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卒業後
970 星暦557年 橙の月 24日 次は?(5)
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楕円形に広げたコースの中を頑張ってそれなりに早く動いていた馬のオモチャが、曲がろうとしてぐらついたと思ったらぱったり倒れた。
「う~ん、馬って真っすぐ立った姿勢で急に曲がれないんだねぇ」
倒れた馬を拾い上げて元に戻しながらシャルロが言った。
「実際に乗っている時ってどうなんだ?あんまり急激な方向転換をしているイメージはないが、必死に逃げている時に方向転換すると転ぶって言うのは生存競争的に不味い気がするが」
馬だって草食動物なのだ。
襲ってくる肉食動物は居るだろう。
それを一直線に走ってしか逃げられないというのではあまり長生きできない気がする。
「う~ん、あんまり無理をさせるのは足に悪いからね。
どうだったっけ?
本気で死ぬ気で逃げようとしている時なんかは・・・どっちか片側の脚を踏ん張るとか、足を曲げて重心を下げるとかするんじゃないかな?」
ちょっと首を傾げながらシャルロが言った。
シャルロはスピードを楽しむ為に馬に鞭を打つタイプじゃないからあまり心当たりがない様だ。
まあ、どちらにせよあまり細かい挙動の模倣は難しいしな。
馬型オモチャの試作品は、まだ魔力の吸収に関しては取り掛かっていないが取り敢えず動くことは動くようになった。
最初は魔石で足の下の台車の車輪を動かす様にして、手元の棒に連動させた魔道具で方向転換をさせる様にしようとしたのだが、スピードの管理の問題もあり、色々と試行錯誤した結果、手元の制御を直径1ハドぐらいの球にして、それをぐりぐり箱の中で回して方向転換させたりすることで連動した馬の台車の球も動いてスピードと方向転換が出来る様にした。
こうする方が子供の方も肉体的に疲れて丁度いいだろうというのがアレクの言葉だった。
確かにね。
完全に魔石の動力に頼って動くんだったら、子供が飽きるまで延々と遊び続けることになるから尋常じゃない数の魔石を消費しかねず、親から顰蹙を買うかも知れない。
遊ぶ側の腕の筋力も使って早さやコース変更を行うようにすれば、それなりに動かし方のコツとかで上手下手が出て来て頑張り甲斐があるだろうし、何より疲れるから果てしなく遊び続けるというのが出来なくなる。
制御側と馬側の球を連動させなきゃいけないからそれなりに魔石は使うが、魔石の力だけで動かすよりは魔力の節約になるし。
が。
球を回す方向を変えるだけで馬の方向転換が出来るようになったことで、力を籠めればスピードを出している最中に急激な方向転換も出来る様になってしまい、そうすると馬が転ぶ・・・というかオモチャが倒れるようになったのだ。
「方向転換する際に足を曲げて重心を下げるなんて言う高度な条件付けは難しいぞ?」
不可能じゃないかも知れないが、たかがオモチャにそこまで凝る必要は無い気がする。
「球の形を少し楕円形にして方向転換できる回転幅を制限するとか?」
シャルロが提案する。
「軸でも通して、軸が動ける範囲を制限すれば曲げられる範囲を制限できるかな?
