。
流石に服の色やデザインを選んで贈るのは俺には難易度が高すぎて無理だ。
「ちょっと足を上げてください」
足をなぞり終わった爺さんに言われて右足を上げると、巻き尺を足の先とか甲の辺とか、何か所か巻かれ、爺さんが紙に数字を書き込む。
「数字でサイズを測っても、形はそれなりに個人差があるんじゃないのか?」
木型って言うのは足の模型みたいな物に見える。
あれに合わせて靴を造るとしたら、形が違ったらやっぱダメなんじゃないのか?
「それなりに足の形というのはパターンがありますからの。
良くあるパターンにそって個人差の大きい部分をしっかり測って合わせれば大体大丈夫です。
靴の素材はそれなりに柔らかく曲がる皮ですから、多少の形の修正だったら靴紐で出来ますし」
爺さんが今度は左足の方を軽く叩いて上げさせながら言った。
なるほど。
木型そのものは足の模型みたいに見えるが、合計のサイズさえ合っていれば多少形が違っても皮の方が足に合わせて曲がるか。
そうだよな、靴は木で出来ている訳じゃあ無い。
少なくともここで作っているのは。
「じゃあ、これで後は任せたってことで良いんだな?」
足のサイズを測り終えて、一安心してシェイラの所に行こうとしたらぐいっと本のような物を目の前に押し付けられた。
「さあ、デザインを決めましょう」
魔術学院時代の歴史の教科書よりも分厚そうな本は、1ページ毎に違った靴のデザインが描かれていた。
え??
この中から選ぶの???
俺が????
「適当に歩きやすくて滑らず、目立たないのにしてくれ」
足音に関しては最後に靴底の素材として要請すれば良いだろう。
最初にちゃんと言ってあるんだし。
まあ、足の運び方で音はかなり消せるんだけどな。
それでも靴底の形や素材次第で普通に歩いた時の音はそれなりに変わる。
全力疾走した際に音を殺す努力をしなくちゃいけないか否かでそれなりに体力の消耗度も違うのだ。
俺としてはデザインなんぞよりもそっちを重視したい。
とは言え、あまり主張しすぎると怪しまれるから最後に言う程度で済ませるが。
「ではこちらはどうでしょう?」
ぱらぱらっとページを捲った爺さんがなんか野暮ったい感じの靴の絵を見せてきた。
「それはちょっと野暮ったいかな」
態々新しく作るのに、それは無いだろう。
「ではこちらは?」
今度は妙に足先が細くなってナヨナヨしい感じの靴を見せられた。
「いや、それはちょっと・・・」
駄目だこりゃ。
取り敢えず許容範囲内なデザインのを見つけて選ばないととんでもないのを造られそうだ。
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