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卒業後
942 星暦557年 黄の月 4日 新しい伝手(6)
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半日ほど高スピードで南下したところ、大きな街が見えてきた。
ジルダスからずっとちょっと干からびた感じな草原っぽい地形が続いていたのだが、街を挟んだ南側は突然一気にうっそうとした森が後ろの方に広がっている。
手前の方は・・・沼っぽい感じなのか?
乾いた茶色ではなく、湿った泥っぽい焦げ茶な地面が多く、あちこちに草が生えている。
一体どうやったらこんな半砂漠っぽい地形と密林と沼っぽい地形が隣り合わせになるなんてことが起きるんだ??
良く見たら街の真ん中を大きな河が通っているようだから、奥の方に霞んで見える山から河が流れてきているのだろうが・・・何故か南側だけがその水が豊富に行き渡り、北側は乾いたままのようだ。
・・・傍に川があるんだから、灌漑して北側も農地にすればいいのに。
というか、南側は水が過剰にある湿地な感じで普通の農作物を育てるのには向いていないんじゃないか?
まあ、最近パストン島で栽培し始めたトウモロコシは大量に水がいるらしいから湿地でも何とか水抜きでもした畑を作れれば育てやすいのかも知れないが。
「取り敢えず、入港して今晩は船で寝ることにしようか」
アレクが提案する。
「ああ、そうしていてくれ。
その間にちょっと酒場とかを見て回ってくる」
一応お勧めな宿やケッパッサでの伝手はゼブから聞いているが、見知らぬ街で『紹介された』からと裏社会の人間と分かっている奴の所にのこのこと顔を出すのは危険すぎる。
まずは下調べをして街での評判を確認し、いざという時の為の逃走ルートを確認する必要がある。
最後の手段的には精霊に頼るという手もあるが、変に騒ぎを大きくしたら情報収集も碌に出来なくなるからな。
「気を付けて無理はしないでくれよ?
別に何も見つからなくても構わないのだから」
アレクがちょっと心配そうに言ってきた。
「おう。
シャカリキになって情報収集するつもりはないから、安心して寝ていてくれ」
この屋敷船は基本的に精霊に目的地や行きたい方向を示して適当に進んでもらう仕組みになっているので、普通の船の運航に必要な船員や船長、航海士は居ない。
とは言え、それでは港に入った時の手続きとかが面倒だし、なんと言っても乗組員のいない船なんぞ下手をしたら伝説のアンデッドが動かす幽霊船ではないかと誤解されても困るので、一応入港時の交渉や仕入れをする役割の船長もどき役にシェフィート商会から適当に人を融通してもらうのだが、今回はズロクナと言う男とその部下数名を乗せている。
まあ、食材はアファル王国やパストン島で大量に仕入れて、こちらで積み込む必要はない様にしてあるが。
下手に地元の人員を雇って食材を船の中に運び込もうとなんてしたら、乗組員が居ないなら乗っ取ってしまえと考えるアホが出て来る可能性は高い。
どうせ乗っ取ったところでこの船を動かせる訳はないのだからある意味好きにしろという感じではあるが、色々と面倒だし動かせない憂さ晴らしに船体や家具に傷を付けられるのも業腹なので出来るだけ荷の積み込みはそれなりに信頼できる港町で行うことになっている。
当然の事ながら初めて訪れた、後ろ暗い産業で有名な港町で食材を大量購入して運び入れるつもりはない。
「取り敢えず、入港だけして俺たちは船で寝るって事にするから、港で酒場に行くなら好きにしてくれ」
蒼流の過保護結界で船は守られているから、ズロクナが他の人間を連れて来ようとしても乗船できない。
というか、船に乗る人間で水精霊に溺愛されているシャルロに害をなそうとする人間なんぞいないだろう。
明らかに人間の魔力を超えたスピードで風を無視して海を渡っているのだ。
何も知らなくても蒼流の能力の強大さはしっかり実感している筈だ。
アレクは雇用主のお坊ちゃんだし。
「了解。
じゃあ適当に酒場で息抜きしつつ情報収集しているよ」
ズロクナが頷き、岸への移動用の小舟の一つに乗って岸へ渡っていった。
さて。
俺は夕食を食べてから、暗くなるのを待って岸に渡って酒場とか裏社会の伝手とかを調べてみるかな。
ジルダスからずっとちょっと干からびた感じな草原っぽい地形が続いていたのだが、街を挟んだ南側は突然一気にうっそうとした森が後ろの方に広がっている。
手前の方は・・・沼っぽい感じなのか?