制御球がうっかり箱から飛び出して転がって行ってどっかに消えたりしなくて良いかも知れない」
アレクが頷きながら合意した。
「・・・まあ、無くなったら困るからな。
共鳴させる魔石を一セット買い直す羽目になるから高くつくし、確実に無くせない様にしておく方が良いか」
馬の方を失くしたらどうしようもないが・・・ある意味、失くしたら飽きたんだろうということで諦めて貰うしかないな。
「どの程度の角度までだったら大人が本気で回して速度を出していても曲がり切れるか確かめて、軸の動ける範囲を決めようか。
これって中々面白いから子供が寝ている間は大人が遊びそう」
シャルロが笑いながら言った。
確かになぁ。
俺も実際に馬に乗って走るのは嫌いだし苦手だが、このオモチャで走らせて競争する分には手元の球の動かし方次第で他者の馬を出し抜けたり出来るので、中々面白い。
「障害物をジャンプさせるのを考えても良いが、この楕円形のコースみたいのをぐにぐにとあちこちに曲がって走り回れるようなコース設定が出来るような道具も欲しいな」
まずは問題なく走らせられるようになってから障害物もどきなジャンプとかの機能を考えようという話になっているのだが、単に楕円形の外縁を走り回るだけでなく、中をもっと複雑なコースで走れるようにしたらもっと面白くなりそうだ。
「そうだね~。
後は鬼ごっこみたいな感じに追いかけて誰かにタッチしたら鬼交代みたいな感じにも出来たら良いんだけど・・・ぶつけるのを目的にするとうっかり首がもげちゃったりして、危険かなぁ」
シャルロがちょっと馬を手に取って首のあたりをぐりぐり捩じってみながら言った。
「・・・上の馬の部分はぬいぐるみっぽいのにしたらどうだ?
その方が軽いから重心が下になって倒れにくいし、ぶつかっても壊れないだろう」
アレクがぽんっと手を叩いて言った。
確かに。
子供用の馬のオモチャって男の子が主な対象なのが多いせいか、木で出来たオモチャが多かったんだよな。
だから当然のごとく木で彫られた馬のオモチャが多く、それを適当に買ってきて台に固定していたのだが、そうするとどうしても重心が上の方になって倒れやすいのだ。
これが綿を詰めたぬいぐるみだったらお互いにぶつかっても破損しにくいだろうし、重心がぐっと下がるから倒れにくくなる。
あまり可愛くない、比較的実物っぽい形のぬいぐるみだったらそれ程男の子たちの不評を買わないと期待したい。
「台同士がぶつかっても故障しない様に台の周辺にはちょっと緩衝材を付けておけば良いかな?
適当なぬいぐるみを買ってきて、どの程度の速度と角度まで倒れずに曲がれるか試そうぜ」
もしかしたら角度制限が必要無いかも?
でもまあ、実際の馬が同じように急激な方向転換が出来ると子供に思わせると危険かもだから、どちらにせよある程度は制限をかしたほうがいいか。
「う~ん、馬って真っすぐ立った姿勢で急に曲がれないんだねぇ」
倒れた馬を拾い上げて元に戻しながらシャルロが言った。
「実際に乗っている時ってどうなんだ?あんまり急激な方向転換をしているイメージはないが、必死に逃げている時に方向転換すると転ぶって言うのは生存競争的に不味い気がするが」
馬だって草食動物なのだ。
襲ってくる肉食動物は居るだろう。
それを一直線に走ってしか逃げられないというのではあまり長生きできない気がする。
「う~ん、あんまり無理をさせるのは足に悪いからね。
どうだったっけ?
本気で死ぬ気で逃げようとしている時なんかは・・・どっちか片側の脚を踏ん張るとか、足を曲げて重心を下げるとかするんじゃないかな?」
ちょっと首を傾げながらシャルロが言った。
シャルロはスピードを楽しむ為に馬に鞭を打つタイプじゃないからあまり心当たりがない様だ。
まあ、どちらにせよあまり細かい挙動の模倣は難しいしな。
馬型オモチャの試作品は、まだ魔力の吸収に関しては取り掛かっていないが取り敢えず動くことは動くようになった。
最初は魔石で足の下の台車の車輪を動かす様にして、手元の棒に連動させた魔道具で方向転換をさせる様にしようとしたのだが、スピードの管理の問題もあり、色々と試行錯誤した結果、手元の制御を直径1ハドぐらいの球にして、それをぐりぐり箱の中で回して方向転換させたりすることで連動した馬の台車の球も動いてスピードと方向転換が出来る様にした。
こうする方が子供の方も肉体的に疲れて丁度いいだろうというのがアレクの言葉だった。
確かにね。
完全に魔石の動力に頼って動くんだったら、子供が飽きるまで延々と遊び続けることになるから尋常じゃない数の魔石を消費しかねず、親から顰蹙を買うかも知れない。
遊ぶ側の腕の筋力も使って早さやコース変更を行うようにすれば、それなりに動かし方のコツとかで上手下手が出て来て頑張り甲斐があるだろうし、何より疲れるから果てしなく遊び続けるというのが出来なくなる。
制御側と馬側の球を連動させなきゃいけないからそれなりに魔石は使うが、魔石の力だけで動かすよりは魔力の節約になるし。
が。
球を回す方向を変えるだけで馬の方向転換が出来るようになったことで、力を籠めればスピードを出している最中に急激な方向転換も出来る様になってしまい、そうすると馬が転ぶ・・・というかオモチャが倒れるようになったのだ。
「方向転換する際に足を曲げて重心を下げるなんて言う高度な条件付けは難しいぞ?」
不可能じゃないかも知れないが、たかがオモチャにそこまで凝る必要は無い気がする。
「球の形を少し楕円形にして方向転換できる回転幅を制限するとか?」
シャルロが提案する。
「軸でも通して、軸が動ける範囲を制限すれば曲げられる範囲を制限できるかな?
