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卒業後
973 星暦557年 橙の月 27日 次は?(8)
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「これって台の方で下向きに突風を叩き付けてジャンプさせるんじゃなくって、普通に斜めになる台をフィールドの方に設置してその上から飛び出す形にした方が良くない?
ずっとお手軽だよ?」
斜めの傾斜が付いた三角柱のブロックのようなものをフィールドに横たえて、そこに向けて馬付き台車を走り込ませる準備をしながらシャルロが言った。
台車の前の部分の下方噴射を後ろの方より強くしてガッと空気を下へ叩き付ければ前の方が上がってジャンプするような形になると思ったのだが、実は意外とやってみると難しかったのだ。
ある程度は飛ぶような感じになるものの、イマイチ距離は短く、障害物競走っぽいジャンプにならない。
とは言え、三角柱でジャンプするのって障害物競走とはちょっと違う気もするが。
「・・・飛んだな」
シャルロが三角柱に突進させた馬付き台が宙に飛び出すを見て、アレクが言った。
「確かに。
なんかこう、色々とブロックをフィールド内に置いてその上を飛ばせたり、走らせたりして工夫するのも面白いかも?
馬の障害物競争とはちょっと違った感じになると思うが」
馬の障害物競走ってずいっとコースに置いてある柵みたいのを飛び越える印象だ。
三角柱みたいに徐々に高くなる障害物を飛び越えるのってイマイチ馬の得意とする飛び方じゃないよな?
「ふむ。
まあ、下手に本体の方の機能を色々と複雑にパワーアップさせるよりも、フィールドに置く障害物とかを工夫させる方が手軽だな。
なんだったら狩りをするバージョンでは狐役の台を一回り小さくして、トンネルみたいなところを潜り抜けげ逃げるっていうような場面を設定しても面白そうだし」
アレクが提案する。
「どちらにせよ、生身の馬の体みたいに台の部分を柔らかく曲げられないんだし、本当の障害物競走みたいに柵とかを飛び越えさせるのは無理でしょ。
なんだったらジャンプする時により遠く飛べるように、一時的に出力を上げるボタンみたいのを付けても良いかも?」
シャルロが言った。
「出力を上げると飛び過ぎて壁に激突して壊れるとか、フィールドから飛び出して側で見ていた人にぶつかるとか、色々と問題が出るかもだぞ?
それよりは子供本人が既存の限界の中で工夫して飛距離や速度を伸ばすよう頑張って貰う方が良いんじゃないか?」
一時的に出力を上げる仕組みとかって面倒そうだし。
「まあ、確かに出力を上げるとなると壊れない様にもっと頑丈にしなくてはならないし、話が複雑になるかも知れないな。
ブロックの上を飛んだり走ったりさせるのだって、失敗して落ちた時のことを考えると色々と丈夫にする必要があるかも知れないし。
そうなると、最初に売り出すバージョンをもっと頑丈にさせないとダメか・・・」
ちょっと顔をしかめながらアレクが言った。
確かに、後から色々とジャンプさせたりサーカスみたいな動きをさせる付属品を売り出すとしたら、売り出す本体がその後売りの部品を使っても壊れないのを確実にしないとだな。
「まあ、それは後付けの部品を売る時に本体保護用のカバーみたいのも付属させて売れば良いんじゃない?
普通に平らなフィールドで走らせるだけだったらそこまで頑丈にする必要はないんだし・・・多分」
シャルロが指摘する。
それも一理ある。
というか。
「そう言えば、シェフィート商会のガキたちに遊ばせて、故障したのって出て来ているのか?
もしくは何か改善点とか」
昨日の今日だから、まだ大した反応は返ってきていないかも知れないが、1日がっつり遊ばせたらそれなりに露骨な問題があるならもう出て来ていても不思議は無い。
「子供がうっかり奪い合いの際に力いっぱい握ったり上から倒れこんだりしても馬の部分が捥げない様にした方が良いという話は出て来たな」
アレクが苦笑しながら言った。
あ~。
馬が捥げたか。
台の部分の車輪や魔術回路に関しては、ちょっとやそっとの事では壊れない様に色々と工夫したんだが、ぬいぐるみに関しては壊れないだろうと思ってそれ程注意していなかった。だが、外れたら子供が大騒ぎしそうだな。
また接着剤で付ければいいだけだとしても、ちょっと興ざめだろうし。
「下手にがっしり固定するとぬいぐるみその物が破損するかもだから、フックか何かで留める形にして、比較的簡単に着脱できるようにしたらどうだ?
そうしたら犬とかとも変えて狩りみたいな感じにも出来るし」
とは言え、犬役をやりたがる子供がいなくて喧嘩になるかも?
