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卒業後
940 星暦557年 黄の月 4日 新しい伝手(4)
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「海沿いなのに不思議と乾いた感じだな。
もっと海からの湿気で雨が降りそうなものだが」
諸々の買い物を済ませ、南方にあるケッパッサとかいう都市へ向かいながら船から見える海岸沿いの乾き切った光景を見て思わず呟く。
『ある程度山っぽい地形か面白い何かが無いと風のが立ち止まらないから、湿気た空気も素通りしちゃうからね~』
清早が応じる。
マジか。
風の精霊次第ってことは、何か面白い物があって雨が降る気象だったのが、それが消えたら雨が降らなくなる可能性があるのか??
頑張って土壌とか改造したのに、風の精霊の興味を引いた何かが無くなったら一気に今までの努力が無に還るかもと思うと切なすぎるな。
パストン島なんかは北側にちょっとした山が連なっているからそれで雨が降るんだろう。
アファル王国は・・・それ程海の傍に山が無くてもそれなりにしっかり雨が降っているってことは、何かが興味深いのか?
それとも内陸側が山地になっていれば良いのかね?
「ちなみにどんなのが風のに対して面白いって見做されるんかな?」
『大きな木とか、変わった形の岩とか、綺麗な街とか畑とかも場合によっては?
上手な歌が好きなのもいるよ~』
清早が応じた。
「どうした?」
俺の顔がちょっと変だったのか、アレクが寄ってきて尋ねる。
「海沿いなのになんだってこうも乾燥しているっぽいのかな~って呟いたら、山が無いし風の精霊が興味を示すような物も無いから海風が素通りするって言われてね」
考えてみたら海神さまをないがしろにしていたらあっさり精霊に見捨てられて島が沈むのだ。
それだけ精霊の影響が大きいのだから、精霊に気に入られたら地形に関係なく雨が降っても不思議は無いか。
「・・・へぇ、それなりに山が無いと海が近くても雨が降らないという学者の説があったが、本当なのか。
というか、地形に関係なく風の精霊の興味を引けたら雨が降るというのも中々興味深い話だな」
アレクがちょっと驚いたように一瞬口を閉じて考えていたが、やがて応じた。
「まあ、考えてみたら王都を結界で囲んだら風が吹かなくなってめっちゃ暑くなるんだ。
その際には雨もあまり降らなかっただろうし、精霊の動きに干渉できると天候って変わるというのも言うなれば当然だな」
雨を降らすって言うのは水の精霊の関連かと思ったが、意図的にドカっと降らせるんじゃなくって自然現象的な毎日の営みの中での雨となると風の精霊の方が重要なのはちょっと意外だが。
「ふむ、確かにな。
風精霊が足を止めるような何かがあったら雨が降るが、下手に結界みたいので力ずくに干渉しようとすると近寄りすらしなくなると。
興味深い話だし農作物学会の人間なんかは是非とも知りたがる情報だろうが・・・下手に広げない方が良いだろうな」
アレクがちょっと考えてから言った。
風精霊ってかなり気まぐれっぽいから何かやっても想定通りな反応を示すかは微妙なところだが、嫌がらせっぽい何かをやられて旱魃を引き起こされたら困るからな。
一番ヤバそうなガルカ王国は無くなったし、ザルガ共和国は海運王国だから風の精霊の反感を買うようなことに手を出さない可能性が高いとは思うが・・・国としての方針がどうであれ、個人の私欲で変なことをやらかす人間はどの国にだっている。
危険な使い道のある情報は広めない方が良いだろう。
「どしたの~?」
俺たちが話し合っているのを見たシャルロが寄ってきた。
「風精霊の足止めになるような山や、興味を引くような物がないと雨が降らないって話をしていたんだ。
うっかり風精霊のお気に入りな巨木とか巨岩を撤去しちゃったら地域の雨量が変わるかも?」
というか、何か風精霊の気を引くような物をここ等辺に設置出来たら東大陸の天候も変わるのだろうか。
現在の天候が香辛料とかを育てるのに向いているのだろうが、普通に食糧を育てやすい天候になった方が農民とかは楽そうだな。
「あ~。
そっか、地下水や川ならまだしも雨雲は風精霊たちが運んでくるんだよね~。
呪具とか毒とかを作っているから余計ここ等辺は嫌われているんじゃないかな」
シャルロがあっさり応じる。
なる程。
山が無いせいで乾燥した気候だから普通の農作物が育たず、生きていく為に金になる呪具や毒を作って売るようになり、それを嫌った風精霊が寄り付かなくなったせいでますます雨が降らなくなって、更に普通の農作物が育たなくなるのか。
見事な悪循環だな。
もっと海からの湿気で雨が降りそうなものだが」
諸々の買い物を済ませ、南方にあるケッパッサとかいう都市へ向かいながら船から見える海岸沿いの乾き切った光景を見て思わず呟く。
『ある程度山っぽい地形か面白い何かが無いと風のが立ち止まらないから、湿気た空気も素通りしちゃうからね~』
清早が応じる。
マジか。
風の精霊次第ってことは、何か面白い物があって雨が降る気象だったのが、それが消えたら雨が降らなくなる可能性があるのか??