乾いた茶色ではなく、湿った泥っぽい焦げ茶な地面が多く、あちこちに草が生えている。
一体どうやったらこんな半砂漠っぽい地形と密林と沼っぽい地形が隣り合わせになるなんてことが起きるんだ??
良く見たら街の真ん中を大きな河が通っているようだから、奥の方に霞んで見える山から河が流れてきているのだろうが・・・何故か南側だけがその水が豊富に行き渡り、北側は乾いたままのようだ。
・・・傍に川があるんだから、灌漑して北側も農地にすればいいのに。
というか、南側は水が過剰にある湿地な感じで普通の農作物を育てるのには向いていないんじゃないか?
まあ、最近パストン島で栽培し始めたトウモロコシは大量に水がいるらしいから湿地でも何とか水抜きでもした畑を作れれば育てやすいのかも知れないが。
「取り敢えず、入港して今晩は船で寝ることにしようか」
アレクが提案する。
「ああ、そうしていてくれ。
その間にちょっと酒場とかを見て回ってくる」
一応お勧めな宿やケッパッサでの伝手はゼブから聞いているが、見知らぬ街で『紹介された』からと裏社会の人間と分かっている奴の所にのこのこと顔を出すのは危険すぎる。
まずは下調べをして街での評判を確認し、いざという時の為の逃走ルートを確認する必要がある。
最後の手段的には精霊に頼るという手もあるが、変に騒ぎを大きくしたら情報収集も碌に出来なくなるからな。
「気を付けて無理はしないでくれよ?
別に何も見つからなくても構わないのだから」
アレクがちょっと心配そうに言ってきた。
「おう。
シャカリキになって情報収集するつもりはないから、安心して寝ていてくれ」
この屋敷船は基本的に精霊に目的地や行きたい方向を示して適当に進んでもらう仕組みになっているので、普通の船の運航に必要な船員や船長、航海士は居ない。
とは言え、それでは港に入った時の手続きとかが面倒だし、なんと言っても乗組員のいない船なんぞ下手をしたら伝説のアンデッドが動かす幽霊船ではないかと誤解されても困るので、一応入港時の交渉や仕入れをする役割の船長もどき役にシェフィート商会から適当に人を融通してもらうのだが、今回はズロクナと言う男とその部下数名を乗せている。
まあ、食材はアファル王国やパストン島で大量に仕入れて、こちらで積み込む必要はない様にしてあるが。
下手に地元の人員を雇って食材を船の中に運び込もうとなんてしたら、乗組員が居ないなら乗っ取ってしまえと考えるアホが出て来る可能性は高い。
どうせ乗っ取ったところでこの船を動かせる訳はないのだからある意味好きにしろという感じではあるが、色々と面倒だし動かせない憂さ晴らしに船体や家具に傷を付けられるのも業腹なので出来るだけ荷の積み込みはそれなりに信頼できる港町で行うことになっている。
当然の事ながら初めて訪れた、後ろ暗い産業で有名な港町で食材を大量購入して運び入れるつもりはない。
「取り敢えず、入港だけして俺たちは船で寝るって事にするから、港で酒場に行くなら好きにしてくれ」
蒼流の過保護結界で船は守られているから、ズロクナが他の人間を連れて来ようとしても乗船できない。
というか、船に乗る人間で水精霊に溺愛されているシャルロに害をなそうとする人間なんぞいないだろう。
明らかに人間の魔力を超えたスピードで風を無視して海を渡っているのだ。
何も知らなくても蒼流の能力の強大さはしっかり実感している筈だ。
アレクは雇用主のお坊ちゃんだし。
「了解。
じゃあ適当に酒場で息抜きしつつ情報収集しているよ」
ズロクナが頷き、岸への移動用の小舟の一つに乗って岸へ渡っていった。
さて。
俺は夕食を食べてから、暗くなるのを待って岸に渡って酒場とか裏社会の伝手とかを調べてみるかな。
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