制御球がうっかり箱から飛び出して転がって行ってどっかに消えたりしなくて良いかも知れない」
アレクが頷きながら合意した。
「・・・まあ、無くなったら困るからな。
共鳴させる魔石を一セット買い直す羽目になるから高くつくし、確実に無くせない様にしておく方が良いか」
馬の方を失くしたらどうしようもないが・・・ある意味、失くしたら飽きたんだろうということで諦めて貰うしかないな。
「どの程度の角度までだったら大人が本気で回して速度を出していても曲がり切れるか確かめて、軸の動ける範囲を決めようか。
これって中々面白いから子供が寝ている間は大人が遊びそう」
シャルロが笑いながら言った。
確かになぁ。
俺も実際に馬に乗って走るのは嫌いだし苦手だが、このオモチャで走らせて競争する分には手元の球の動かし方次第で他者の馬を出し抜けたり出来るので、中々面白い。
「障害物をジャンプさせるのを考えても良いが、この楕円形のコースみたいのをぐにぐにとあちこちに曲がって走り回れるようなコース設定が出来るような道具も欲しいな」
まずは問題なく走らせられるようになってから障害物もどきなジャンプとかの機能を考えようという話になっているのだが、単に楕円形の外縁を走り回るだけでなく、中をもっと複雑なコースで走れるようにしたらもっと面白くなりそうだ。
「そうだね~。
後は鬼ごっこみたいな感じに追いかけて誰かにタッチしたら鬼交代みたいな感じにも出来たら良いんだけど・・・ぶつけるのを目的にするとうっかり首がもげちゃったりして、危険かなぁ」
シャルロがちょっと馬を手に取って首のあたりをぐりぐり捩じってみながら言った。
「・・・上の馬の部分はぬいぐるみっぽいのにしたらどうだ?
その方が軽いから重心が下になって倒れにくいし、ぶつかっても壊れないだろう」
アレクがぽんっと手を叩いて言った。
確かに。
子供用の馬のオモチャって男の子が主な対象なのが多いせいか、木で出来たオモチャが多かったんだよな。
だから当然のごとく木で彫られた馬のオモチャが多く、それを適当に買ってきて台に固定していたのだが、そうするとどうしても重心が上の方になって倒れやすいのだ。
これが綿を詰めたぬいぐるみだったらお互いにぶつかっても破損しにくいだろうし、重心がぐっと下がるから倒れにくくなる。
あまり可愛くない、比較的実物っぽい形のぬいぐるみだったらそれ程男の子たちの不評を買わないと期待したい。
「台同士がぶつかっても故障しない様に台の周辺にはちょっと緩衝材を付けておけば良いかな?
適当なぬいぐるみを買ってきて、どの程度の速度と角度まで倒れずに曲がれるか試そうぜ」
もしかしたら角度制限が必要無いかも?
でもまあ、実際の馬が同じように急激な方向転換が出来ると子供に思わせると危険かもだから、どちらにせよある程度は制限をかしたほうがいいか。
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