頑張って土壌とか改造したのに、風の精霊の興味を引いた何かが無くなったら一気に今までの努力が無に還るかもと思うと切なすぎるな。
パストン島なんかは北側にちょっとした山が連なっているからそれで雨が降るんだろう。
アファル王国は・・・それ程海の傍に山が無くてもそれなりにしっかり雨が降っているってことは、何かが興味深いのか?
それとも内陸側が山地になっていれば良いのかね?
「ちなみにどんなのが風のに対して面白いって見做されるんかな?」
『大きな木とか、変わった形の岩とか、綺麗な街とか畑とかも場合によっては?
上手な歌が好きなのもいるよ~』
清早が応じた。
「どうした?」
俺の顔がちょっと変だったのか、アレクが寄ってきて尋ねる。
「海沿いなのになんだってこうも乾燥しているっぽいのかな~って呟いたら、山が無いし風の精霊が興味を示すような物も無いから海風が素通りするって言われてね」
考えてみたら海神さまをないがしろにしていたらあっさり精霊に見捨てられて島が沈むのだ。
それだけ精霊の影響が大きいのだから、精霊に気に入られたら地形に関係なく雨が降っても不思議は無いか。
「・・・へぇ、それなりに山が無いと海が近くても雨が降らないという学者の説があったが、本当なのか。
というか、地形に関係なく風の精霊の興味を引けたら雨が降るというのも中々興味深い話だな」
アレクがちょっと驚いたように一瞬口を閉じて考えていたが、やがて応じた。
「まあ、考えてみたら王都を結界で囲んだら風が吹かなくなってめっちゃ暑くなるんだ。
その際には雨もあまり降らなかっただろうし、精霊の動きに干渉できると天候って変わるというのも言うなれば当然だな」
雨を降らすって言うのは水の精霊の関連かと思ったが、意図的にドカっと降らせるんじゃなくって自然現象的な毎日の営みの中での雨となると風の精霊の方が重要なのはちょっと意外だが。
「ふむ、確かにな。
風精霊が足を止めるような何かがあったら雨が降るが、下手に結界みたいので力ずくに干渉しようとすると近寄りすらしなくなると。
興味深い話だし農作物学会の人間なんかは是非とも知りたがる情報だろうが・・・下手に広げない方が良いだろうな」
アレクがちょっと考えてから言った。
風精霊ってかなり気まぐれっぽいから何かやっても想定通りな反応を示すかは微妙なところだが、嫌がらせっぽい何かをやられて旱魃を引き起こされたら困るからな。
一番ヤバそうなガルカ王国は無くなったし、ザルガ共和国は海運王国だから風の精霊の反感を買うようなことに手を出さない可能性が高いとは思うが・・・国としての方針がどうであれ、個人の私欲で変なことをやらかす人間はどの国にだっている。
危険な使い道のある情報は広めない方が良いだろう。
「どしたの~?」
俺たちが話し合っているのを見たシャルロが寄ってきた。
「風精霊の足止めになるような山や、興味を引くような物がないと雨が降らないって話をしていたんだ。
うっかり風精霊のお気に入りな巨木とか巨岩を撤去しちゃったら地域の雨量が変わるかも?」
というか、何か風精霊の気を引くような物をここ等辺に設置出来たら東大陸の天候も変わるのだろうか。
現在の天候が香辛料とかを育てるのに向いているのだろうが、普通に食糧を育てやすい天候になった方が農民とかは楽そうだな。
「あ~。
そっか、地下水や川ならまだしも雨雲は風精霊たちが運んでくるんだよね~。
呪具とか毒とかを作っているから余計ここ等辺は嫌われているんじゃないかな」
シャルロがあっさり応じる。
なる程。
山が無いせいで乾燥した気候だから普通の農作物が育たず、生きていく為に金になる呪具や毒を作って売るようになり、それを嫌った風精霊が寄り付かなくなったせいでますます雨が降らなくなって、更に普通の農作物が育たなくなるのか。
見事な悪循環だな。
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