狐役はそれはそれで他の子を出し抜くという楽しみがあるが、犬は狩人の命じるままに狐を追い立てるだけで最後の止めは狩人役に取られるし、面白くなさそうだ。
犬と猫で追いかけっこみたいな感じにするなら、それはそれで有りかもだが。
「あと、競馬はまだしも狩りとか三角柱やブロックの上を飛ばせたり走らせたりするなら、馬の上に乗る人間の人形もあった方が良いかも知れないな。
一緒に売り出さなかったら適当に市販の人形を上に固定して使いそうだ。
どうせそうなるんだったら、上部のバランスが崩れないような人形とそれの固定の仕方も確認しておいた方が良さそうだ」
アレクが指摘する。
「・・・それはシェフィート商会のガキたちに任せようぜ~。
俺たちはブロックや三角柱でのジャンプや走らせる際の角度とか、出力がちゃんと足りるかとかを調べようよ」
保護カバーは普通に適当なサンプルをシェフィート商会か工房に造って貰って試せばいいだろ。
カバーとか人形とか、退屈な部分は商会側に任せちまおう。
ずっとお手軽だよ?」
斜めの傾斜が付いた三角柱のブロックのようなものをフィールドに横たえて、そこに向けて馬付き台車を走り込ませる準備をしながらシャルロが言った。
台車の前の部分の下方噴射を後ろの方より強くしてガッと空気を下へ叩き付ければ前の方が上がってジャンプするような形になると思ったのだが、実は意外とやってみると難しかったのだ。
ある程度は飛ぶような感じになるものの、イマイチ距離は短く、障害物競走っぽいジャンプにならない。
とは言え、三角柱でジャンプするのって障害物競走とはちょっと違う気もするが。
「・・・飛んだな」
シャルロが三角柱に突進させた馬付き台が宙に飛び出すを見て、アレクが言った。
「確かに。
なんかこう、色々とブロックをフィールド内に置いてその上を飛ばせたり、走らせたりして工夫するのも面白いかも?
馬の障害物競争とはちょっと違った感じになると思うが」
馬の障害物競走ってずいっとコースに置いてある柵みたいのを飛び越える印象だ。
三角柱みたいに徐々に高くなる障害物を飛び越えるのってイマイチ馬の得意とする飛び方じゃないよな?
「ふむ。
まあ、下手に本体の方の機能を色々と複雑にパワーアップさせるよりも、フィールドに置く障害物とかを工夫させる方が手軽だな。
なんだったら狩りをするバージョンでは狐役の台を一回り小さくして、トンネルみたいなところを潜り抜けげ逃げるっていうような場面を設定しても面白そうだし」
アレクが提案する。
「どちらにせよ、生身の馬の体みたいに台の部分を柔らかく曲げられないんだし、本当の障害物競走みたいに柵とかを飛び越えさせるのは無理でしょ。
なんだったらジャンプする時により遠く飛べるように、一時的に出力を上げるボタンみたいのを付けても良いかも?」
シャルロが言った。
「出力を上げると飛び過ぎて壁に激突して壊れるとか、フィールドから飛び出して側で見ていた人にぶつかるとか、色々と問題が出るかもだぞ?
それよりは子供本人が既存の限界の中で工夫して飛距離や速度を伸ばすよう頑張って貰う方が良いんじゃないか?」
一時的に出力を上げる仕組みとかって面倒そうだし。
「まあ、確かに出力を上げるとなると壊れない様にもっと頑丈にしなくてはならないし、話が複雑になるかも知れないな。
ブロックの上を飛んだり走ったりさせるのだって、失敗して落ちた時のことを考えると色々と丈夫にする必要があるかも知れないし。
そうなると、最初に売り出すバージョンをもっと頑丈にさせないとダメか・・・」
ちょっと顔をしかめながらアレクが言った。
確かに、後から色々とジャンプさせたりサーカスみたいな動きをさせる付属品を売り出すとしたら、売り出す本体がその後売りの部品を使っても壊れないのを確実にしないとだな。
「まあ、それは後付けの部品を売る時に本体保護用のカバーみたいのも付属させて売れば良いんじゃない?
普通に平らなフィールドで走らせるだけだったらそこまで頑丈にする必要はないんだし・・・多分」
シャルロが指摘する。
それも一理ある。
というか。
「そう言えば、シェフィート商会のガキたちに遊ばせて、故障したのって出て来ているのか?
もしくは何か改善点とか」
昨日の今日だから、まだ大した反応は返ってきていないかも知れないが、1日がっつり遊ばせたらそれなりに露骨な問題があるならもう出て来ていても不思議は無い。
「子供がうっかり奪い合いの際に力いっぱい握ったり上から倒れこんだりしても馬の部分が捥げない様にした方が良いという話は出て来たな」
アレクが苦笑しながら言った。
あ~。
馬が捥げたか。
台の部分の車輪や魔術回路に関しては、ちょっとやそっとの事では壊れない様に色々と工夫したんだが、ぬいぐるみに関しては壊れないだろうと思ってそれ程注意していなかった。だが、外れたら子供が大騒ぎしそうだな。
また接着剤で付ければいいだけだとしても、ちょっと興ざめだろうし。
「下手にがっしり固定するとぬいぐるみその物が破損するかもだから、フックか何かで留める形にして、比較的簡単に着脱できるようにしたらどうだ?
そうしたら犬とかとも変えて狩りみたいな感じにも出来るし」
とは言え、犬役をやりたがる子供がいなくて喧嘩になるかも?
狐役はそれはそれで他の子を出し抜くという楽しみがあるが、犬は狩人の命じるままに狐を追い立てるだけで最後の止めは狩人役に取られるし、面白くなさそうだ。
犬と猫で追いかけっこみたいな感じにするなら、それはそれで有りかもだが。
「あと、競馬はまだしも狩りとか三角柱やブロックの上を飛ばせたり走らせたりするなら、馬の上に乗る人間の人形もあった方が良いかも知れないな。
一緒に売り出さなかったら適当に市販の人形を上に固定して使いそうだ。
どうせそうなるんだったら、上部のバランスが崩れないような人形とそれの固定の仕方も確認しておいた方が良さそうだ」
アレクが指摘する。
「・・・それはシェフィート商会のガキたちに任せようぜ~。
俺たちはブロックや三角柱でのジャンプや走らせる際の角度とか、出力がちゃんと足りるかとかを調べようよ」
保護カバーは普通に適当なサンプルをシェフィート商会か工房に造って貰って試せばいいだろ。
カバーとか人形とか、退屈な部分は商会側に任せちまおう。
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